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メンバーは今どこにいるか?職務遂行能力だけでなく精神的成熟度にも目を向ける

先日以下のnoteを投稿しました。

これを読んでくださった社員の方に、以下の本を紹介してもらいました。

これがとても面白くて、特に今回のタイトルに記載した内容がとても興味深かったので、今回記載します。

本の冒頭にでてくる「あり方」について。
あり方とは、身につける日々の心構えや習慣、もしくは、その人の本質である人間性といった意味。
一方で、行動やスキル、つまり技術的な側面を「やり方」といい、対をなす概念として記載されています。

ここでいう、あり方こそ精神的成熟度です。このステージに合わせたコミュニケーションが大事であり、そのステージを上げる育成こそが最強のチームに繋がる、その育成におけるコミュニケーションスキルなどが記載されています。

チームを持つマネージャーとして、コミュニケーションスキルやチームの作り方も学びになりつつ、精神的成熟度のステージが興味深いものでした。
思わず自分自身の過去も思い出しながら…今でこそ高いステージにいけたかな?と思いつつも、それは最近の話であり、過去を振り返ると恥ずかしくなりました。
同時に何がきっかけでステージが上がったんだろう、と自己内省するきっかけにもなり、そのきっかけを生み出す側になった自覚も芽生えました。

ということで、精神的な成熟度に関するステージ5つを紹介します。
ちなみにマトリクスは以下です。

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縦軸が成果志向、横軸がチームワーク志向です。縦軸が上がれば職務遂行能力の高まり、横軸が広がれば精神的成熟度が高まっていると考えても良いかと思います。

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ステージⅠ:依存者
・上司の対応が悪いから、やる気が起きない
・職場の環境が悪いから、集中力が高まらない
・労働条件が悪いから、モチベ―ションが上がらない
・正当な評価がされていないから、仕事の手を抜いている
・あの人がいるから会社にいきたくない

この人はいつも被害者意識を抱えているようです。
「誰も私を認めてくれない」「誰も私をわかってくれてない」と言いますが、自分をわかってもらうための具体的な行動を起こさないのも特徴。

このステージの特徴は大きく2つ。
①自信のなさそうな人
人の目を気にします。孤立することを極端に嫌います。おとなしい外見に反して、がんこで自分のやり方を変えようとしない人もいる。口では「ハイハイ」と言いますが、内心は従う意思がありません。


過去の失敗に囚われていたり、将来に不安を抱く人もこのステージに位置する人が多いように見受けられます。
彼らは仕事に優先順位をつけるのが下手です。どこから先に手を付けるか、重要な仕事はどれかなど、明確な指示が必要になります。

この人たちは「Have-Do-Be」の生き方をしています。
資格をとったり、ブランドもののスーツを着たりして(Have)ようやく自信を持ち、行動することが出来ます(Do)。そして、その行動に伴う成果を得てようやく安心感を手にする(Be)という循環で生きています。

まずHaveという条件が満たされないと行動(Do)が出来ないのです。資格があればもっと仕事に打ち込めるのに…持ち家があれば結婚できるのに…みたいなことを言う人たちです。

②攻撃的・反発的な人
反発心をエネルギーにしている人が多いので、ステージⅡに早い段階で移行する人もいますが、そうでなければ職場の問題児になってしまいます。リーダーとしては、しゃくにさわるタイプです。

報連相などの基本的な行動が出来ず、自分勝手な判断をすることが多く、放っておくと、常軌を逸して独走してしまうことも。また感情に左右されやすいのも特徴です。

間違ったこと言動に対し、周りがフィードバックしても、自分を守るための正当化に走ってしまいます。
また、ものの見方に客観性が乏しく、思い込みが激しく、柔軟性がありません。目標達成のための手段が少ないので、同じやり方に固執し、諦めるのが早いのも特徴です。

常に視点は他人と環境に向かっています。自分以外に問題があると考えているため、他人の欠点はよく見ています。不平・不満も多くなります。

ステージⅡ:自称勝者
仕事を覚え始め、成果が出せるようになるとⅡに進む人が増えます。
が、この中には自己中心的で自分一人でこの成果を築き上げた、と勘違いする人が出てきます。
やっかいなのは、短期的な数字や業績のみで見た場合、ステージⅣやⅤの人たちよりも上にいくことがあります。

口だけは達者で、他の社員に影響を及ぼします。チームワークを破壊する危険因子になりかねません。ただ、彼らは長期で数字や業績を維持できません。社員のサポートが少なくなるからです。

私は〇〇なんです、と自身の枠をつくりあげ、そこから抜け出そうとしなかったり、得意分野だけに固執する傾向もあります。「勝つか負けるか」「好きか嫌いか」など二分化思考が強く、ストレスを抱え込みがちです。好きな人のみと過ごすようになります。

本人は気づいていないことが多いですが、潜在的には他者との比較の中で、今のままではだめだという自己否定感が根強く残っています。
また、人からの評判を極端に気にします。評価されなければ、その人を攻め、自己正当化に走ったり、環境を変えたがります。
自分の弱さを悟られないように、先制攻撃をしかけたりします。

自分が会社や組織のために何が出来るかではなく、会社や組織が自分のために何をしてくれるか、ということを考えています。仕事が出来るようになっても、精神的成熟度はⅠと変わりません。

ステージⅢ:分岐点に立つ人
・ちゃんと成果は出しているが満足できない
・何か物足りない
・ライバルとの比較をエネルギー源にしている
・充実感や達成感を味わえない
・わけもなく落ち着かず、いつもあせっている
・常にストレスを抱えていて、気が休まらない
・つい長期のビジョンより、目先の利益を優先してしまう

ステージⅡの人は今の自分に疑問を感じていませんが、ステージⅢの人は疑問を感じています。
Ⅲの人は行き詰っています。不安定な感情をかき消すために、さらに労働時間を増やしたり、知識やスキルや資格取得に走ります。このままだといつまでもⅢにとどまってしまいます。

彼らはアグレッシブなので、まず行動(Do)します。成果を上げれば昇給や昇格を手にします(Have)。そして最終的に安心感や達成感を手にします(Be)。

彼らの口癖は「時間がない」です。いつも時間に追われていて、成果や人生そのものを楽しむ余裕がなくなっています。
この生き方は成長の段階で必ず必要になりますし、力をつける段階では負けん気をバネにして力をつけていくことが大切な時期があります。

ただずっと「Do-Have-Be」の生き方をしていると、いつまでたっても同じ繰り返しで辛いだけです。体調管理が苦手な人であるという特徴もあります。体に悪い箇所があっても後回しにしがちです。

このⅢこそコーチングが一番機能する可能性が高い人でもあります。無意識のどこかでよいモデルとなる人、サポートや救いの手を求めています。
職務遂行能力も高い人なので、今後組織にとって貴重な戦力に成長する可能性を持っています。

ステージⅣ:主体者(リーダー)
・自分が持つ周囲への影響力を意識出来ている
・自分の設定したゴールやビジョンに基づいて行動ができる
・人間関係は面倒なコストではなく、投資だと知っている
・変化は自然に起きるものではなく、自分で起こすものだと考えている

主体者は目指すべきゴールが明確です。短期の視点(緊急度)ではなく、長期のビジョン(重要度)にもとづいて優先順位がつけられます。

競争から解放されていて、人との協力関係に興味と感心を持ち始めています。人間関係の重要度を理解していますので、その部分に常に投資をしています。

「Do-Have-Be」の生き方が消えていませんが、その生き方のみに執着しているわけではありません。期待以上の成果をコンスタントに出せます。
与えられた条件の中で行動でき、他人や環境に文句を言う前に、自分の力で変えられる部分に焦点を当てて行動します。

何が必要かを考え、重要度に応じて行動を選択することができます。断る勇気を持っており、レスポンスが早いです。

課題は、意味のない群れなどに入る必要はないものの、自分にとって味方となってくれる仲間づくりまで下手な人もいます。また、人に任せるくらいなら自分でやった方が早いという理由でなんでも自分でやってしまうことがあります。

ステージⅤ:協働者
・常にチームワークを意識している
・人生のバランスがとれている
・人生を楽しんでいる
・コントロールできる範囲(影響を及ぼせる範囲)が広い
・自分たちだけでなく、関係者全員を勝たせることも考えている

Ⅲ以下の人とはまったく逆の発想を持っています。自分が会社や組織のために何ができるかということを常に考えています。

権限を人に与え、仕事を任せることも出来ています。そのため、自分の時間をつくることがとても上手です。

また、他者からのフィードバックを受け入れる器があります。自己認識を立構える機会に恵まれています。

「Be-Do-Have」の生き方をしています。すでに自分のニーズを満たし、自己肯定感、自己信頼感を強く持っています。安心感から行動を起こせます。そしてその結果として成果や評判、昇格や昇給を手にします。

あせりはなく、感情の起伏も少なく、穏やかです。犠牲を惜しまず、協力者が多い人です。

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​個人の話で言えば、ステージⅡとⅢを行き来する期間がとても長かったように思う。あまりにも記載されていることが当てはまっていてびっくりした(笑)今戻るなら、冷静に、客観的に考えて、自分と向き合いながら過ごすだろう。とはいえ、全てが悪いわけでもなく、誰しもが通る道だし、必要な道かもしれない。特にⅢのステージでもがき続けることは、これからの財産になると確信している。

自分で言うのもなんだが、今はⅣ、そしてⅤに手がかかってきた感じかなぁとも思う。

ⅢからⅣになったきっかけは、人との出会いと受けたコーチング(・ティーチング)、フィードバックをもらい続けたこと、そしてその後に一定の評価をもらえたことだった。

自身にとって、評価してもらうことは大きな安心に繋がった。ⅡやⅢからⅣには評価や昇格なしではなかなかいけなかった。自分の価値観がそうさせた。
今思えば、その価値観は自らがつくりだしたただの思い込みだったかもしれない。自分で思い込む、アイデンティティを確立してしまうことが出来ていればもっと早めにⅣにいけただろう。自分で自分を定義出来たり、その定義を状況に合わせて変えられる人は強い。当時の僕にはない力だ。そういう人を見ると素直に尊敬する。

誰もが同じ価値観を持っているわけではないけど、このステージをすり合わせながら、次のステージにいくきっかけを生み出す人でありたいし、それが今の自分を形成してくれた、これまでに関わった人への恩返しにもなると思う。

もちろん今に満足しているわけではない。が、Beからスタートする、これを手に入れた責任として、そういう人を生み出したいし、それがチームを強くするんだと思う。

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