藤崎尊文 / Fujisaki Takafumi

ライター・翻訳家・英語講師 / 資格:英検1級、webライター検定2級 / 得意分野:…

藤崎尊文 / Fujisaki Takafumi

ライター・翻訳家・英語講師 / 資格:英検1級、webライター検定2級 / 得意分野:教育、英語、歴史 / 連絡先:fstaka23[at]gmail.com

マガジン

  • 櫻の咲き誇る道は、今日も美しい。

    推しのコンテンツ(本、作品など)について語る日記です。

  • Feature FUTURE

    • 49本

    PLANETS CLUB「 こども未来部」メンバーによるリレーマガジンです

  • 平井堅と〈弱い僕〉の物語

    平井堅の歌詞世界から浮かび上がる男性像を〈弱い僕〉と名づけ、ラブソングにおける男性像のオルタナティブを探る、批評の試みです。平井堅の楽曲を〈恋慕〉〈憧憬〉〈嫉妬〉〈喪失〉の側面から取り上げます。堅ちゃんが好きなあなた、マッチョな「男らしさ」に疲れたあなたに届け。

  • 学習支援者日記

    一人の学徒・実践者として、考えていることを綴ります。

最近の記事

書評の連載をリニューアル・更新しました

 別媒体で行なっている連載(書評)について、2024年3月よりリニューアルを行いました。  2023年3月から2024年2月までは、書籍の種類を限定せず、都度おすすめしたい本を紹介してきました。  今年3月からは、書籍の種類をYA新書(中高生向けの新書レーベル)に限定し、主に中高生の読者におすすめしたい本を取り上げています。毎回、記事のまえがきとして、こんな文章を載せています。  リニューアル後、2回連載を更新しました。  リニューアルした連載の記事、そして取り上げてい

    • 原作者亡き「国民的作品」をいかに継承するか -映画ドラえもん『のび太の地球交響楽』

       映画ドラえもん『のび太の地球交響楽』について考えている。  この記事に書いた通り、私はこの作品を高く評価している。冒険の舞台を具体的な場所(海底や秘境など、何らかの異世界)ではなく抽象概念(音楽)に設定したこと、そのうえで原作のいくつかの短編をオリジナルの長編映画に再構成したこと。この2点を達成しただけでも、『藤子・F・不二雄生誕90周年記念作品』に値する良作である。  だが同時に、「よくできている」作品ではあるがこれ以上に突き抜けることは望めなさそうだ、とも感じた。1

      • 競争と協奏のはざまで -映画ドラえもん『のび太の地球交響楽』

         ドラえもん映画の最新作『のび太の地球交響楽』を観てきた。  ひとことで言えば傑作である。「音楽」という新しいテーマ、原作のいくつかの短編からひとつの長編を組み立てる編集力、極音上映の音響、異世界での冒険をいきいきと伝えるビジュアル、「敵」の設定に関する新しさなど、総合的に満足度の高い作品だった。小さな子どもたちも大きなお友だちも、ぜひ劇場でこの映画を楽しんでほしい。  そのうえで、この作品が提起した問いを考えたい。この作品に通底する価値観は、「競争」の否定と「協奏」の肯

        • (書評)瀬尾まいこ『夜明けのすべて』

           別媒体で行っている、書籍紹介の連載を更新しました。  今回取り上げたのは、瀬尾まいこ『夜明けのすべて』です。映画化もされた、心温まる物語です。  記事・書籍ともに、お読みいただければ嬉しいです。

        書評の連載をリニューアル・更新しました

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        記事

          (書籍紹介)スージー鈴木『平成Jポップと令和歌謡』

           別媒体にて、書籍紹介の連載をしています。最新の記事では、スージー鈴木『平成Jポップと令和歌謡』を取り上げました。  ヒット曲への見方が変わるかもしれません。取り上げた書籍とあわせて、記事もお読みいただければ嬉しいです。

          (書籍紹介)スージー鈴木『平成Jポップと令和歌謡』

          2023年 (個人的)今年の10冊

           今年読んだ本の中から、印象に残った10冊を独断と偏見で選び、紹介します! ※数字に特に意味はありません。 (1)國分功一郎『中動態の世界 意志と責任の考古学』(医学書院、2017年)  かつてヨーロッパ系の多くの言語に存在した文法「中動態」を手がかりに、近代における「意志」「責任」の概念を問い直す一冊。当たり前のように受け入れている概念を見つめ直すことの重要性を感じた。 (2)松岡正剛『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』(講談社現代新書、2020年)

          2023年 (個人的)今年の10冊

          (詩)十年

          あの頃を過ごしたキャンパスに 久しぶりに足を運ぶ そうか ここで入学を言祝がれてから もう十年になるのか 友人と語らった学食 独り書に向き合った図書館 空き時間にくつろいだ中庭 人がいなくても 自然にあの頃の場面が浮かぶ 不思議なものだ あの頃は 夢があった 目標があった 未来への洋洋たる希望があった 十年が経って その大半は叶わなかった あの頃の僕が 今の僕を見たら何と言うだろう 夢はどこに行ったのか なぜ目標を変えたのか 努力を怠ったのかと 怒るだろうか ならば僕

          平井堅と〈弱い僕〉の物語 (1)その涙拭うためこの手がある -「美しい人」

           平井堅の歌詞に特徴的な世界観は、この一節に凝縮されている。口語的な問いの形で言い換えれば、「大好きな君のために、無力な僕は何ができるのだろう」。平井堅の歌詞世界によく描かれるこの男性像を、筆者は〈弱い僕〉と呼びたい。  「美しい人」は、2007年に発売された平井堅のシングル「君の好きなとこ」のカップリング曲である。当時、資生堂「エリクシールシュペリアル」のCMソングとして使用されていた(注1)。  曲は3分半ほどで、J-POPの楽曲としては短めである。ピアノの控えめな伴走

          平井堅と〈弱い僕〉の物語 (1)その涙拭うためこの手がある -「美しい人」

          〈月1連載〉書籍紹介の記事を書きました(上白石萌音・河野万里子『翻訳書簡 『赤毛のアン』をめぐる言葉の旅』)

          月1回、別媒体にて書籍紹介のブログ記事を執筆しています。 今回は、上白石萌音・河野万里子『翻訳書簡 『赤毛のアン』をめぐる言葉の旅』(NHK出版、2022年)を選びました。 翻訳の奥深さ、言葉にふれる喜びを感じられる、素敵な一冊です。 記事と書籍を、一人でも多くの方にご覧いただければ嬉しいです。

          〈月1連載〉書籍紹介の記事を書きました(上白石萌音・河野万里子『翻訳書簡 『赤毛のアン』をめぐる言葉の旅』)

          平井堅と〈弱い僕〉の物語 (0)はじめに

           「優しさ」は「強さ」になりうるのか。この問いを、ある「歌バカ」の歌詞世界に浸りながら考えてみたい。  その「歌バカ」は、三谷幸喜脚本ドラマ『王様のレストラン』の主題歌「Precious Junk」(1995年)でデビューした。楽曲の世界観を数年間模索したのち、「楽園」(2000年)でブレイクして以降、ソングライティングの才と人並外れた歌唱力で支持を広げた。映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の主題歌「瞳をとじて」(2004年)など、映画やドラマのタイアップで数々の名曲を生み、

          平井堅と〈弱い僕〉の物語 (0)はじめに

          月イチで書籍紹介の連載をしています。今回は安部芳絵『子ども支援学研究の視座』(学文社、2010年)について書きました。教育者として働くうえでの私のバイブルであり、子どもの〈支援〉者でありたいと願う方におすすめの一冊です。ぜひ!  https://tensakudo.com/2023/11/03/kojin13/

          月イチで書籍紹介の連載をしています。今回は安部芳絵『子ども支援学研究の視座』(学文社、2010年)について書きました。教育者として働くうえでの私のバイブルであり、子どもの〈支援〉者でありたいと願う方におすすめの一冊です。ぜひ!  https://tensakudo.com/2023/11/03/kojin13/

          義務教育としての英語

           塾の教室でこう伝えると、多くの生徒は遠い目をする。当然の反応だろう。この語数は、30〜40語程度を範囲とする単語テストを中1の春から毎週続けたとして、中3の夏にようやく「2500」にたどり着くペースである。  英語教育熱に浮かれた架空の国の話、ではない。とある塾の教室から見た、日本の英語教育の風景である。  現行の学習指導要領において、外国語教育の目標は「関心のある事柄から日常的な話題や社会的な話題まで取り上げ、そういった事柄や話題について、一層幅広いコミュニケーションを

          義務教育としての英語

          いつか疎遠になったとしても

           学校という狭い箱庭の中にいると、「友達」はとても重要なもののように思える。そして、偶然できた「友達」を、学校から巣立った後も手放したくないと思う。「友達」とのつながりは、続くことが望ましく、疎遠になるのは悲しいことだ。私たちはつい、そう考えてしまう。  しかし、本当にそうだろうか。「友達」をもつことの幸せとは、一緒に過ごしている時間それ自体であり、続くか疎遠になるかは巡り合わせと縁の問題なのではないか。  ある物語を読みながら、そんなことを考えていた。 関係の相対性

          いつか疎遠になったとしても

          隣の芝が青く見えたら -高松美咲『スキップとローファー』

           いわゆる「隣の芝は青い」の心情を、社会学では「相対的剥奪」と呼ぶらしい。人と比べて(相対的)自分は何かを奪われている(剥奪)ように感じる、ということだ。「あの人は私にはない〇〇を持っていて、うらやましい」。その感情は時に、私たちの自己や他者に対する捉え方をゆがめてしまう。  思春期における「相対的剥奪」を超えた友情はありえるのか。高松美咲『スキップとローファー』は、そう問いかけている。 1 ローファーを履きながら、スキップしようとする  『スキップとローファー』は、ロー

          隣の芝が青く見えたら -高松美咲『スキップとローファー』

          巨匠の達成と絶望 -宮﨑駿『君たちはどう生きるか』

           おもしろいファンタジーは作れた。しかし、ファンタジーで世界を変えることはできなかった。これが、今作を最後の長編とするであろう、巨匠の感慨なのか。宮﨑駿監督作品『君たちはどう生きるか』の感想を一言でいえば、そうなる。 (以下、ネタバレ全開でお送りします) 1 ファンタジー映画を観る、という体験をメタ的に描く この物語は、3つのフェーズから成り立っている。①(ファンタジーの世界に行く前の)現実、②ファンタジーの世界、③(ファンタジーの世界から帰った後の)現実の3つである。まず

          巨匠の達成と絶望 -宮﨑駿『君たちはどう生きるか』

          便利な機械のディストピア -映画ドラえもん『のび太とブリキの迷宮』

           革新的な技術に関する議論が盛んである。  chatGPTをはじめとする「生成型AI」について、国内外で様々な声が飛び交っている。国際社会では、イーロン・マスク(テスラCEO)やユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』著者)、スティーブ・ウォズニアック(アップル共同創業者)らが一定期間の開発凍結などを主張する公開書簡を発表したほか、G7の議題にまで上った。国内でも、東京大学が声明を発表するなどの動きがある。  教育業界の片隅に身を置く筆者も、この新しい技術とどう付き合うべ

          便利な機械のディストピア -映画ドラえもん『のび太とブリキの迷宮』