小陳泰平 / KOJIN, Taihei

ライター・英語講師 / 資格:英検1級、英語発音技能検定(EP-Pro)2級、文章添削…

小陳泰平 / KOJIN, Taihei

ライター・英語講師 / 資格:英検1級、英語発音技能検定(EP-Pro)2級、文章添削士 / 得意分野:英語教育 / 連絡先:tnwk152630[at]gmail.com

マガジン

  • 櫻の咲き誇る道は、今日も美しい。

    推しのコンテンツ(本、作品など)について語る日記です。

  • Feature FUTURE

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    PLANETS CLUB「 こども未来部」メンバーによるリレーマガジンです

  • 平井堅と〈弱い僕〉の物語

    平井堅の歌詞世界から浮かび上がる男性像を〈弱い僕〉と名づけ、ラブソングにおける男性像のオルタナティブを探る、批評の試みです。平井堅の楽曲を〈恋慕〉〈憧憬〉〈嫉妬〉〈喪失〉の側面から取り上げます。堅ちゃんが好きなあなた、マッチョな「男らしさ」に疲れたあなたに届け。

  • 学習支援者日記

    一人の学徒・実践者として、考えていることを綴ります。

最近の記事

10代向け『半沢直樹』の痛快さと危うさ ー映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』

『新米記者トロッ子』という映画を観てきた。この作品には、「藤吉夏鈴の初主演映画」という枠を超えて、観るべき価値がある。そんな思いに駆られて、この記事を書いている。 この作品は、いわば「10代のための『半沢直樹』」だ。 人気ドラマ『半沢直樹』は、銀行員が上司に「倍返し」をし、組織の不祥事を暴く物語である。映画『新米記者トロッ子』は、高校の新聞部員が理事長の不祥事を暴く物語である。 どちらの物語も、観た人に「気に食わない目上の人を倒した気になってスカッとする」作用をもたらす。『

    • 「正しさ」ではなく「手続き」が人を動かす -アニメ『響け! ユーフォニアム3』

      「自習で大騒ぎしてたら担任にバレた笑」という動画がある。「学校あるある」系のネタとして共感を呼び、YouTubeやTikTokでバズっている。  ここで着目したいのは、キレッキレのダンスを踊る「築山」が踊り出すまでのプロセスだ。築山はいきなり踊り出したわけではない。司会者風の生徒から「じゃあもう築山いく?」と振られることにより、築山のパフォーマンスは始まる。  築山のキレッキレのダンスがクラスを盛り上げたことは間違いない。だが、静寂の自習時間の中いきなり築山が踊り出しても

      • 『モノマネMONSTER』が画期的なものまね特番である、たったひとつの理由

         新番組にして、画期的。このものまね特番を観た時、そう思った。  ものまね特番なら、他にも数多くある。『ものまねグランプリ』(日テレ)、『ものまね紅白歌合戦』(フジテレビ)など、特番シーズンの風物詩となった番組もある。  そうしたなか、すでに『ものまねグランプリ』を擁する日テレが、新たなものまね特番『モノマネMONSTER』をくり出した。この番組は、新番組ならではの挑戦的な試みにより、近年のものまね番組が直面している課題を乗り越えようとしている。  その課題とは何か。もの

        • 書評の連載を更新しました

           月に1度、書評の連載をしています。YA新書から1冊を取り上げ、中高生の読者に向け紹介する、というものです。  今回は、読売中高生新聞編集室『部活魂! この文化部がすごい』(ちくまプリマー新書、2020年)を紹介しました。  紹介した書籍、そしてnoteの記事を、お読みいただければ嬉しいです。

        10代向け『半沢直樹』の痛快さと危うさ ー映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』

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        記事

          (詩)世界一の、歌バカさんへ

          あなたの歌は ほかの人とはちがっていた 想う人を求めること 側に居る人を慈しむこと 離れた人を思い出すこと あなたの歌は 優しさと弱さにあふれていた あなたの歌を 聴きつづけ 歌いつづけ あなたが描いたものを 身体に染み込ませてきた 愛ってなんだろう 好きってどんな気持ちなんだろう あいまいで ふわふわして 目に見えないものに あなたの歌が 輪郭を与え 真実を教えてくれた なんでこんなに苦しいんだろう どうして こんな思いをしなきゃいけなんだろう 大きくて 暗いものに

          (詩)世界一の、歌バカさんへ

          書評の連載を更新しました

           月に1度、書評の連載をしています。YA新書から1冊を取り上げ、中高生の読者に向け紹介する、というものです。  今回は、石田光規『「人それぞれ」がさみしい -「やさしく・冷たい」人間関係を考える』(ちくまプリマー新書、2022年)を紹介しました。  紹介した書籍、そしてnoteの記事を、お読みいただければ嬉しいです。

          書評の連載を更新しました

          書評の連載をリニューアル・更新しました

           別媒体で行なっている連載(書評)について、2024年3月よりリニューアルを行いました。  2023年3月から2024年2月までは、書籍の種類を限定せず、都度おすすめしたい本を紹介してきました。  今年3月からは、書籍の種類をYA新書(中高生向けの新書レーベル)に限定し、主に中高生の読者におすすめしたい本を取り上げています。毎回、記事のまえがきとして、こんな文章を載せています。  リニューアル後、2回連載を更新しました。  リニューアルした連載の記事、そして取り上げてい

          書評の連載をリニューアル・更新しました

          原作者亡き「国民的作品」をいかに継承するか -映画ドラえもん『のび太の地球交響楽』

           映画ドラえもん『のび太の地球交響楽』について考えている。  この記事に書いた通り、私はこの作品を高く評価している。冒険の舞台を具体的な場所(海底や秘境など、何らかの異世界)ではなく抽象概念(音楽)に設定したこと、そのうえで原作のいくつかの短編をオリジナルの長編映画に再構成したこと。この2点を達成しただけでも、『藤子・F・不二雄生誕90周年記念作品』に値する良作である。  だが同時に、「よくできている」作品ではあるがこれ以上に突き抜けることは望めなさそうだ、とも感じた。1

          原作者亡き「国民的作品」をいかに継承するか -映画ドラえもん『のび太の地球交響楽』

          競争と協奏のはざまで -映画ドラえもん『のび太の地球交響楽』

           ドラえもん映画の最新作『のび太の地球交響楽』を観てきた。  ひとことで言えば傑作である。「音楽」という新しいテーマ、原作のいくつかの短編からひとつの長編を組み立てる編集力、極音上映の音響、異世界での冒険をいきいきと伝えるビジュアル、「敵」の設定に関する新しさなど、総合的に満足度の高い作品だった。小さな子どもたちも大きなお友だちも、ぜひ劇場でこの映画を楽しんでほしい。  そのうえで、この作品が提起した問いを考えたい。この作品に通底する価値観は、「競争」の否定と「協奏」の肯

          競争と協奏のはざまで -映画ドラえもん『のび太の地球交響楽』

          (書評)瀬尾まいこ『夜明けのすべて』

           別媒体で行っている、書籍紹介の連載を更新しました。  今回取り上げたのは、瀬尾まいこ『夜明けのすべて』です。映画化もされた、心温まる物語です。  記事・書籍ともに、お読みいただければ嬉しいです。

          (書評)瀬尾まいこ『夜明けのすべて』

          (書籍紹介)スージー鈴木『平成Jポップと令和歌謡』

           別媒体にて、書籍紹介の連載をしています。最新の記事では、スージー鈴木『平成Jポップと令和歌謡』を取り上げました。  ヒット曲への見方が変わるかもしれません。取り上げた書籍とあわせて、記事もお読みいただければ嬉しいです。

          (書籍紹介)スージー鈴木『平成Jポップと令和歌謡』

          2023年 (個人的)今年の10冊

           今年読んだ本の中から、印象に残った10冊を独断と偏見で選び、紹介します! ※数字に特に意味はありません。 (1)國分功一郎『中動態の世界 意志と責任の考古学』(医学書院、2017年)  かつてヨーロッパ系の多くの言語に存在した文法「中動態」を手がかりに、近代における「意志」「責任」の概念を問い直す一冊。当たり前のように受け入れている概念を見つめ直すことの重要性を感じた。 (2)松岡正剛『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』(講談社現代新書、2020年)

          2023年 (個人的)今年の10冊

          (詩)十年

          あの頃を過ごしたキャンパスに 久しぶりに足を運ぶ そうか ここで入学を言祝がれてから もう十年になるのか 友人と語らった学食 独り書に向き合った図書館 空き時間にくつろいだ中庭 人がいなくても 自然にあの頃の場面が浮かぶ 不思議なものだ あの頃は 夢があった 目標があった 未来への洋洋たる希望があった 十年が経って その大半は叶わなかった あの頃の僕が 今の僕を見たら何と言うだろう 夢はどこに行ったのか なぜ目標を変えたのか 努力を怠ったのかと 怒るだろうか ならば僕

          平井堅と〈弱い僕〉の物語 (1)その涙拭うためこの手がある -「美しい人」

           平井堅の歌詞に特徴的な世界観は、この一節に凝縮されている。口語的な問いの形で言い換えれば、「大好きな君のために、無力な僕は何ができるのだろう」。平井堅の歌詞世界によく描かれるこの男性像を、筆者は〈弱い僕〉と呼びたい。  「美しい人」は、2007年に発売された平井堅のシングル「君の好きなとこ」のカップリング曲である。当時、資生堂「エリクシールシュペリアル」のCMソングとして使用されていた(注1)。  曲は3分半ほどで、J-POPの楽曲としては短めである。ピアノの控えめな伴走

          平井堅と〈弱い僕〉の物語 (1)その涙拭うためこの手がある -「美しい人」

          〈月1連載〉書籍紹介の記事を書きました(上白石萌音・河野万里子『翻訳書簡 『赤毛のアン』をめぐる言葉の旅』)

          月1回、別媒体にて書籍紹介のブログ記事を執筆しています。 今回は、上白石萌音・河野万里子『翻訳書簡 『赤毛のアン』をめぐる言葉の旅』(NHK出版、2022年)を選びました。 翻訳の奥深さ、言葉にふれる喜びを感じられる、素敵な一冊です。 記事と書籍を、一人でも多くの方にご覧いただければ嬉しいです。

          〈月1連載〉書籍紹介の記事を書きました(上白石萌音・河野万里子『翻訳書簡 『赤毛のアン』をめぐる言葉の旅』)

          平井堅と〈弱い僕〉の物語 (0)はじめに

           「優しさ」は「強さ」になりうるのか。この問いを、ある「歌バカ」の歌詞世界に浸りながら考えてみたい。  その「歌バカ」は、三谷幸喜脚本ドラマ『王様のレストラン』の主題歌「Precious Junk」(1995年)でデビューした。楽曲の世界観を数年間模索したのち、「楽園」(2000年)でブレイクして以降、ソングライティングの才と人並外れた歌唱力で支持を広げた。映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の主題歌「瞳をとじて」(2004年)など、映画やドラマのタイアップで数々の名曲を生み、

          平井堅と〈弱い僕〉の物語 (0)はじめに