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櫻の咲き誇る道は、今日も美しい。

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推しのコンテンツ(本、作品など)について語る日記です。
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記事一覧

10代向け『半沢直樹』の痛快さと危うさ ー映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰が…

『新米記者トロッ子』という映画を観てきた。この作品には、「藤吉夏鈴の初主演映画」という枠…

「正しさ」ではなく「手続き」が人を動かす -アニメ『響け! ユーフォニアム3』

「自習で大騒ぎしてたら担任にバレた笑」という動画がある。「学校あるある」系のネタとして共…

『モノマネMONSTER』が画期的なものまね特番である、たったひとつの理由

 新番組にして、画期的。このものまね特番を観た時、そう思った。  ものまね特番なら、他に…

原作者亡き「国民的作品」をいかに継承するか -映画ドラえもん『のび太の地球交響楽…

 映画ドラえもん『のび太の地球交響楽』について考えている。  この記事に書いた通り、私は…

競争と協奏のはざまで -映画ドラえもん『のび太の地球交響楽』

 ドラえもん映画の最新作『のび太の地球交響楽』を観てきた。  ひとことで言えば傑作である…

平井堅と〈弱い僕〉の物語 (1)その涙拭うためこの手がある -「美しい人」

 平井堅の歌詞に特徴的な世界観は、この一節に凝縮されている。口語的な問いの形で言い換えれ…

平井堅と〈弱い僕〉の物語 (0)はじめに

 「優しさ」は「強さ」になりうるのか。この問いを、ある「歌バカ」の歌詞世界に浸りながら考えてみたい。  その「歌バカ」は、三谷幸喜脚本ドラマ『王様のレストラン』の主題歌「Precious Junk」(1995年)でデビューした。楽曲の世界観を数年間模索したのち、「楽園」(2000年)でブレイクして以降、ソングライティングの才と人並外れた歌唱力で支持を広げた。映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の主題歌「瞳をとじて」(2004年)など、映画やドラマのタイアップで数々の名曲を生み、

隣の芝が青く見えたら -高松美咲『スキップとローファー』

 いわゆる「隣の芝は青い」の心情を、社会学では「相対的剥奪」と呼ぶらしい。人と比べて(相…

巨匠の達成と絶望 -宮﨑駿『君たちはどう生きるか』

 おもしろいファンタジーは作れた。しかし、ファンタジーで世界を変えることはできなかった。…

便利な機械のディストピア -映画ドラえもん『のび太とブリキの迷宮』

 革新的な技術に関する議論が盛んである。  chatGPTをはじめとする「生成型AI」について、国…

承認が文明を駆逐する ー『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』

 アラサーになって、ドラえもんの映画を2回も観に行くとは思わなかった。2023年3月に公開さ…

編集の芸当から引用の模倣へ ーコロッケ『ものまねグランプリ』卒業が示すもの

 一つの時代が終わる。「ご本人」から花束を受け取り涙ぐむ「ものまね帝王」を観ながら、そん…