《舞台》ファントムについて語りたい
ガストン・ルルー原作
アーサー・コピット演出
の、『ファントム』が好きすぎるのです。
日本だと劇団四季の『オペラ座の怪人』ではなく
宝塚でやってる『ファントム』が好きなのですね。
そして特に特に、城田優さんが演出と主演をつとめているやつがこの世にある舞台で最も好きなのです。
この舞台の難しいところは
一度でも観たことがある人同士で話題にあげると
「あれ本当にめちゃくちゃ良いよね…(ため息)」
と、その良さを噛み締め合えるけど
舞台を全く観たことがない人に説明をしようとすると、
話したい、伝えたい良さがありすぎて、何から話したら良いのか、どういう順番で話せば良いのか途端にわからなくなる。
何度か友人にこの舞台の良さを説明することを試みたけど、毎度言葉に詰まってしまい最終的には「とにかくめちゃくちゃ良いから観て欲しい!DVD貸す!」と、実家にある母親が買ったDVD頼みに話し相手の実体験に委ねるということで毎回終了する。
実家にあるんじゃすぐには貸せないので、2023年度の2度観に行って相変わらず両回大号泣したバージョンのBlu-rayを秋から予約しておいた。
首を長くして待ち、先週ようやく手元に届いた。
私だけのファントム。。嬉しい。
アーサー・コピット演出のファントムは
小池修一郎先生の多大なご尽力のおかげで
宝塚仕様や梅芸ものなど
これまた枝分かれをしている。
もともと宝塚が好きだから宝塚ファントムももちろん美しくて好き。
だけどそれ以上に、城田優さんの演出のファントムが
美しくて、美しさと同じくらい醜くて、だけどその醜さが何よりも美しい。
(きれ、いは、きたーないー、きた、ない、はきーれいー、あばーt)
綺麗で美味しいところだけを切り取って並べていないところが好き。
城田優さんが自演出の中でこだわったのは
作品世界に生まれるそれぞれの愛を
それぞれの形で表現すること。
エリックの言葉を借りるなら、
ひとりひとりの「黄金のテント」を探し、見つけ育む過程がしっかりと描かれている。
ロイドウェバーの「オペラ座の怪人」と
アーサー・コピットの「ファントム」
あらすじの最も大きな違いは、主人公のファントムが最終的に救われるところ。
(ちなみにロイドウェバーも続編の「Love Never Dies」で素晴らしい昇華をしてます。)
「心休まる僕の黄金のテントは、一体どこにあるんだろう」
私自身も1番好きで、
劇場で観た時も周りから鼻を啜る音がとてもよく聞こえてくるシーンがあります。笑
キャリエールがついに、エリックに真実を語るシーン。
そのシーンの手前ね
エリックとしても、そして観客にとっても
キャリエールの背景は知っているものの
エリックにとっての黄金のテントはやはりクリスティーヌでしかないんだなって
思わされる歌や場面があるわけです。
もちろんエリックが長い間追い求めていたのは母の愛情であり、クリスティーヌは母であり恋焦がれる対象であり、エリックの全てであることは間違いない。
のだけど、キャリエールが
「君は私の人生の全て」
と言ってエリックを抱きしめるんです。
そこでエリックも、キャリエールの愛を一身に受け止めて「信じてたよ、わかってたよ」と、ようやく2人はあるべき関係になれるんですね。
エリックの黄金のテントは、
もう随分前からあったのだと
むしろ黄金のテントに守られ生きていたんだと
ゆうのをエリックも観客もここで再認識する。
その視点の再認識が、
普段私が何気なく過ごしている日常の中での
大切な人に対する気持ちと絶妙にリンクしたり。
作品世界においても、エリックが1番救われて
1番腑に落ちて納得感のある見応え抜群のシーン。
個人的にはファントムの醍醐味はこのシーンだと思っています。
そうそう
こう言うことが言いたかった。笑
ファントムは話せる切り口がありすぎる。
音楽性、クリスティーヌの人間性も考えてみると本当に面白い。あと時代背景とか。
多様で深い。
それが2時間半に凝縮されてるんだから本当にすごい。
観終わった後に残る感情体験で言うと
他の舞台はあの濃度を2〜4倍に割って飲んでる感じがするのよね。。
濃さでいうとファントムはストレート、
あとはロックとかお湯割り(悲劇)、ハイボール(喜劇)
そう言うことなので
世界中の人に見て欲しいです。
この作品に関わる全ての人に感謝したい。
泣きたい時はファントムを観ています。
誰かを愛したい時もファントムを観ます。
歌いたい時もファントムを観ます。笑
一度はご賞味あれ。