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「誰かが使い続けてきた歴史」が空間の価値になる

新しいオフィス空間について考える時に、居抜き物件への入居や、リフォームではなく空間のリノベーションに注目が集まっている。今後働く会社のオフィスが「毎日いく場所」ではなくなる時に、行きたくなるワクワクする空間、にできるがどうかが大事な要素になるはず。

今まで"Brand NEW"なものこそが評価されてきた世界観がある。物の価値は新品が一番高く、中古は減額していく仕組み。不動産、車、家電、衣服などなど。その結果、世の中にものが溢れかえる様になった。

しかし今逆に、ここ数ヶ月の間に世界的に大きな経済の変化が起きる中で、無駄な所有物の購入や、その消費サイクルが見直される動きが出てきた。

「時間の経過」に価値があるという考え方

昔から眺めるだけ(本当に見るだけ、利用するにはまだちょっと・・)でも大好きな「東京R不動産」がこんな面白いコラムを出していた。

新型コロナウイルスの出現によって、働き方やオフィスのあり方について見直しを迫られるこれからの時代、戦略的にオフィスを移転する企業が直面するのは旧態依然とした“原状回復”の文化です。東京R不動産では、せっかく雰囲気よくつくったオフィスをさえない内装に戻すという残念な慣習を変えるべく、「居抜きオフィス」の流通を促進することで、「原状回復文化のアップデート」を目指します。

特にこの部分が凄く良い:

リノベーションが一般的になり、居心地の良い空間で働きたいと願う人が増えた今、天井を抜くなど、改装や家具でカッコよく整えたオフィスを、天井を張り蛍光灯とタイルカーペットの状態にわざわざ戻して、それを借りた人がまた天井を抜いて改装するという、誰も幸せになっていない不経済な文化は、今こそ見直すべきタイミングであると考えます。

直近は「居抜きだとコストが抑えられる!」という理由がその契約動機の大半になる気がするが、少なくとも前の入居者によるUSED感を楽しめる文化が今後根付いていく気がしている。

さらに言うと、ある程度は働く空間に対する感度が似ている会社が同じオフィスエリアに集まるだろうし、無条件に「ピカピカおNEW」な物件が良い時代ではなくなってくるはず。魂の宿っていない新品なものではなく、別の人たちのライフスタイルが反映された個性のある空間はそれだけで面白い。

そしてやっぱりその時に「汚れている」ではなく「味が出ている」状態であってほしい。今後オフィス内装をデザインする上で、より耐久性の高い素材や擦り傷がカッコよく見える板を使う、という様なトレンドがきそう。

その場所が育んできたモノを活かす考え方を広めたい

スペースマーケットにも古民家や倉庫をリノベーションしてカッコよく、時には愛情たっぷりに再利用されるケースもたくさんある。

企業のオフィスも東京R不動産で紹介されている居抜き物件だったり、もっというと別用途だった場所をオフィス化する事で、出社したくなる空間ができると素敵だ。

それは単純に家と比べた時に仕事環境が整っている、というだけでなく、非日常感を味わえるワクワクする空間にできる可能性がある。

リノベーションされた空間で好きな場所をいくつか紹介

3件だけ都内で最も好きな場所を紹介します。

一つ目はNui.

もともと享保9年(1724年)創業、300年続く老舗の玩具メーカーの倉庫ビルを改装したBackpackers’ Japan運営のホステル

ここはオープン当初から入った瞬間に懐かしいノスタルジックな雰囲気があった。使っている部材から現Rebuilding Centerの東野さんプロデュースの空間なので、古材などを使っていて凄く素敵な空間。

二つ目、T.Y.HARBOR BREWERY

東京湾に浮かぶ小さな島で築50年近い倉庫を改装したこのレストランは外観が昔の名残を残した状態になっている。下のBefore & Afterの写真が素敵すぎて痺れる。

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三つ目、レストラン&カフェバーSOUL TREE

築40年の廃工場をリノベーションして作られたレストラン。風雨にさらされてサビたトタンや剥げかけたペイントが残っていて、工場の感じは残ったままの空間。たまにこんなオフィスとかだとテンション上がりそう。

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