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仕事を人にまかせるときの第一の点は彼らの仕事が決して抵触しないようにすることである

来島グループ総帥 坪内寿夫

●坪内寿夫の率いる来島グループは、今や造船、観光、ホテル、銀行、クラブ、レストランなど、多種多彩な業種から構成されている。これらの事業を五百人の部課長と二万人の従業員で動かしている。

●事業が伸びるかどうかは、従業員が人材として育ち、能力をフルに発揮するかどうかにかかっている。そのため坪内は、人材の育成に努力し、彼らの仕事が互いにぶつかり合わないよう、領域を侵し合わないように心を配る。

●こうした配慮の必要性を、日商元会頭の永野重雄も強調している。
「優秀な人材をたくさん集めることより、相殺し合わないように適切に配し、めいめいの個性が十分に発揮できるようにするのが、会社の人事で一番むずかしいことであり、最も肝心なことなのではあるまいか」と。

●適材適所を心がけるのは大切だが、適材と目された者同士が、適所でぶつかりあって相殺し合っては、会社にとっても当人同士にとっても、大きなマイナスである。職場でこうした事態が生じないよう、上に立つ者は心を配らなければならない。

●坪内は、部下が仕事のうえで摩擦を起こさないよう気を使った。そのおかげで、「お客さんを取り合うこともないし、なによりも、処女地を自分一人で開拓できるという気概に燃えるから、いい意味でライバル意識が出てくる」という好結果があらわれている。

●こうして人の上に立つ者が人事に細かく気を使えば、部下は仕事にファイトをかきたて、たのもしい働きぶりをみせてくれる。また、そうすることで、部下の個性はさらに磨かれ、才能はフルに発揮されながら伸びつづけていく。

●そうなれば、組織全体がつねに活性化し、事業は発展をつづけることができる。坪内も永野も人事の要諦のありかを、的確に見抜いていたのである。

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