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デスゲームなサッカー漫画『ブルーロック』は世界サッカーの未来を予言する

これはサッカー漫画ですか?いいえ、デスゲームです(違)

皆さん、サッカーは好きですか?

僕はぶっちゃけ全然知らないし興味もなかったです。

その理由は、子供の頃野球が好きで、でもJリーグが始まってサッカーブームが来て、その人気にちょっと嫉妬してたんです。それから「サッカーはチャラいスポーツ」みたいなレッテルを貼って、勝手に嫌いになるというとっても子供じみた恥ずかしい感情がきっかけなんですが(笑)、それから30年近くその偏見から抜け出せずに興味を持てないまま今に至ってしまったワケです。

なので、サッカーと言えば誰もが挙げる歴史的名作『キャプテン翼』を筆頭に『シュート!』『Jドリーム』『俺たちのフィールド』『DAYS』といった数々の名作もほとんど通らず、ハマりもしませんでした。

そんな僕が今、どハマりしているサッカー漫画があります。それが金城宗幸先生原作、ノ村優介先生作画の『ブルーロック』です。

この漫画はもちろんサッカーをテーマにしているんですが、設定はほぼデスゲームなんですよ。

え?意味がわからない?

ですよね(笑)。でも決して嘘でも大袈裟でもありません。

あらすじ
 日本が世界一になれない理由は最高のストライカー(点取り屋)がいないからだ。だから最高のストライカーを強制的に作り出すために、300人の高校生ストライカーを一同に集め、合宿を開始する。
 高校生たちはその中で常に競い合い試練を受け、クリアできなかった者は強制退場と共に生涯日本代表になる権利を失う。彼らが合宿を行うその場所『ブルーロック(青い監獄)』の中で、主人公潔世一(いさぎ・よいち)は頂点を目指して戦う。

サッカー少年たちからすると未来永劫日本代表になれない≒死の宣告にも等しく、まさに命懸けのデスゲームじゃないですか!

サッカーに興味ない人にこそめちゃくちゃ読んでほしい

誤解を恐れずに言うと、サッカー漫画ってどれも基本的にはサッカー部やクラブや代表チームを舞台に、選手たちがきつい練習を乗り越えて、仲間との絆を深め、ライバルたちと競い合いながら勝利を目指していく話ですよね。

『GIANT KILLING』も、監督視点という今までにない切り口で描かれた名作ですが、基本ルールからは外れていない。

だからこそ、サッカー好きな人たちや興味のある人たちを熱狂させるんでしょうが、僕みたいなひねくれ者は読みもせずに回れ右してしまうのです(笑)。そんな僕みたいな人にこそ、ここまでぶっ飛んだ設定の唯一無二のデスゲ…サッカー漫画は激推しなんです。

確かにサッカーはしているけれども、自分以外の全員が敵の中命懸けで戦うなんて、めちゃくちゃ熱いバトル漫画じゃないですか!

当然サッカーはひとりではできないため、敵のはずの他の参加者と一時的に手を組んで戦うことになります。ただ、それは仲間になるのとはワケが違うのでいつまでもハラハラ感が続くワケです。

いわゆる王道少年漫画が好きなら、このシチュエーションは間違いなく胸踊りますよね!

サッカー好きならわかるまさかのリアリティ

えーでもじゃあイロモノだったら、サッカー好きな自分には合わなさそうって思ったサッカーファンのあなた、ちょっと待ってください。

実はこの漫画、今のリアルなサッカー界のトレンドを見事に表現してるんですよ!

サッカー好きならよく知っていると思いますが、今サッカーの世界では、選手たちがより良いポジショニングを取りながらゲームを進めていくポジショナルプレースタイルに対して、相手にプレッシャーを与え続け、ミスや対応の遅れを誘うストーミングプレースタイルがトレンドになりつつあるそうです。

どちらが優れているかというわけではなく、様々な戦術をミックスさせながら進化を続けているそうで、チャンピオンズリーグのバルセロナ(ポジショナル)対リバプール(ストーミング)の戦いなどまさにその象徴だったと言える激アツな熱戦でしたよね。(ミーハー的に観ました)

このストーミングプレースタイルを取り入れた多くのチームが素晴らしい成果や実績を上げたことで、サッカー界に久しぶりの新風が巻き起こったワケです。

超高速で展開し、縦にガンガン切り込んでいくこのスタイルを取るためには、選手たちは常にあの広いフィールドを休みなく全力ダッシュし続けられるタフネスとスタミナが求められます。

また、頻繁にカオスな状況(両チーム共に体制が整わずぐちゃぐちゃなところにボールが投げ込まれるシーン)が発生するので、選手は自分のポジションに関係なくすぐ反射的直感的に動くことが求められ、ある意味オールラウンダーな才能や技術が必要になります。

この一見無茶苦茶なスタイル、まさに『ブルーロック』の中で繰り広げられているチームバトルじゃないですか!

300人の高校生たちは、全員がストライカーという同じポジションで、全員自分が最強になって日本代表の座を勝ち取ろうとしています。要するに、全員自分にボールを集めて欲しいし、全員隙あらば自分がゴールを狙うというエゴとハングリーさの塊ボーイたちです。

でも、当然ゴール前で待ってるだけじゃ勝てるワケもないので、チームバトルでは他のポジションの役割もこなさなきゃいけない。

だけどそこの役割に甘んじてたら自分はライバルである他のメンバーを引き立てるだけになって、ストライカーにはなれず、代表になる夢は殺されてしまう。

だからこそ一瞬も気を抜かずに走り続け、カオスな状況の中から一瞬のチャンスを奪い合うんです。

これぞまさにストーミング!

この漫画の展開がこれからのサッカー界の未来を予言する?

世界サッカーでは、今もなお様々なチームが独自の考え方やロジックで次の最強王者を狙うための進化を続け、それぞれのスタイルをぶつけ合っています。

ブルーロックの中でも、様々な武器を持ち牙をむき出しにしたストライカーたちが、一秒ごとに進化を続け、カオスの中から新しい姿に生まれ変わっています。

そんな戦いの嵐の中で、俯瞰した視点と高い適応能力を武器に持つ主人公・潔の今後の進化を見ていけば、次のサッカー界の戦略戦術のトレンドが見えてくるかもしれません。

いや、きっとその通りになって、先に漫画で描いてた金城先生とノ村先生マジスゲー!ってなって世界中から注目されるに違いないはず!

サッカーに興味がない人も、サッカーが大好きな人も、この『ブルーロック』という最高の少年漫画にして世界サッカーの未来予言書を是非読んでみてください!

WRITTEN by 南川 祐一郎
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