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【コロナマンガ大賞受賞作品決定!】レビュアーズ審査員が選んだ作品を公開

【レビュアー/和久井香菜子

東京マンガレビュアーズも協賛のコロナマンガ大賞、受賞作品が決定しました!

コロナワクチンに関する正しい知識を漫画にしたい! という思いで始まったこのコンテスト、「コロナワクチンの仕組み」部門、フリーテーママンガ部門、イラスト部門の3つを設けました。応募人数は述べ99人。

このコンテスト、レビュアーズメンバーが惜しみなく審査員として参加しています。堀江貴文さん、松山洋さんと、佐渡島庸平さんと、わたくし和久井香菜子です。

非常に応募作品のクオリティが高く、選ぶのがとても大変でした。主催の「こびナビ」の岡田玲緒奈医師も、マンガでワクチンの解説をすることのロマンを語っています。

生物の仕組みが突然変異と自然淘汰という『偶然の積み重ね』により作り上げられてきたことは本当に不思議なことで、どこかに『意志』のようなものを読み取りたくなってしまいます(もちろんそんなものは実際にはありません)。しかし、今回の『仕組みマンガ部門』は、まさにこの『意志』のようなものを描くロマンがありました。実際、期待を遥かに超える様々なアプローチでそれを描いてくださった作品の数々に、感動しました。応募してくださったみなさま、素晴らしい作品をありがとうございました。

佐渡島氏の全体講評

マンガを描くときはみんな、「いいマンガを描きたい」とか「評価されたい」と思って描き出します。でもなにを描くのかが明確じゃなくて、描きながらよりブラッシュアップしがちです。新人の描くマンガは、結局なにを言いたいのかがわかりにくいんです。「面白そうだけど、わからない」ってことが起きやすい。

しかし今回は応募者が「コロナに関すること」「ワクチンがどういう仕組みなのか」といった「伝えたいことが明確にある」人たちが多かったので、伝えたいことを、どう面白くわかりやすく感情と共に伝えるのかをみんながチャレンジしていました。

伝えることが明確である分、読みやすさにつながり、非常にいいマンガが多かったです。

作画のレベルも高くてびっくりしました。基本的にマンガ文法が高いのもあるし、味があって高いのもあるし、読みやすいものも多いし、非常に素晴らしかったですね。ストーリーは、伝えたいことは明確で、それがコマ割りしてあって読みやすい。

一方でストーリーキャラクターで言うと、情報のほうが主になってしまっていて、キャラクターを立てるという大事な部分がプロレベルかとか言うと、そこはちょっと疑問符の作品が多かった。けれども、そこまで言うともう「完璧じゃないとダメ」と言っているようなものです。新人賞という賞でできる人はほぼいなので、十分素晴らしかったと思います。

というわけで、審査員賞に輝いた作品をご紹介します!

松山賞 『緑夜くぐり噺』(MonAmie)

氏は講評で「女の子がかわいい」を連呼しておりました。

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佐渡島賞 『コロナ病棟で働く医師の話』
(按図よしひろ/Dr.GAMES)

部門賞としてもかなり有力な作品でした。募集期間中にどんどんと感染が広がり、「今もまだこの状況だろうか」という懸念があり、審査員特別賞に。医療現場の描写がとてもリアルです。

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ホリエモン賞 『ハートピース』(とし@絵描き医さん)

「わかりやすさ」の点から部門賞は逃してしまいましたが、堀江さん絶賛の秀作。

作品画像のあとに、ご本人からの解説を特別掲載しますね! 「絵画ってこんなにいろいろ理由があるのか……」って驚きますけど、『ブルー・ピリオド』を読んでいる人は納得です!

中村@救命医_970DA01D-FE62-4AF4-B354-559F50E2FFA9 - ナカムラトシキ

バベルの塔は旧約聖書に登場する人類が神に近づこうとして建設した塔。しかし神が人類に様々な言語を与える事でバラバラになり塔は天に届かず実現はできませんでした。そのため僕は塔を天まで届かせる事にしました。

医療や感染対策、政治、経済的な協力など人類の力が、疫病の拡大などの自然の摂理や死という運命を天として抗い、成功する事を意味します。異なる言語を持った人類が一つになるというよくあるテーマですが疫病に打ち勝つためにも今こそ必要だと考えました。

人々を前向きにしたいという思いはどの絵でも変わらないため、この暗いテーマに今まで描いてきた明るい絵の一部をあちこちに盛り込みました。

令和二年から令和三年にかけて疫病に苦しめられた一年であった事を忘れないように一枚に四季を詰め込みました。左上に春、右上に夏、左下に秋、右下に冬と季節が一周する様に描いています。これは宮廷画家がハプスブルク家等に四季や四大元素など世界の理を絵にして献上したのを参考にしています。

僕の絵にはよく人が願いを託す流れ星として銀河鉄道が登場します。この絵を描く時、ちょうど令和二年から令和三年になりました。今回の銀河鉄道の正面にはR02-03の文字。

絵の下半分は暗い夜の令和二年で上半分以上を令和三年として感染が終わり明るい未来となっていると信じて描きました。

中央には仏様。絵画といえば宗教画なので、僕は特に信仰とかはありませんが、日本に生まれた証として仏教の絵にしました。

全ての人が救われるようにという願いもあり、強い意味を置くためにも真ん中に描きました。ただ僕の絵なので暗くならないよう明るくアレンジし、帽子を被せたり、顔を花束にしたり、ギターを弾かせたりしました。

そしてタイトルの「ハートピース」はこの時代の流行として愛嬌があり前向きな意味があるので仏様にもしてもらいました。「ハートピース」は誰が作ったのかわかりませんが、考えるほど良くできた、簡単に人を明るくする言葉だなと関心しています。(作者解説)

その他作品と作者の過去作

受賞作品はこちらから閲覧できます。

その他ノミネート作品は、以下のサイトから閲覧できます。

また、ゆうこす賞を受賞されたおちゃやまさんは、こちらの作品も出版されています。

『ししまいガール』https://mechacomi.jp/titles/364818