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フジツボのペニスは世界一◯◯!?生き物の不思議を『天地創造デザイン部』で笑い学ぼう!

突然ですが、サメのペニスってフタマタになっているの、ご存知ですか?もう潰れてしまった別府温泉の秘宝館に、いろんな動物の等身大(?)ペニスの展示がしてあったんですが、サメのペニスがフタマタになっているのと、豚のペニスがドリルっぽいのを見て、女子全員で「ひいっ!」となったことを昨日のことのように思い出します。

新年早々、下ネタかよ!とお思いの皆さん、違いますよ?あくまで生き物へのリスペクトですから!何でこの動物がこういう形なの?って考えるのって、めちゃくちゃ面白いじゃないですか!マントヒヒの顔とか意味不明だし、日向ぼっこしてるうちに鳥に突かれて死んじゃうマンボウとか、モリアオガエルの泡とか、何もかもが超不思議!

そんな不思議な生き物のデザインについてのマンガがめっちゃくちゃ面白かったのでご紹介させて下さい。

『天地創造デザイン部』です!!

「天地創造デザイン部」と言っても、部活ではありません。天地創造社という会社の部署なんです。

“はじめに天地創造があった 万能の神は全てを造り給うた 光・水・大地を造り そしてそこに住まう生き物を…動物たちをーー  造ろうと思ったけど面倒になって 下請けに出した” (『天地創造デザイン部』1巻より引用)

そう。神様という「クライアント」に依頼されて、さまざまな生物のデザイン案を考案する部署、それが天地創造社のデザイン部。デザインがクライアント(神様)に気に入ってもらえれば採用となり、そのデザインの生物が地球に誕生するのです!

神様の依頼はかなりの無茶振り。

すっごい高いところの葉っぱが食べられる動物、動けない甲殻類、新しくておもしろいカエル(常時受付中)、かわいくてかわいくない、とにかくちまちま食べる動物……

こんなフワッとしたクライアントの希望を、完璧なデザインと機能でお答えするデザイナーたちのアイデアが超面白いのです!

例えば、「すっごい高いところの葉っぱが食べられる動物」という神様のオーダーに答えるべく、個性的なデザイナーたちは様々な案を出します。そのアイデアがすでにめちゃくちゃワクワクするものばかり。翼の生えた馬・ペガサス。自在に伸び縮み可能な植物っぽい動物・ピンポンツリー。そして首長ジカ。

もちろん、デザインが楽しいだけではありません。それぞれのデザイン案がちゃんと実用化可能なのかをエンジニアが入念にチェック。例えばペガサスの場合、こんな大きな動物が空を飛ぶには超マッチョになってかなり頻繁に馬糞を空から撒き散らしつつ、かなり体重を軽くしなくてはならないのでNGとなります。ピンポンツリーも重力的にNG。まさに懐かしの『空想科学読本』的な楽しみ方もできるのです。

そして実現化に一番近いデザイン、首長ジカにも致命的な欠点が…!そこに、デザイナーたちが過去の様々な生き物を作ってきた経験を踏まえた意見を出し合い、改良を加えると…「天啓」という形で採用され、地上に新たな生物が誕生するのです!この場合は、もちろんみんなが知っているあの生き物になりました!

このように、その生き物のベースとなった生き物、進化の過程、特徴などを楽しく読んだあとには、各話の最後に付いた図鑑でその話に出てきた生物の生態をおさらいできるのも嬉しい。チョウチンアンコウとか、「マジでそんな交尾をするの!?」と思いながら本編を読むわけですが、ちゃんと図鑑で写真付きで解説してくれるので「マジだった!」と腹落ちできるのです。(このチョウチンアンコウの生態は、本当に本当に超ビックリしました!)

それにしても、このデザインが生き物として採用されるまでの過程、社会人の皆さんには身に覚えありませんか?

フワッとしたクライアントの要望…それに答えようと思ったら、今度は社内調整で弾かれる…!!「フザケてるのか!?」という感じの同僚のアイデアがさくっと採用されたりと、社会人の皆さんなら一度は経験したことがありそうなサラリーマン的苦労もさり気なく散りばめられている!

「ああ〜、あるある…!」とデザイナーたちに共感しつつ、『空想科学読本』的な楽しみ方もしつつ、実際の生き物についてのつい語りたくなるような知識をもゲットできるなんて、なんて美味しい作品なんでしょう!!

私は毎年、新年一冊目に読むマンガの面白さでその年の運勢を占っているのですが、今年の一冊目がこの『天地創造デザイン部』!めちゃくちゃ面白い作品を引き当てることができましたので、私の2018年が最高に良い年になることが約束されました!皆さんも、この作品で2020年後半の運勢を爆アゲしつつ、フジツボやコアラのペニスに「へえええ!」と関心しつつ、ぜひこの作品をお楽しみ下さい!!

原作の蛇蔵さんの理系男子マンガ、『決してマネしないでください。』も超名作ですのでこの流れで是非!

WRITTEN by 上原 梓
※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
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