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ホリエモン「見事としか言いようがない」『宮本から君へ』映画への展開

※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)

【レビュアー/堀江貴文

新井英樹作品はほぼ読んでいる私だが、やはり彼の出世作ともいえ強烈なインパクト第一印象を残したのが『宮本から君へ』と言わざるを得ない。

もうとにかくすごい。

連載当時から読んでいたのだが、ある日突然打ち切りのように終わってしまった。

それほど多くの読者にインパクトだけでなく嫌悪感すら抱かせてしまったようだ。

それが何故か連載から20年以上経過してテレビ東京で突如ドラマ化されることになって驚いた。あの文具販売卸という昭和な業態で令和の今に適応できるのか?なんて思ったりもした。

ドラマはヒロイン中野靖子と宮本が結ばれるまでの話だ。

自動車メーカーの受付嬢に恋をした主人公〈宮本浩〉が、もがいて恋破れてというまあ、激しさはあるものの読者が嫌悪感を抱くような話ではない。どこにでもある、若者の恋と仕事の話である。

少しずつ成長した宮本は青臭い恋を卒業し大人の恋愛をしようと背伸びをしていく。

しかしだ。

映画化されたシーンからフェーズが変わる。中野靖子と付き合い始め幸せ絶頂の宮本と中野靖子に突然のレイプ事件が降りかかる。

もう本当に救いようのないシーンだ。

そこから彼らがいかにして幸せを手に入れようとするのか。新井英樹が描くのは本当の人間の表も裏も泥臭い部分も感情も全て乗っけた話だ。

ヒロインを蒼井優にしたのも、宮本を池松壮亮が演じるのも見事としか言いようがない。

宮本と中野靖子のセックスシーンをあれだけ演じられるのは凄すぎる。
原作を知っているのに涙が溢れてくる。

しかし、ピエール瀧は惜しいことをした。

Netflixの『全裸監督』でいい味出してたエロビデオ屋の店長といい、今回のレイプ魔のお父さん役といい、ハマりすぎててやばい。また銀幕に復活してほしい。

そして、映画を見た人は原作を読んで反芻してほしい。