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提婆達多(Devadatta)インタビュー

現在の仙台、そして日本国内のデスコアシーンでも注目を集めつつある新鋭バンド、提婆達多(Devadatta)。オリジナリティ溢れるセンスある楽曲やメンバー個々の個性的なステージも相まってか、今年1月に開催されたSlaughter To Prevail Japan Tour東京公演ではフロアにいた人々を騒つかせた事も記憶に新しい。

今回はそんな彼らの新譜リリースに合わせ、謎に包まれているそのルーツや楽曲制作についてインタビューを行うことに。なんと今回、メンバー全員がこのインタビューに答えてくれた。

彼らのファンは勿論、現在の日本のシーンに関わる方々にも是非チェックしていただきたい。

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[インタビュアー : Marina Tashima]
[All photos : KAZUKI (@TaMF_Kazuki Twitter/Instagram)]

提婆達多(Devadatta) : 溝井(Gt.)、みね(Ba.)、大鷹(Vo.)、千葉(Gt.)、浜田(Dr.)


・初めてのインタビューということで、まず提婆達多の結成経緯とメンバー皆様の紹介をお願いいたします。

溝井  : ギターの溝井です。メンバーを代表してまずあいさつさせていただきます。この度は素敵な機会をいただきありがとうございます。宜しくお願い致します。提婆達多は2018年に、東北大学軽音楽部ストレンジャーズの部員であったVo. 大鷹 Gt. 溝井 Gt. 千葉 Ba. みね Dr. 浜田で結成されました。僕と大鷹でなにか外でライブができるようなオリジナルバンドを組みたいねと話していて、3人を誘う形で5人が集まりました。軽音楽部でメタルのコピーをしていくうちに、オリジナルの曲を作って発信したいという思いがそれぞれ強くなっていき、それが提婆達多結成に結びついた形です。



・バンド名”提婆達多”の由来を教えてください。

大鷹 : 時系列に沿って話しますと、まず先にバンドが結成され、”Bless”という曲が完成しました。”Bless”の中に仏教っぽいフレーズがあったので、何か仏教関連の人名にしようかとなった時に邪悪な感じがあってかっこよかったので提婆達多という名前を選びました。逆にバンド名が音楽性に影響を与えた部分も少なからずあるかなと思います

溝井 : バンド名を漢字にしたいという思いはありましたね。考えてみると漢字のバンド名ってあまりないし、日本語ならお客さんも覚えてくれるし面白いんじゃないかなと。ただ最近、漢字だけだと海外から検索できないと気づいたので、英語表記も加えるようにしてます笑 呼び名はいつも尋ねられるのですが「デバダッタ」を推奨します。「デバ」と呼んでください。



・初めて皆様と出会ったのは確か2018年のANNISOKAY/WDOB Japan TourのMACANA公演だったと記憶していますが、この時期の前後からそれまでの活動と比較しても一気に皆様の名前や活動が拡がった印象があります。
この公演に出演するきっかけとなった出来事をお聞きしてもいいですか?

みね : はい、このANNISOKAY/WDOB Japan Tourに出演するきっかけは、私のツイッターでのつぶやきがきっかけに、現在お世話になっているMACANAとの関わりから決まったと考えます。提婆達多の活動が動き出した頃、私はあるバンドの来日をツイッターで知りました。それは2018年9月18日に仙台でライブすることが決まっていた”Make Them Suffer”の存在でした。当時まだ前座のバンドが決まりきっていなかったので、フライヤーに「and more..」の字がありました。私はまだ新米のバンドながら、「いいなぁ一緒に対バンしたいなぁ」なんてつぶやいたのです。すると当時ツアーの責任者であるMHz(T.M.Musicの前身興行)様から、「ブッキングに関しては、MACANA様に一任しています。もし出演希望であれば、直接お問い合わせ下さい」とのメールが来ました。私は正直悩みました。まだ外に出たてのバンドが名乗り出ていいのかと。ですがもしこれが叶うなら、バンドとして成長できるだろうし、名前も多くの人々に知ってもらえるきっかけになるのでは?と考え、メンバーに出演するか相談しました。話してみるとメンバーの反応は良く、MACANAに直接DMを送ることを決めました。当時まだ大学生だったため、相手に不快な思いをさせないメールのやり方を調べて、書いては消して、書いては消してを繰り返して、長文のDMを送ったのを覚えています。結果は既に出演バンドが決定しており、出演決定には至りませんでした。ですがそれがきっかけなのか、恐らくMACANAの方からANNISOKAY/WDOB Japan Tourが開催されるに当たり、我々提婆達多を呼んで頂いたように覚えています。もし、どうせ出られないなんて諦めて、出演したい願望をつぶやいたり、直接DMを送らなかったらどうなっていたのだろう?と思うことが今でもあります。



・デスコアをベースとして様々なジャンルからの影響や要素が見える提婆達多の楽曲ですが、メンバーの皆様が影響を受けてきたバンドやジャンルを教えてください。

みね : 今回の音源制作に至る影響だと、Mirrors、Gorevent、Dark Funeral、Rise of the Northstar、The Black Dahlia Murderなどの影響が大きいです。

大鷹 : Korn、 Limp Bizkit、 Linkin Parkあたりのニューメタルが一番影響を受けているジャンルです。あとはIngestedとかAcraniusみたいなスラムとかハードコアの要素のあるデスメタルやデスコアが好きです。楽曲内で割とポリリズムを多用するのですが、それについてはMeshuggahやThe Contortionistなどの影響があるかなと思います。最近はVein、 Dealerあたりの少しカオティックさのあるニューメタルコアが特に好きです。ジャンルに縛られすぎず、ラウドじゃない音楽も色々聴くように心がけています。

千葉 : ラウドやメタルにハマったのはFACTの存在が大きいです。そこから大学でメタル中心のサークルに入りAugust Burns Red、The Black Dahlia Murder、dimension zero、As Blood Runs Black等々聴くようになりコピーしてました。その結果いつの間にか変拍子やトレモロリフ、落とすフレーズなどに心地よさを覚えるようになりました。サークルの中で色んなジャンルのコピーをする何でも屋みたいになったおかげで溝井に声をかけてもらえたのかなと思います。

浜田 : メタルにハマったきっかけはslipknotです。大学に入ってから先輩や同期にwhitechapelを勧められて、コピーしたのが初めてのデスコアでした。なので、提婆達多のフレーズを作る時は(あまり作ることはないですが)whitechapelを意識することが多いです。ただ、普段はフュージョンやジェントを聴く事が多いので、フィル等にはそういったフレーズを使うことが多いです。ただ曲を作っているのは私ではないので、提婆達多の曲にはほとんど影響は無いと思います。

溝井 : ぼくはデスコアというジャンルを利用して、色々な要素を取り入れようと心がけています。ハードコアのノリだったりデスラッシュの疾走感だったり、youtubeに上がっているライブを見るのが好きなので気になった点はメモして曲に使えないかなと考えたりしています。またメタルに限らず色々なジャンルの演奏を軽音楽部で聴くことが多いことも、我々の多様性に良い影響を与えてくれているのかもしれません。僕が曲中に取り入れている空間系のエフェクトだったり飛び道具は、メタルだけを聴いていたら思いつかなかったと思います。しかし、これらの要素はあくまで我々の曲を表現するための手段ですので、これらを用いて最終的に完成した曲が何を表現できているのか、それが我々のバンドのコンセプトに合っているのかは吟味するようにいています。「いいフレーズ・リフ」を集めただけだと感じた曲はボツにしたこともあります。流行りのバンドで終わらせず何年にもわたり我々を聴いてもらうためには、我々にしか出せない「色」にこだわる必要があると思っています。


・これは提婆達多を観たお客さんや演者の方々もよく口にしているのを耳にしますが、KoRnからインスパイアされた部分も楽曲の中に見受けられますよね。あの要素をデスコアの中に落とし込むというセンスには脱帽しました。あのアイディアはどなたからですか?

大鷹 : 僕です。アイディアというより、僕が調子いいときに一気に作っちゃった曲って全部Kornになっちゃうことが多くて(笑)。なので、その辺は溝井の作ったフレーズに差し替えてもらったりしてオリジナリティも確保しようという感じです。


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・楽曲について。コンポーザーはどの方が担当しているのでしょうか?また、皆様の楽曲制作のプロセスについても教えてください。

大鷹 : 完全に決まっているわけではないのですが、僕か溝井が半分くらい作ったものを共有して、そこからアイデアを出してデモを完成させて、合わせてみてフレーズの微調整をする というのがよくあるプロセスです。ただ、Viceなんかはみねがいきなり一曲バン!と共有してきたのがすごく良かったのでほとんどアイデア出しのプロセスをすっ飛ばして完成に至ったり…。あまり縛られすぎないように柔軟にやれたらなと思っています。

溝井 : 大鷹が言うようにアイデアマンに合わせてみんなで曲を作っていく形ですね。大元の曲ができたらみんなで部室で実際に合わせて演奏してみて、「ここはこっちのほうがいい」など推敲をします。ドラムパターンはドラムの浜田に任せています。それぞれが曲作りに関わっているという点は提婆達多の曲のオリジナリティにも繋がってきていると感じています。今回のEPに関して言うと、「Vice」はみねが100%、「Abuse」は大鷹・僕50%ずつ、「The Have-nots」は90%大鷹、残り僕みたいな割合です。

みね : 今回のEPで私は1曲目の”VICE"の作曲を担当しました。作曲理由は単純に曲制作を担当しているVo。のOhtakaを楽させたいという思いからでした。制作はあまり長くなかったですが、例えば大学の講義の合間、バイト帰り、空いた時間に思いついたフレーズを打ち込み、組み替えて曲を完成させた感じです。曲自体は元々2部構成にするという目的の元、制作しました。私自身デスコアの定義が分からなかったので、とりあえず1部はデスメタル+ハードコア。2部はブラックメタル要素を入れるというコンセプトで制作しました。特に2部で意識したブラックメタルの要素は、誰もが口ずさめるメロディーを必ず入れるという事は自分の中で決まっていました。勿論理由があって、どんな曲でも、口ずさめるメロディーがあると、多くの人達に覚えてもらいやすいと思うんです。例えばXjapanの紅とか、IronMaidenのAces Hightとか。ですので、メロディーをとても意識しました。曲のストーリーとしては、特に後半は第二次世界対戦の日本兵の突撃、そしてそれを撃ち殺す米軍を意識しています。どういうことかというと、戦争に参加していた両兵士は行きたくて戦争に参加した人々ばかりではなかったはずです。ですが戦地に配属されたため、生きることを捨てて戦う。そんな諦めのような悲しさを表現したつもりです。VICEの最後いきなり落ち着くのですが、そこは戦争が終わった虚無感。最後に壮大に終わるのは、戦争は終わっても、心の傷や繰り返し思い出す悲惨な記憶はずっと消えない、そんなことを表現しました。このようなストーリーを考えながら作りましたが、頭振って、時には感情に身を任せてみて。皆さんが感じるように曲を楽しんで頂けたら幸いです。



・5月末には2nd EP、“Irrational Calamity”のリリースおめでとうございました!「流石」という言葉しか出てこなかったほど素晴らしい作品だと思いました。 今年に入ってから国内外でコロナウイルスによる外出自粛等の厳しい状況が続いていますが、どの時期からどのようにこの作品を制作し完成させたのかもお聞きしたいです。

溝井 : ありがとうございます。応援してくださる皆様のおかげで2nd EPをリリースすることができました。コロナウイルスの影響でライブができない事をチャンスと捉え、音源の制作に着手しました。3月ごろから僕と大鷹で録音を始めました。「Abuse」は2019年6月のライブで、「Vice」は2020年2月のライブでそれぞれ披露していましたのでその2曲と、大鷹が作ってきた未披露曲「The Have-nots」を加え計3曲になりました。録音後は大鷹がミックス・マスタリングしてくれ、いつもお世話になっているハットリくんにアートワークをお願いし、5月末に完成、リリースまでこぎつけることができました。付け加えると、Tunecoreでのストリーミング配信がコロナ応援キャンペーンで5月末無料でしたので、これに乗らない手はないと配信を間に合わせました。CDも早いところ発売できるようにがんばります。

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・“Irrational Calamity”というタイトルに込められた意味や、この作品のコンセプト等があれば教えてください。

大鷹 : もともとアルバムジャケットのアートワークのテーマを「耳なし芳一」にしようと決まっていて、物語の内容を端的に表すタイトルとしてIrrational Calamity(不合理な禍)としました。

溝井 : 今回の3曲を聴いてもらった方の中には、3曲ともテイストが違っているなという印象を受けた方も多いのではないでしょうか。「和」を主体として一連の流れを意識した1st EPに比べ、今回のEPは一曲一曲が表題を張ることができるような、いわゆる「トリプルA面シングル」になっています(この表現が正しいかどうかはわかりませんが笑)。3曲目の「The Have-nots」を聞いた後にはまた1曲目の「Vice」に戻り、もう一周聞きたくなってしまうという声もいただきました。先ほども触れましたが、今回の3曲は「デスコア」という大きいジャンルを利用して、さまざまな要素をそれぞれの曲に落とし込むことができたと感じております。 みなさんのお気に入りの曲やフレーズをぜひ教えていただけると嬉しいです。



・また、今作ではよりVo. 大鷹さんの様々な歌唱法が各曲内で披露されているように感じます。これについては何か意識されたり、または独自にヴォイストレーニングなどはされているのでしょうか?

大鷹 : 僕らの楽曲はかなりいろんなジャンルをクロスオーバーさせているので、いろんな雰囲気のパートが出てくるのですが、そうしたときに「ここはあのバンドがあの曲で使っているあんな感じの声がフィットするんじゃないかな」っていうのを考えながらボーカルを考えて行った結果、いろんな歌唱法を用いている感じです。ちょっと語らせていただくのですが、色んな種類の声とかエグい声を出せることってもちろんすごいんですけど、それ自体が目的になるのは違うんじゃないかなと思っていて、あくまで楽曲の雰囲気を最大限表現するためのボーカリゼーションが重要かなと思います。例えばKnocked Looseみたいなバンドがエグいグロウルで歌ったら全然違うものだと思いますし。そういう意味でボーカルは楽曲の印象を左右する重要なファクターではあるんですけれど、かといって主役とは言い切れないのかなって思っています。ヴォイストレーニングについては特別なことはしていなくて、気が向いた時に出してみたいと思った声を出せるようになるまで練習するくらいです。録音や本番前の2週間のコンディショニングについてはかなり気を遣っています。



・”Abuse”のラップ部分の歌詞についてTwitterで公開していましたが、抽象的かつ攻撃的な内容でしたね。メロディや構成も合わせ、とても皆様らしい一曲だと感じました。この曲については具体的な経験を元にしたテーマか何かがあるのでしょうか?

大鷹 : 抽象的というのは全くその通りで、あまり物語っぽい歌詞にならないようにしています。歌詞を考えるとき、多くは過去のトラウマ体験とか最近あった腹が立つことを思い出してその時の気持ちを書きます。今回は悪意を持って自分を攻撃してきた人達に対して感じてきた「自分はそんな風になりたくない」っていう思いと、それを思っている自分も実は悪意を持って他人を攻撃した経験が多少あるよなって思った時の後ろめたさがテーマですかね…。

溝井 : 個人的に最初はあまりハマらない曲でして、録音するかどうか迷ってたくらいなのですが、アレンジも加えながら完成させたところいい感じになってくれましたね。思いがけずみなさんの反響がよくて自分らも驚いています。この曲に関しては大鷹のボーカルの才能の片鱗が見えていると言えるでしょう。ひとりでこんなに色々な声が出せる人はあまりいないんじゃないでしょうか。少し気持ち悪いくらいですよね。ライブ見るのも期待していてください。



・3曲目”The Have-nots”ではDECEMBER EVERYDAYのKADOWAKIさんがfeat.されていますが、このコラボはどのようにして実現したのでしょうか?

大鷹 : 僕がDEの曲のボーカルカバー動画をあげた時にDEのドラムのひでぽんさんが観てくれて、それをきっかけにDEのFatal Furyという曲でfeat. させていただいたことがありました。そのお返しというと変ですが、こちらもKADOWAKIさんのようなパワフルなボーカルを呼んで一曲作ってみたいなという話が元々あったのでこの機会にお願いしたところ快く受け入れてくださいました。送られたデータも素晴らしいものですごくかっこ良く仕上がったと思います。



・個人的に仙台のシーンはアットホームで良いバンドも多く、好きな地域の一つです。皆様から見て、仙台の現シーンについての印象を教えてください。

大鷹 : いろんなライブハウスがあって、それぞれに個性や特色もあるのがいいなって思っています。それでいて初めてのハコでライブをした時もいいライブができたときには快く受け入れてくれるのでもっといろんなハコでどのくらい自分たちが通用するのかというのを知っていきたいなと思っています。

千葉 : アットホーム感は非常に感じます。初ライブで共演バンドの方やお客さんから年齢やキャリア関係なしに声をかけていただけたのが未だに印象に残っています。各々バックグラウンドがはっきりしている方が多く、雑食の私は羨ましく思っていますし非常に刺激になります。また仙台という土地柄、遠征で遠くのバンドが来てくださることも活性化に繋がっているのかなと想います。マリナさんには様々な機会を与えていただき本当に感謝しています。

みね : 私の印象は、離れても、また集まれるシーン。そう考えています。それこそ仙台はTaste・MurderHead・SOH等の先輩方々が、メタルやラウドシーンを創り上げてきました。ですので同じ音楽を聴いて知り合った、なんて人たちがいらっしゃるように思います。表面的には落ち着いたように見える仙台のシーンが、新手のバンドが名乗りを上げると、また再沸騰するのはきっと潜在的に刷り込まれた激しい音楽への愛情が、きっと残り続けているからなんだと考えています。仙台のシーンは何だか温かくて、私はとても好きです。

溝井 : 我々もまだまだひよっこであり、シーンのについて語るのはおこがましいかもしれません。そんな我々でも、仙台に限らず東北のシーンは他のバンドに対するリスペクトが感じ取れるなという印象があります。馴れ合いにならず、ほどよくピリピリとした緊張感が漂っている。東北のバンドが首都圏でのライブでかましているのを見ると、少し悔しく、それにも増して自分も嬉しく・誇らしくなる。東北のバンドはみんな東北を盛り上げたいという気持ちが同じで、それぞれのやりかたでそれを体現しようとしているのかなと感じています。我々もその一端を担っていければ幸いです。



・また、現在の仙台や東北のシーンで是非聴いてもらいたいと思うオススメのバンドがいれば教えてください。


大鷹 : たくさんいますね…。DECEMBER EVERYDAY、 Break of Chain、 MURDER HEAD、 Diktator、 A Wish To The Starlit Sky(福島)、 Embody The Chaos(山形)…。メタルではないのですがBurroughsというバンドもRATMみたいなグルーヴがあって好きです。あと、交流はないのですが、REEVESというエモっぽいハードコアバンドを動画で観たときに、ぜひライブでも観てみたいなって思いました。

溝井 サークルの後輩なので贔屓しますと、A LINE IN YOUR BOOK

というバンドはぜひ皆さんに聴いてもらいたいですね。SaosinやSenses failなどの「あの時代」のスクリーモを自分らなりに解釈しているいいバンドだと思っています。外でも活動していってほしいので、興味を持った方はぜひ企画に誘ってあげてください。



・音楽シーンの現状やそれぞれの生活もある中で様々な変化の多い年になるかと思いますが、提婆達多としてのこれからの活動のビジョンや目標を教えてください。

大鷹 : 昨年まではT. M. Music Recordsのおかげもあり、憧れのバンドとの対バンをたくさん実現させていただきました。おこがましいかもしれませんが、いつの日か自分たちもそういっただれかの憧れのバンドになれたらいいな なんて思います。とりあえず目標として、年内にアルバムなりEPなり音源をもう1つくらい出したいです。

溝井 : 我々がここまで大きくなれたのは、T. M. Music Records様を始め、偏に応援してくださるみなさまのおかげです。本当にありがとうございます。現在大学院にいっているメンバーは2022年で卒業なので、そうなると仙台に残るメンバーはほぼいなくなってしまうと考えます。仙台で活動できるリミットは迫ってきているのかもしれません。それまでの目標として「大きなステージで演奏すること」と「フルアルバムを完成させること」を挙げます。より多くの方に我々の音源を聴いてもらい、そして何よりライブに来ていただけるように、これからも精進していきます。



・最後に、今ライブがなかなかできない状況の中ですが、皆様のライブを心待ちにしているファンの皆様やこのインタビューの読者の方へメッセージをお願いいたします。

大鷹 : ライブハウスの営業に関してはまだまだ難しい状況ではありますが、皆様が出来る範囲で楽しめることや未来につながる活動を見つけてそれに取り組んで乗り越えていけたらなと思います。

みね : 今はこんな状況ですが、またライブができるような環境になったら、皆で集まり、音楽を楽しむ事が出来る空間を共に作りましょう。

千葉 : 私はこの春から就職し生活が大きく変わりましたがやはりライブをしたい気持ちは消えません。提婆達多というよりは個人的なビジョンとなってしまいますが、コロナ禍が収束した際にはまたライブハウスで集まって同じ音楽を楽しめたら幸いです。

溝井 : 東北のバンドは「東北を盛り上げたい」という一心で活動していますが、それを体現してくれるのはライブハウスまで足を運んでくださる観客の皆さんです。すこしでも興味を持ってくれたら、ぜひライブハウスまで来てくだされば我々も嬉しいです。 また皆さんの前で演奏できる日を楽しみにしております。

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以上となります!貴重なお時間をいただきありがとうございました。
また1日も早く仙台含めた全ての国内外の音楽シーンに笑顔が戻りますように。そして提婆達多(Devadatta)の今後の活躍もとても楽しみにしています。


Band Official Twitter : https://twitter.com/DevadattaBand



Make Them Sufferと共演してみたい、とBa.のみねさんがMHz Festのアカウントに対して引用ツイートをした日の事は今でもはっきりと覚えている。

その頃、仙台のシーンについては全く無知な状況で、当時MACANAのスタッフであった馬渕さんに全てお任せして組んでいただいていた。海外バンドの招聘をしツアーを組む中で、沢山の誰に宛てるでもない「出たい」ツイートにはよく巡り会うことがあったが、彼からの一言は「チャンスがあるのなら新米バンドでも共演できるのでしょうか?やってみたいです」という丁寧な気持ちが伝わってくる物だった。思わず「MACANAに連絡してみてください」と返してしまったほどに。
結局Make Them Sufferの時に出演する事は叶わなかった彼らだが、実はその公演時に「こういう問い合わせをして来た子がいたんですよ、多分学生じゃないかなって…」と好印象な文章が忘れられず、その後を馬渕さんに聞いてみた。
「あぁ、多分だけど提婆達多……このバンドじゃないかな。今回はもう枠が埋まっちゃってたから結局出られなかったんだけど」
「今の若い子の中でこうやって丁寧にチャンスに食らいつこうって子、あまりいないと思うんです。文章だけですけど本当に印象が良くて…。もしまた次、仙台に私が来るときにチャンスがあったら出してもらえませんかね…」
「そうそう、だから今度の12月のツアーでどうかなって思ってるんだよね」
……実はあの時こんなやり取りもあったのだ。


その楽曲構成からは全員のセンスや頭の良さが滲み出ている、そう個人的に思っている。初めて観た時「あ、この子達 I, Valianceと同じタイプだ…」と手放しに感じた。それほどまでに、あの日のショーでは荒削りな部分が見えつつも、その底知れないセンスの塊をぶつけられたような気分だった。
そしてステージを降りた彼らはとても好青年なのである。数多くのデスコアバンドと接して来た中で、"音楽に人間性は関係ない、学歴も関係ない" …そんな言葉は沢山耳にしてきた。
でも『本当の意味で人間的に頭が良くないと、人柄が良くないと…せめて1人だけでも常識あるそんな人物がいないと…バンドは、特にデスコアバンドは長く強くは続かない』正直心底そう思うことに沢山遭遇してきた。そこについても、個人的には手放しで褒めちぎりたいほどの素敵な人間性を持った子達だった。もっとこの衝撃を多くの人達に知ってもらいたい、そう思い2020年のSlaughter To Prevail来日では東京公演への出演をお願いした。

昨今の世界情勢の中、ライブをする事は現状難しく、また海外からの招聘活動を行うプロモーターには致命的なダメージが残っている。
インタビューの中でVo.大鷹さんの言った「だれかの憧れのバンドになれたらいいな」、この言葉がいつか必ず叶う日が来ることを願って止まない。そして、そんな音楽シーンや多くのファンの人々の笑顔が戻って来る事、ライブハウスでそれに出会える事、これまで当たり前のように感じていたその日常が一日も早く戻って来ることを願っている。

改めて今回このインタビューを受けてくれた提婆達多の皆に、この場を借りて心からの感謝を述べたい。曲の制作やバンドの成り立ちについても、とても興味深い内容が聞けたと思っている。まだまだ掘り下げて聞きたい話もあったが、それはまたいつか。


ありがとうございました。また皆のライブを観たり会って話ができる日が来ることを願っています!

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