Tetsuya Miwa

電子音楽 / Csound / モジュラーシンセについて、twitterのツイートでは…

Tetsuya Miwa

電子音楽 / Csound / モジュラーシンセについて、twitterのツイートでは書ききれない、もう少し突っ込んだ情報を掲載します。(since 16Jan2021)

最近の記事

Daisy Seed事始め(第3回)

今回は、Pythonのツール"pd2dsy"を使って、Pure DataパッチをDaisy Seedで動かす手順を記載します。本手順はPC上にPythonの開発環境があることが前提となります。pd2dsy v1.0.0はPython3.8以上が必要です(Mac OS(Intel),Python3.9.7で動作確認しました)。 注)Discordの情報によれば、pd2dsyのコンパイラは非常に古く(そのためMIDI機能をサポートしていない)、今後アップデートされる可能性も低い

    • Daisy Seed事始め(第2回)

      Daisy SeedでPure Dataのパッチを動かすには、2つの方法があります(2023/12/20調べ): plugdataを使う方法 Pythonのツール"pd2dsy"を使う方法 いずれの方法も、Pure DataパッチをDaisy Seedで実行可能な形にコンパイルした後、Daisy Seedに流し込む、という形になります。Heavy Compiler Collection (hvcc)により、このようなことが可能となっています(参考資料3)。 今回は、手

      • Daisy Seed事始め(第1回)

        CsoundをDaisy Seed上で動かすテクニックが近日中に公開される、という話を知ったので、Daisy Seedを買いました。C++は全く知らないので、必要な範囲でぼちぼち学ぶことにします。 CsoundはC++ APIを介して使うことになると思うので、C++でDaisy Seedを使うための開発環境を用意し、簡単な動作確認まで行いました。参考資料に挙げたElectro-Smithのインストラクションに基づいて実行しただけですが、一部試行錯誤が必要だったので、自分用の

        • Doepfer A-100備忘録(4)A-115 Audio Dividerの出力

          今回はA-115 Audio Dividerについて、詳細な説明をします。 なお、A-115は2008年にversion up(V2)されていますが、本記事ではV1で動作の確認をしています。現行のV2では動作が違う可能性があります。 ■2つのdivider: A-115とA-160-1A-115 Audio Dividerは、周波数が高く可聴領域(オーディオレート)にあるシグナルをdivide(分周、分割)するモジュールです。前回説明したA-160-1 Clock Divi

        Daisy Seed事始め(第3回)

          Doepfer A-100備忘録(3)A-160-1 Clock Dividerの出力

          今回はA-160-1 Clock Dividerについて、Doepferのマニュアルには記載されていない、詳細な動作説明をします。 ■Clock DividerとはClock Dividerとは、入力されたクロックの周波数を1/2, 1/4, 1/8 … 1/(2n)と分割するものです(分周という)。例えば120BPMのクロックを入力すれば、60, 30, 15, … BPMのクロックが出力されます。 この説明から、どのような出力クロックがイメージできるでしょうか?単純に

          Doepfer A-100備忘録(3)A-160-1 Clock Dividerの出力

          ExcelValley製パッチケーブルのレビュー

          ExcelValleyのモジュラーシンセ用パッチケーブルを購入したので、レビューします。 ExcelValleyは中国深圳市の会社で、Amazonにも出品しているので、パッチケーブルを探したことがある人は見覚えがあると思います。 自社のウェブストアもありますが、AliExpressにもストアーがあり、後者で買うのが割安なようだったので、今回はこちらから購入しました。 このメーカの良いところは、カラーと長さの組み合わせが多いことです。私は、同じ長さのパッチケーブルは同じカラ

          ExcelValley製パッチケーブルのレビュー

          ArduinoによるCsound/PureData/SuperColliderのコントロール

          2022年のInternational Csound Conference(ICSC2022)で、Arduino関連の新しいopcodeが紹介されたこと、また、家族サービスで(音楽以外の目的で)Arduinoを使うことになったことを機会に、ArduinoでCsoundをコントロールすることにトライした。 それだけだと興味を持つ読者がほとんどいないと思うので、同じArduinoのスケッチを使って、PureData、SuperColliderもコントロールしてみた。 ■やって

          ArduinoによるCsound/PureData/SuperColliderのコントロール

          User Defined Opcode(UDO) in Csound

          User Defined Opcode(UDO)とは、Csoundの既存の命令を組み合わせて、独自の命令(opcode)を作る機能です。Pure Dataでいえばabstractionに相当すると思います。UDOの特徴に、自らを再帰的にcallすることができる、という点があります(recursive UDO)。recursive UDOによってしか実現できない処理もあるのですが、その辺りのことはマニュアルにあまり明確に書かれていないので、解説します。 ■UDOの簡単な例まず

          User Defined Opcode(UDO) in Csound

          Doepfer A-100備忘録(2)A-145-1 LFOとA-147 VCLFOのsawtooth

          今回はA-145-1(LFO)とA-147(VCLFO)のsawtoothについての備忘録です。マニュアルに記載のある内容ですが、気付きにくいので記事にしました。 なお本記事のVCLFOは、現行機種のA-147-2(VCDLFO)ではなく、生産中止になったA-147です。 ■A-145-1のSawtooth waveA-145-1のSawtooth/Inverted sawtoothは、他の波形と比べて周波数が倍になっています。このことは、A-145-1のマニュアルには記載

          Doepfer A-100備忘録(2)A-145-1 LFOとA-147 VCLFOのsawtooth

          Doepfer A-100備忘録(1)A-111-1とA110-1のsawtooth波形

          「Doepfer A-100備忘録」というシリーズで、Doepfer A-100についての瑣末だけれどメモしておきたいことを書き綴ります。 今回はA-111-1(High End VCO)とA-110-1(Standard VCO)のsawtooth波形の違いについての備忘録です。 なお所有しているのは、モデル番号がリネームされる前の時代のA-111、A-110です。生産時期によって動作に違いがあるかもしれません。 ■VCOを重ねても音が厚くならない?(その昔)A-100

          Doepfer A-100備忘録(1)A-111-1とA110-1のsawtooth波形

          iPhoneの加速度/ジャイロセンサーからTouchOSCを介してCsoundをコントロール

          たまにしかTouchOSCを使わないので、基本的なセットアップ方法を忘れないように備忘録を作りました。また、TouchOSCからiPhoneの加速度/ジャイロセンサーの値を送信できる、ということを最近知ったので試します。 前提条件として、同一LAN内にあるiPhoneとPC(ここではMacBook Proを使用)の間でOSC通信をします。また、iPhoneにはTouchOSC(Mk1ではなく、新しい方のバージョン)をインストールし、PCにはProtokol (OSC mes

          iPhoneの加速度/ジャイロセンサーからTouchOSCを介してCsoundをコントロール

          アニメ「チャージマン研!」と湯浅譲二「プロジェクション・エセムプラスティク」

          アニメ「チャージマン研!」2022年3月に、アニメーション「チャージマン研!」がYouTubeで無料公開されたという記事がねとらぼに掲載されました[1]。このアニメは1974年に放送されたもので、その内容のちょっとおかしいところが、以前よりアニメファンの間では話題になっていました[2]。 このアニメについては、ねとらぼの記事で初めて知り、何話か視聴しましたが、確かにツッコミどころ満載の作品でした。一方で、劇中に使われたサウンドについて、気付いた点があるので以下に解説します。

          アニメ「チャージマン研!」と湯浅譲二「プロジェクション・エセムプラスティク」

          Csoundでシフトレジスタ&AU/VST plugin化 (3/3)

          以前の記事で説明したシフトレジスタをCsoundでプログラミングし、AU/VST plugin化します。 CabbageによるAU/VST plugin化■Cabbage CabbageはCsoundのIDEの1つで、Csoundのコーディング環境として使えるだけではなく、Cabbage独自のコードを記述することで、CsoundのコードにGUIを付けることができます。CabbageはJUCE class libraryを使っているので、動作が速く見た目も良いGUIが作成で

          Csoundでシフトレジスタ&AU/VST plugin化 (3/3)

          Csoundでシフトレジスタ&AU/VST plugin化 (2/3)

          以前の記事で説明したシフトレジスタをCsoundでプログラミングし、AU/VST plugin化します。 プロトタイプ2:ランダムネスの導入前回作成したプロトタイプ1に、ランダムネスを導入します。 ランダムネスのコントロール方法 色々な方法が考えられますが、簡単なのは、bit 0の値をbit 7にシフトする際に確率的にbitを反転させる方法です。 ランダムネスは0 〜 1の値で指定する(0:ランダムネスなし) 0 〜 1の値をとる乱数(一様分布)を生成する 乱数の

          Csoundでシフトレジスタ&AU/VST plugin化 (2/3)

          Csoundでシフトレジスタ&AU/VST plugin化 (1/3)

          以前の記事で説明したシフトレジスタをCsoundでプログラミングし、AU/VST plugin化します。 プロトタイプ1:シフトレジスタの動作確認のための単純なプログラムまずは、シフトレジスタの基本動作が確認できるような、単純なプログラムを作成します(音出力は無し)。簡単にするために、シフトレジスタは8 bitの固定とし、ランダムネスは導入せずに、単にビットを右シフトするだけのものを考えます。 なお、慣習的に最下位のビットはbit 0、最上位のビットbit 7と呼ぶので、以

          Csoundでシフトレジスタ&AU/VST plugin化 (1/3)

          モジュラーシンセとシフトレジスタ

          この記事では、シフトレジスタについて、モジュラーシンセへの応用という視点から、動作原理の説明をします。 シフトレジスタを使ったシンセモジュールDoepfer A-117 Digital Noise / Random Clock / 808 Sound Source Doepfer A-149-1 Quantized/Stored Random Voltages Music Thing Modular/Turing Machine After Later Audio Benj

          モジュラーシンセとシフトレジスタ