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伊佐 知美
2017年10月13日 22:53
その日、ホーチミンに着いたとき雨は降っていなくて、わたしが宿にたどりついてそして眠りにつくころ、ごろり、という光と音の幕開けの合図とともに、激しい雷雨がはじまった。わたしの部屋は、ホーチミンの賑やかな市街から離れた小さなブックストアの、3階だった。地上から離れているぶん空に近くて、そして雨にも近しい場所。ざああ、という形容では足らないくらい、雨は降って、降って、一晩中降り続いていたように思う。