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はじめに:

はじめに:
スペインでは一般的に、クリスマスは宗教行事としてとらえられている。
8日の無限罪の御宿り、または聖ニコラスの日をシーズンの始まりとする家庭も多く、この日親族が集まってお祝いをすることもある(元々、日曜日などの安息日には家族で集まることが多いのだが)。
25日は休日だが、幼子キリスト(Jesus)が生まれた日であることが重要なので、伝統的には家族で集まり食事をしたりミサに行ったりする。前日のイブから集まることが多い。サンタクロースは新しめの習慣なので、大きなプレゼント交換をしたりはしない。が、ハロウィーンと同様、子ども達のためにその習慣は広まりつつある。
31日の大晦日には、除夜の鐘が12回つかれるタイミングで12粒のブドウを食べきることができると、次の年が良いものになると言われている。大晦日はたいてい近しい友人たちと過ごすことが多く、夜更かしどころか朝まで騒ぐこともある。また、赤い下着を着ると縁起が良いとされる。
1日は元旦で、おせちのようなものはないが、チュロスにホットチョコレートを食べるという習慣がある。2日から通常日となる(学生はまだ冬休みだが)。
5日は、幼子キリストを参拝した三賢者の日である。御子に乳香を送ったということにちなんで、三人の王たちがプレゼントを持ってきてくれる。この日がスペインの子ども達にとって、一年で最も楽しみな日のうちのひとつである。たいていの町で夕方から夜にかけてパレードが催され、3人の王さまたちが見に来た子ども達に、飴やちょっとしたプレゼントを餅投げのように配ってくれる。この日、ロスコンという甘いパンを切り分けて食べるが、これにはプレゼント(コインや小物)とソラマメが入っていて、プレゼントが当たった者はその日の王さまとなり、ソラマメに当たったものはロスコン代を払わなければいけないと言われる。寝る前に、王さまのためにお酒を用意したり、乗り物のラクダにニンジンを置いたりするのは、サンタクロースと同じ。
プレゼントは6日の朝にやってくるところが多いそうだ。この日はクリスマス最後の休日なので、家族で集まって食事をしたり、贈り物の交換をしたりする。

1.  スペインで習い事というと、サッカーなどの花形スポーツクラブの他、他言語のアカデミー、公立音楽院・ダンスの学院の初等・中等部に通う者も少なくない(これら学院は終業すると、義務教育での音楽・体育が免除され、大学と同位にある音楽院などへの入試を許可される)。学習の補助としてはKumonに人気がある。このため、最近では一般教育を昼の二時までとし、放課後の活動を支持する学校が増えてきている。

2.  多くの場合、大きな街の一角には娼館が存在する。最近では移民が増えたためか、古くからある娼館では外国人女性が多く働いているという。郊外の高級住宅地の一階を買い取って開業する、高級娼館もあるとされる。マドリッドなど、大都市ではそれと有名な通りもあるが、基本的に街中での客引きはないと考えて良い。ハイウェイの道沿いでは、イスに座ったりして客を待つ姿を見かけることができる。

3.  屋台の焼き栗は秋から冬にかけてのヨーロッパの風物詩である(フランスにもあるらしい)。焼き栗屋はドラム缶のようなもので火を起こし、その上にウォックなどを乗せて栗を焼く。トウモロコシは夏場でも売っているが、おそらく乾燥による火災の予防のため、海辺などのみに見られ、街中には現れない。バレンシア市内では、地方名物であるオルチャタという甘い飲み物の屋台が通年存在する(ただしこれは癖があるので、屋台の物は慣れないものにはおすすめしない)。三月の火祭りになると、チュロスとかぼちゃのドーナツの屋台が市内の道を文字通り埋め尽くすようになる。

4.  自然保護地区というものがある。文字通り自然を保護するための場所で、その中で家を持ち、普段の生活を営む者もあるのだが、基本的に地区内では動物は保護され(狩猟が認められている場所もある)、植物を採集することが禁じられている。住宅が近い、アクセスが便利である場合、近隣住民のランニングや、犬の散歩コースになっていることもある。山岳部では秋から冬にかけて、ロードレースやマウンテンバイクの練習に利用されることも多い。

5. ツイッターは日本ほど、活発に利用されるSNSではないようだ。中高生には(登録規則に反することではあるが)インスタグラム、大学生頃からはフェイスブックが人気である(ビジネスではLinkdinが有効)。利用者を限って利用するものでは、What’s APPが主流。蛇足ではあるが、西洋の感覚では口元の表現が目元のそれよりも強いとされ、絵文字の使用者の意図するところは異なるらしいという研究結果がある。

6.  カトリック国であるスペインでは、日曜日は安息日なので、スーパーや店は閉まっている。個人店の場合、土曜日は大体昼の2時くらいまで。最近では大きなコマーシャルセンター、観光地などでは休日にも開店しているところもあるが、そうすると周囲の商店は立ち行かなくなってしまう。故に開店禁止命令が出されては、また休日開店の許可をとる、といういたちごっこが続く。コンビニのようなものも、なくはない。年配の人たちは多少不便であったり、高額であったりしようとも、地元の商店や市場を愛用することも多い。

7.  「三題噺(さんだいばなし)とは、落語の形態の一つで、寄席で演じる際に観客に適当な言葉・題目を出させ、そうして出された題目3つを折り込んで即興で演じる落語である」(Wikipedia)もの。言語能力(構成)を鍛えることができると言われ、教育として子どもたちに似たゲームを行うこともあるらしい。

8. バレンシア地方はオレンジやアーモンドなどが名産である。というよりは、降水量が少ないため、自然と水が少なくて済む農作物が栽培されるようになったようだ。ただし、海岸沿いは湿地も多く、このためアラブ人の侵略からもたらされた米が食料として受け入れられ、パエリアなどが作られるようになった。オレンジは街路樹としてもよく見られ(これは食べてもおいしくないらしい。アサールが咲く時期には素晴らしい香りがする)、少し郊外へ出ると、一面が柑橘類の畑であることも珍しくない。冬近くなると、ハイウェイの道端で無人販売所が設置されたり、例えばオーナーが畑を持っているなどして、キオスコや美容院など、オレンジとは全然関係のない店舗で、一袋いくらで売ったりしている光景を見ることができる。

9.  癌の治療により髪を失った子どもたちのために、かつら用の髪の毛を寄付する制度がある。しかしこれはある程度の長さが必要であり、しかも一度でも染めたりパーマをかけたりしていると使用できないので、近年では得られづらくなっているようだ。切った髪は個人でも郵送で送ることができる。施設によっては、どんなかつらとなったのか、教えてくれるところもあるらしい。日本人の髪は柔らかく、細いので向いているとのこと。

10.  寒くなると風邪の防止やのどの痛みへ、はちみつが多用されるのはどの国も同じである。スペインでは養蜂も盛んだ。蜜をとる花の種類によってはちみつの色・味は異なり(混ざっているものもある)、ハーブの花から採ったものが、特に別々にされて売られている。オレンジ栽培の盛んなこの地方では、オレンジ畑に巣箱を設置して蜜と果実を得る農家もあるようだ。

11.  地域によってシステムは異なるが、現在バレンシア市内ではごみ箱(臭気を避けるために、夜から回収までの朝の間だけ利用することができる)、紙、食品容器、ガラス、場所によっては生ごみ専用のごみ箱が一定の区間に置かれており、住民はそれを利用する。最近では衛生面から、コンテナではなく、地中に落とすタイプが増えつつある。服リサイクルのための回収ボックスには種類があり、正規の団体のものだけではなく、古着を転売する業者が不法にそれに似せて設置したものもある。

12.  三題噺の展開として、数フレーズごとに新しく単語を付け加え、小話を作り上げるという亜種を作った。このシステムでは、前もってオチにもっていきようがないのが面白いところだ。ところで、スペイン人の多くが、日常的に下ネタに親しんでいる、というと語弊があるが、言語的にそういったジョークを作りやすいという背景はある。特にそこに下世話な裏の意味はない。ただ日常を楽しむための冗談であるので、深く考えてはいけない。

13. クリスマス菓子の代表的なもので、トゥロンがある。スペイン式ヌガーと呼ばれることもあるが、別のものである。固いものと柔らかいものがあり、固いものはメレンゲ入りの飴でアーモンドを固めていて、これは割って食べる。柔らかいものは固めのピーナツバターのアーモンド版を想像すると大体合っているだろう(これはアイスにもなっていて、年中食べることができる)。これをベースに、様々なドライフルーツや別のナッツを使った亜種が様々にある。また、ナッツに糖衣をかけたものもよく食べる。

14.  “子どもくじ”というのは年末ジャンボみたいなもので、かなり高額が当たるくじなのだが、一枚が高いので個人買いしないことが多い。例えばオフィスや学校、バルや何らかのチャリティで、一枚のくじを分割したものを購入する場面によく出くわす。当たった場合、購入者全員で山分けとなる(毎年のように持ち逃げのニュースもでてくるが)。子ども、というのは幼子キリストのことで、発表はクリスマス前。

訂正:22日のくじはクリスマスくじで、最も高額当選の子どもくじは1月5日でした。間違えてすみません。

15.  バレンシアは恒常的に、通りが汚い。毎朝清掃員が落ち葉を片付けたり、時には水を撒いて汚れを落とす作業車が走っていたりすることもあるのだが、足元を見ないで歩くことができない。まず、犬の糞を片付けない人間が多い。数年前から糞の放置には罰金が科せられているのだが、あまり効果はなかったようだ。また、海に近く湿気が高いので、夏には害虫が発生する。これらはよく、来訪者から街の欠点として挙げられる。

16. バレンシア市ではペンギンを見るところがない。チェーン動物園であるらしいBioparcと科学館と併設する水族館があるが、どちらにもペンギンは飼育されておらず、日本人には少し奇妙に感じられるかもしれない。実をいうと、世界で飼育されているペンギンの大部分が日本の動物園に属しているのだそうだ。

17. 近年の異常気象ではそこまででもなくなったが、バレンシアはほんの十数年くらい前までは、冬でも暖かい地方だった。滅多に雪は降らず、北欧の人などは、冬のバカンスでもビーチで海水浴をしていることもあったほどだ。一年で一番寒いのは一月から二月のカルナバル当たりなので、十二月ならばまだ半袖の人もいたくらいである。

18. ヨーロッパは全体的に硬水である。基本的に水道の水はそのまま飲めるということになっているが、バレンシアでは浄化方法が悪いのか、においが悪くて飲む者は少ない。飲料水はスーパーや配達のミネラルウォーターを買う。また、カルシウムが多いので、シャワーなどがしょっちゅう詰まる。これを解消するため、薬剤を混ぜてカルシウムを塩にし、排除する方法があるが、そうすると今度は塩水になってしまうため、また別の機械と取り付けるなど、大掛かりになるので一般的ではないようだ。

19.  クリスマスシーズンは音楽院の学生にとって、一年で最も学業が活発な時期でもある。様々な場所で公共にむけて、パフォーマンスする姿を見ることができる。蛇足だが、教会がクリスマスの飾りつけをするのは、ベレン飾り以外は一般的ではない。
クリスマス曲参照:Adeste fideles, Los peces en el rio

20.  例えばドイツの有名なクリスマスマーケットとは異なり、スペインのそれは観光向けで、手作り(風)のお土産品の店が多い。当然、ヴァン・ショーなど食べ歩きの品は売っていない。食べ物は定番のナッツの、飴またはチョコ固めであるトゥロンか、はちみつ、加工肉くらいであろう。あとはアクセサリーや陶器、木工のキッチン用品や玩具など。通常よりも高額である場合が多い。

21.  バレンシアは数十年前の洪水を最後に水脈の位置が変わったと言われ、そこを中心に王国を栄えさせた河川は干上がって、今は公園になっている。橋の数は多く、その特徴によって石の橋、木の橋、花の橋という愛称がついている(それが正式名称であるものもある)。旧街道近くの石の橋には幽霊がでるという噂があるが、なぜか旧市街の方では聞かない。

22. バレンシア首都は小さいので、都市部内を移動するのにあまり問題はない。地下鉄、バス、トラムなどの公共交通機関が充実しているし、最近ではもっと小回りの利く、貸自転車の店も増えてきている。都市から都市へ移動する場合には、車が便利な場面もある。電車や長距離バスは場所によっては各駅停車で時間がかかったり、目的地までつかないことも多い。車は右側通行、ロータリーがいたるところにあるので、慣れない者には少し怖い。

23. シーズンになると、多くのサーカスが街にやってくる。定番のアメリカン・サーカスから、ちょっと変わった趣向のものまで、内容は様々である。サーカスは大きな駐車場や空き地を借りて、そこにテントを建てて数週間から数か月まで滞在する。機材を運んできたトラックが、そのまま移住場所になっていることもあり、昼間にテントの裏側を通ると、生活してる姿が見られて面白い。

24.  この地方では、ウサギと子羊(ラム)も一般的な食材で、スーパーで普通に売られている。ぶつ切りもあるが、ウサギは丸のまま、皮がはがされた姿で置かれていたりする。山岳地方出の友人が、若いときにデートで夜山に登りに行き、星を眺めていたら迷子の子羊を見つけ、後日家族でおいしくいただいた、という冗談みたいな本当の話がある。そのときの彼女の家もウサギを飼っていたが、もちろん愛玩用ではない。

25. スペインでは一般的はクリスマス料理というものがない。もちろん地方によって傾向はあって、例えば内陸なら肉と野菜を煮込んだものを伝統的には食べていたようなのだが、「クリスマスだからケンタッキーとクリスマスケーキ」と決まっているメニューはない。パエリアと同様に、休日の大掛かりな料理は、普段は料理をしないお父さんがやることが多いようだ。

読んでくださってありがとうございました。少しでも楽しんで頂けたらうれしいです。