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作業部屋の床に転がって、サーシャとモモはじっと動けないでいる。 恐怖で乱れた息は、徐…
ただやり過ごすだけでは、テイムズ河の怪事から、サーシャの頭は離れられないようだった。 …
「探偵って、何故こんなに謎の解明に手間がかかるのかしら」 図書館で借りてきた本から顔を…
僕は幼い頃、駅でテロに巻き込まれたことがある。 それなりの大事件だったから、多分覚え…
最初の少女が亡くなったのは、彼女が九歳になる前の月のことだった。 珍しく乳母と一緒に…
僕の部屋の押し入れの中には、人を殺して食った犬が住んでいる。 少なくとも、そういう噂…
息子が年頃になってきたので、そろそろ本気で将来を考えるべきかと思い、転校先の見学にやってきた。 なんせ中学生になった息子は、息を吸うように毒を吐く。 母親のわたしは生まれてから一緒にいるのでもう慣れたものだが、これでは同級生、友達は一緒にいるのも辛かろう。 幸い、まだ深刻なトラブルは起きていない。 今のうちに、なんとかすれば、更生できるだろうと判断した。それを親が行うのは過保護すぎるかもしれないと、自分でも思わないこともないけれど。 引き受けてくれる学校は、全寮制
僕は昔から絶滅した動物が大好きで、特に恐竜と鳥の中間に位置するであろう恐鳥類だけは、い…
空を覆う雲は薄いのに、妙に暗い日曜日の午後のことだった。 わたしは外出用のノートパソ…
手塩にかけて育てた愛弟子が、「やっぱり普通の人間になる」と進路を変えて、しばらくになる…
わたしの田舎にはほとんど知られていないのだが、世界遺産で知られるダードルドアのアーチ石…
ある冬の日の午後、お茶請けに出したぶどうの中に、呪いを見つけた。 スーパーで買ったパ…
雨が降ると、カブラチョが山から下りてくる。 道路にへばりついて、身体を乾かそうとする…
男がわたしを捨てたので、怨霊となった。 別の女に懸想した男はわたしが邪魔になって、首を絞めて沼に捨てたのだった。物心つく前からの許嫁であったのだが、男からしてみれば、わたしは金を得るための人質でしかなかったのだろう。 苦しみ、全てを奪われても、わたしには見ていることしかできなかった。 わたしの恨みは男には届かず、どんなに憎しみを向けてもかの女には痛くも痒くもない。祟れば祟るだけ、彼らは幸運と金運を得て、幸せに暮らすのだ。そしてそれを見なければならない、わたしの苦悩は増