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スライス・オブ・ライフ アドベントカレンダー2023

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人生はケーキ一切れ分。
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2023年12月の記事一覧

おわりに

 23年アドベントカレンダー、お付き合い頂けまして、本当にありがとうございます。少しでも楽…

tmk
6か月前
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25. ワールドエンド3

 作業部屋の床に転がって、サーシャとモモはじっと動けないでいる。  恐怖で乱れた息は、徐…

tmk
6か月前
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24.ワールドエンド2

 ただやり過ごすだけでは、テイムズ河の怪事から、サーシャの頭は離れられないようだった。 …

tmk
6か月前
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23.ワールドエンド1

「探偵って、何故こんなに謎の解明に手間がかかるのかしら」  図書館で借りてきた本から顔を…

tmk
6か月前
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22.ある日の地下鉄駅

 僕は幼い頃、駅でテロに巻き込まれたことがある。  それなりの大事件だったから、多分覚え…

tmk
7か月前
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21.三人のアリア

 最初の少女が亡くなったのは、彼女が九歳になる前の月のことだった。  珍しく乳母と一緒に…

tmk
7か月前
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20.押し入れのトーティ

 僕の部屋の押し入れの中には、人を殺して食った犬が住んでいる。  少なくとも、そういう噂をされている。  本当に食ったのか、実際にはわからない。食べられたとされる遺体は発見が遅かったため損傷が激しくて、肉をちょっと齧られていたくらいなら、わからない状態だった。事件発覚から三週間も過ぎた今となっては、例え犬を解剖しても、証拠は出まい。  犬は、名前をトーティという。  小さな黒いピンシャーなのに、「サビネコ」と呼ばれていた。  亡くなった伯母の飼い犬だった。正確な年齢はわからな

19.恩師欠席

 息子が年頃になってきたので、そろそろ本気で将来を考えるべきかと思い、転校先の見学にやっ…

tmk
7か月前
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18.ルフ

 僕は昔から絶滅した動物が大好きで、特に恐竜と鳥の中間に位置するであろう恐鳥類だけは、い…

tmk
7か月前
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17.七面鳥とわたし

 空を覆う雲は薄いのに、妙に暗い日曜日の午後のことだった。  わたしは外出用のノートパソ…

tmk
7か月前
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16.普通

 手塩にかけて育てた愛弟子が、「やっぱり普通の人間になる」と進路を変えて、しばらくになる…

tmk
7か月前
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15.沈む海

 わたしの田舎にはほとんど知られていないのだが、世界遺産で知られるダードルドアのアーチ石…

tmk
7か月前
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14. ぶどうからコマドリ

 ある冬の日の午後、お茶請けに出したぶどうの中に、呪いを見つけた。  スーパーで買ったパ…

tmk
7か月前
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13.カブラチョ

 雨が降ると、カブラチョが山から下りてくる。  道路にへばりついて、身体を乾かそうとするのである。  そうなるともう、仕事にならない。  この辺りは山からも海からも近く、資源も豊かだから住人の生活にゆとりがある。大抵の人々はカブラチョが道を塞いでいるな、と見ると、「じゃあ今日は休むか」とおおらかに対処しているようである。  カブラチョは農作物を荒らさないし、他の野生動物への影響も少ない。休暇の言い訳にするくらいしか、役に立たない生き物なのだ。  でもわたしはあまり、カブラチョ