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つくものがたり

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ひとつひとつ、積み重ねなにとする
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#アドベントカレンダー

おわりに

九十九夜のものがたり、いかがでしたでしょうか。 まずは、ありがとうございます。 お疲れで…

tmk
1年前
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99. おしまい

 嵐の夜、内外の皮が裏返しになったキツネがやってきて、アヒルの卵をカエルに孵化させろとい…

tmk
1年前
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98. 幻想動植物に関する法と権利について

 今回は付喪神に関連付けて、話をしたいと思う。  青森で起こった事件は、まだ記憶に新しい…

tmk
1年前
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97. 虹のたもと

 虹の袂には、宝物が埋まっているのである。  そういうおとぎ話があるのだ。虹は宝物が埋ま…

tmk
1年前
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96. 黒のゴミ袋

 例の感染病が横行して、わたしの生活で最も変わったものを強いて挙げるなら、朝の習慣だろう…

tmk
1年前
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95. いつかの見ないクラゲ

 子どもの頃、ある喫茶店の常連だった。  裏通りにある古びた店で、店名は誰も知らない。看…

tmk
1年前
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94. ありがとうございました

 科学館のアンケートがきたのだ。  大規模な鉄道のストライキがあるということで、自主的に休校にした日の、午後も早い時分だった。  直前までは、出かける予定がない時ほど晴れるロンドンの意地悪な空を眺めつつ、キッチンで食後のコーヒーを淹れていた。  姿は見えなくても、庭を訪れたコマドリの可憐な声がする。特別に何があるというわけではない、ありふれた午後。  両親も在宅する曜日だったが、ふたりとも学校をサボった僕に、何も言わなかった。  運航中止とはいえ、バスは動いているのである。無

93. 中庭のミミズ

 子どもの頃、大人に内緒でミミズを飼っていた。  小学校の三年生の頃の話だ。  始まりは、…

tmk
1年前
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92. 吊ったはいいが

 首を吊ったはいいが、戻れない。  否。こちらとしても覚悟の上で選んだ道なのだから、簡単…

tmk
1年前
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91. 年末の習慣

 ある村のことだ。  この村は山間の、かなり自然の厳しい場所にあり、人々は一年を通して食…

tmk
1年前
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90. 夢で見た

 夢を見た。  少女が泣いている夢だった。  身長で判断するならもう女性と言ってもよいのだ…

tmk
1年前
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89. 180,000

 年々、都市部では行方不明者の数が増加していると聞く。  けれども減った人口の分だけ、す…

tmk
1年前
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88. 手の中の小鳥通りへ、ボールペンを片手に

 いったい、ロンドンには壁の落書きがとても多い。  壁に缶入りスプレー塗料で描いた名前や…

tmk
1年前
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87. 現代における憑きものの減少について

 近年で憑きものの事例が減ってきている理由のひとつに、異文化混在が原因だと言われている。  国際化が進み、他国の文化背景を十分に理解できないが、知らないうちに自文化へも影響を受けていて、それをズレと認識してしまう。「憑く」ものと「器」との間に、互いの行動原理に基づく共通点が、見つけにくくなっているからだという。  その論を支持する研究者には、近いうちに憑きものはこの世から消えていくのではないかと危惧するものもいる。極論ではあるが、減りゆく典型的例の事件数を考えると、不安はもっ