11/17 6年越しで飲んだ、憧れのお酒

■お酒が弱い。飲み会に行っても、1杯目からジンジャーエールだったり、飲むときでも甘くて弱めのカクテルにする。その1杯だけで顔が真っ赤っかになってしまって、ちょっとお手洗いに立とうとすると、立ち上がるときにふらつかないかと見守られるような有り様だ。
■そんな、お酒の飲めないわたしが、ずっと憧れていたお酒がある。『一ノ蔵発泡清酒 すず音』だ。スパークリングの日本酒。昔よく読んでいたサイトの中で、はあちゅうさんがエッセイでこのお酒のことを書いていて、その文章がとても素敵で、「いつか飲んでみたいお酒」として、名前を憶えていた。(ちなみに、そのエッセイが載っていたサイトはクローズしてしまったのだけれど、エッセイ自体ははあちゅうさんのnoteで読めるようになっている(有料)。本当に素敵なので、もしよかったら読んでみてくださいな。そのnoteの文章によると、元サイトへの掲載が2012~13年あたりなのかな。6年近く前だ!)
「いつか飲んでみたい」とは思っていても、基本的にお酒を自らすすんでは飲まないので、積極的に探すこともしていなかった。居酒屋に行ってもお酒のメニューは開かないし、酒屋さんにも用事がない。「どこかで偶然出会ったら」「機会に恵まれたら」ぐらいに思っていた。でも、王子様を待つみたいに「いつか出会えたら」と希望は持っていた、のだと思う。
そうしたら、本当に出会ったのだ。去年の夏、埼玉の川越氷川神社に色とりどりの風鈴を見に行こうと、ちょっと遠くのコインパーキングから神社に向かって歩いていく、その途中にあった、いかにも町の酒屋さんという風情の商店が、『すず音あります』と貼り紙を出していたのを見つけた。旦那さんに「ずっと気になってたの!」と訴えて、帰り道に買って帰った。旦那さんもお酒が弱いので、ふたりともが翌日休みで、お酒を楽しめそうな元気な日の夜に開けよう、と約束して冷蔵庫にしまったものの、わたしが土日も休みではない仕事をしていたのもあって、1年以上、そのまま寝かせてしまっていた。それを、やっと、開けることにした。
■綺麗な緑色の瓶。コップに注ぐと、雪の積もった夜を思わせる、薄く白く濁ったお酒。耳を澄ますと、泡のはじける音が、きらきらと聴こえる。日本酒は強くて癖があって飲みにくいという先入観があったのだけれど、すず音はなんの抵抗もなく、するする飲めた。甘くて、りんごのような香り。後口に少しだけ、アルコールを感じる。あっという間にコップ1杯分、飲んでしまった。長年の憧れの分も上乗せして、本当においしいお酒だった。

■旦那さんと横並びで「おいしかった……」とうっとりしていたのだけれど、ふとこちらを見た旦那さんが、「大丈夫!? 真っ赤よ!?」と。鏡を見たら本当に皮膚色を通り越してトマトみたいになっていて笑った。そのうち「心臓って腕にあるんだっけな?」と思うくらい、真っ赤になった腕がどくどくどくどくしだした。久しぶりのアルコールに、体がびっくりしたようで、血流がよくなりすぎた。おかげで冷え性の体がぽかぽかだ。頭痛いとか気持ち悪いとかはなくて、ただただ体が赤い。すごい。

■『すず音』を造っている会社のホームページを見たら、『「仕上」日からなるべく1ヶ月以内にお召し上がり頂くことをおすすめ致します。』って書いてあった……。1年近く熟成させてしまった……。それでもこれだけおいしかったってことは、きちんとおすすめ期間内に飲んでいたら、どれだけおいしいんだろう……。期待高まる。また飲んでみたい。今度はきちんとおすすめ期間内に。

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