11/2 インドア派は山登りなんてしたくなかった

 木曜日の夜。「3連休、どこか行く?」という話題になって、旦那さんが「高尾山に登って、ドラクエウォークのおみやげをゲットしよう!」という提案をしてきた。わたしは即座に苦い表情をして、行きたくないの気持ちを伝えた。ブーイングもした。普段は、わたしが嫌がることはすぐにさっと引いてくれる旦那さんだけれども、その日はいつもと少し違った。「体力なくてもふたりでゆっくりマイペースに行くから大丈夫だよ! 荷物は全部こっちで持つし! 途中でどうしても無理だって思ったら、そこで休んでてくれたら俺だけスマホ預かって山頂まで行っておみやげふたり分ゲットしてくるし。なんだったらケーブルカーで登ったところまでいっしょに行ってくれるだけでもいいよ!」ゲームの中のおみやげにかける熱意が半端じゃない。『そもそもそれだったら家からわたしのスマホを預かって登頂してきてくれてもいいんだよ……?』という案が頭をよぎったけれど、それは言葉にはしないでおいた。旦那さんがここまで熱心なときは、反対したからってどうにもならないことは、長い経験から知っている。とは言え、行くとも言いたくなくて、うんともすんとも返事をしないまま、とりあえずその話題は終わった。

 金曜日。昨日の夜のことを思い出し、自分がなんでそんなに高尾山に登りたくないのかと考えてみた。暑いのも寒いのも嫌だとか、虫が嫌だとか、山道を登るのはしんどいとか、山ほど理由が思いついて、わたしは本当に山登りに行きたくないんだな、と思った。それから、高尾山登頂について調べた。どんなサイトを見ても、初心者向けだとか、幼稚園児でも登れるだとか、そういう「そんなに大変な山じゃない」アピールの文言が載っていた。あと、山の中で食べるお団子はおいしそうだと思った。登りのリフトも気持ちよさそうだと思った。いろいろ調べた結果と、3連休中の天気や今後の予定や冬に向かっていく気候を考えると、「本当に登るなら明日しかない!」という結論に達した。嫌なこと(!)は早いところ終わらせてしまおうと、少し泣きながら、登頂の決意を固めた。仕事終わりの旦那さんからの帰るコールで「何か買って帰るものある?」と聞かれたので、ムスッとした声で本当は嫌なんだけどアピールをしながら「明日高尾山に登りたいのなら、登山に必要なお茶とか水とかを買ってきてください」とお願いした。仕事帰りで疲れているのに、スーパーに寄って買い物して帰ってきた旦那さんのリュックからは、爽健美茶とアクエリアスのペットボトル、合わせて500ml4本が出てきた。重たかっただろうに、それを取り出しながらにこにこしていた。乗換案内を調べたら、家から高尾山口駅(今回調べるまで、ずっと『たかお やまぐち』だと思っていた。正しくは『たかおさん ぐち』だった)まで2時間かからないくらいだった。ので、そんなに気合を入れて早起きする、なんてことはせず、普通に起きて準備ができたら出発しよう、ということにして、寝た。……寝ようとしたけれど、起きたら登山だと思うと、不安や緊張や「とはいえ、やっぱり行きたくない」の気持ちを引きずって、なかなか寝付けなかった。

 →明日に続く。

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