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歌詞を書くのは、頭の中にいる中学2年生

こんにちは。Nimbusのボーカル、TAMAです。
先月連続で風邪をひき、病院の先生から「免疫力無さすぎてウケますね」と言われました。ウケるんだ。

さて、今日のテーマは「歌詞を書く時に心がけている事」についてです。ボーカルのTipsを書くと宣言した最初の主題。このジャンルのリスナーって意外と歌詞に興味ない印象があります(違ったらすいません)。でもだからこそ、どういう感じで歌詞を書いているのか知って欲しいんですよね。作品の一つだし。

テーマはその辺に落ちている

歌詞のテーマは、基本普段から頭の中に溜め込んであります。つまり、オケ音源ができる→テーマ決めの流れではなく、オケ音源ができた時には既にテーマが頭の中にあり、その中から曲の雰囲気に合うテーマを基盤に歌詞を作る順番というわけです。
テレビやネットのニュースで見たトピック、ゲームやアニメの場面等、自分のセンサーに引っかかるものはその場で徹底的に調べ上げ、具体的な知識として貯蔵しておきます。

例えばPromiseの歌詞は、人類初の有人宇宙飛行をしたユーリィ・ガガーリンの話を元にしています。1961年4月、ボストーク1号に搭乗した彼は通信で自分が二階級特進(中尉→少佐)に昇格した事を知るが、これは当時の政府高官が「生還は絶望的である」との見解を元にし云々……

とまあ、ニュースや歴史、ゲーム、アニメ、小説等の知識をさらに具体化し、自分の頭の中に落とし込みます。
え?ノートやメモに残さないのかって?
仮に俺が死んだとして、そんなのが見つかったら恥ずかしいじゃないですか。

フロウvs韻vs発音

コレはマジで大事。歌詞は基本全て英語、つまりスラスラ出てくる母国語ではないわけです。どうしても分からない時は翻訳ツールに頼る時もあります。そんな時に出てくる問題が、上のタイトルで戦ってる3つです。

まずはフロウ。そもそも聴いてて気持ちよくならない歌は歌と言えません。叫んでるだけ。
例えば、3拍子で動く音源に対して、4拍子で歌詞を当てると音源の良さを損ねてしまいます。と言うかそもそも歌いにくい。
なので音数やリズムに合わせた文章を書く必要があります。もちろん、敢えてフロウを崩す場合もあります。しかしその場合でも、頭の片隅にはオケの区切り等は念頭に置く必要があるでしょう。

そして韻。これも大事。韻を踏む事でセクションに纏まりをつける事ができます。そして強調したい単語やフレーズを、より一層聞き手側にアピールできる手法になります。そしてフロウの話と繋がりますが、やはり韻を踏むと聞き手側の気持ちよさもグンと上がります。踏まれる側の気持ち?知らんな

そして最後に、発音。僕は特にシャウトの種類を複数使い分けるスタイルです。そうなると、声の種類ごとに得意な発音が分かれてきます。例えば低いシャウトはO(オー)系統の発音が得意です。他の発音も出来なくは無いですが、ブレイクダウンの頭等で低いシャウトを伸ばす時、O(オー)系統の発音が一番パンチが出ます。

ここを意識してる人、意外と少ないんじゃ無いかなって思います。嘘だと思う人は試しに、A(アー)を発音しながら低いシャウトを出してみてください。O(オー)の時より沈んだ感じが出ないと思います。
高いシャウトはI(イー)やA(アー)、ミドルのシャウトはA(アー)やE(エー)等が出しやすいかな、なんて思いますね。コレももちろん人によりますので、ためしに全種類のシャウトで母音全てを発音してみてください。
僕の友達は「低いシャウトはT(トゥー)が出やすい」って言ってました。どういう事?

お弁当の歌じゃねえんだよ

さて、ここまで列挙した事を踏まえた上で、最終的に「歌詞」として完成させなきゃいけません。
まず一項目で挙げたテーマを、なるべく抽象化していきます。え?最終的に抽象化するなら、具体的に掘り下げる必要なんてないんじゃないの?
そんなことありません。というか、具体化できてないものを抽象化しようとしても、多分出来ないと思います。

抽象化の目的ですが、そもそものテーマがニュースやゲーム等、既に存在している話なのです。事実や既存の話を単に並べただけでは、お弁当の歌と変わりません。あれ弁当に何詰めたかリズミカルに羅列してるだけじゃないですか?(違ったらすいません)
なので抽象化し、そこに感情や思考を交えて世界観を構築していきます。

そして抽象化のもう一つの目的が、固有名詞の破棄です。どれだけテーマを具体的に掘り下げたとて、僕はその道の専門家ではありません。専門用語を歌詞に採用し、後々違う事を指摘されてもどうしようもないわけです。
歌詞に「ユニコーンガンダム」と入れ、後々「おい!正式名称はRX-0ユニコーンで、ユニコーンガンダムは愛称なんだぞ!」
と言われても仕方ないですよね(ここまで早口)。

逆に、敢えて固有名詞を使う時もなくはないです。強烈に強調したい部分は敢えて固有名詞を使う事もあります。ですが、そういったフレーズを強調させるためにも、無闇矢鱈に固有名詞を多用する事は避けた方が賢明でしょう。

パンチラインは中学2年生が考える

さて、最後に忘れてはいけないものがあります。そう、パンチライン(決め台詞)です。
ブレイクダウンやサビ頭、曲の最初など、目立つ場所は特にこだわりましょう。
曲のテーマを端的に表す一文だと尚いいですね。

例えば、NOVAでは00:16くらいの歌詞がそれに当たります。

"We're gonna bleed new blood"
(俺達は新しい血を流すんだ)

NOVAの歌詞を端的に、1センテンスで表しています。なんて強烈で、なんて厨二なフレーズなんでしょう。しかしこれは作詞の上で最も重要なポイントと言ってもいいでしょう。他のバンドで強烈に突き刺さったのは、Crystal LakeのCurse

この曲の02:50〜のフレーズ
"Stand tall, walk through this hell with me"
(背筋を伸ばし、この地獄を俺と共に歩け)
は本当に突き刺さりました。まだ抜けません。

あとはI, PrevailのScarsとかもかっこいいですよね。

"Try to tear us apart but know that we'll wear our scars"
(私達を引き裂こうとするけれど、私達は傷つく事を知っている)

カッコいいパンチラインは、必殺技の名前と同義とも言えます。ヤベェ名前の必殺技は、誰しも叫んでみたくなりますよね。ただ木をニョキニョキ生やすだけの技も「木遁!樹海降誕!」と叫ぶと途端にカッコよくなります。
知らないって?NARUTOは必修科目ですよ?

また、そういったワンフレーズがあれば、そこから曲全体の歌詞にも興味を持ってくれる確率が高くなります。曲の中でのボーカルの存在感をより一層引き上げる一手にも使えるわけです。

僕はそれを頭の中の中学校2年生にお任せしてます。皆さんも是非、頭の中に中学2年生を召喚し、黒歴史を思い出しては地獄の業火に焼かれて死んでみてはいかがでしょうか。
そして「螺旋丸!」と叫びながら右手を突き出してみてください

さて、ここまで列挙した事以外にも多数の事を意識して作詞をしていますが、常に大きく意識している事は今日書いたとおりです。
コレが誰かの一助にでもなれば幸いだな、と思いつつ、今から鬼の作詞作業に戻ります。

歌詞に悩める全てのボーカル達に幸あれ!

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