るな

銀行員や、塾講師、建築設備会社、書店員を経て、只今自動車業界! 読書会とライティング講…

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銀行員や、塾講師、建築設備会社、書店員を経て、只今自動車業界! 読書会とライティング講座主催。 Instagramにて、#勝手にブックガイド を投稿中。Instagram https://www.instagram.com/l.lvret_l.lune/

最近の記事

絶望しかけている人がいたら、可能性を持ってこい。

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    • 必ず還る。

      事実を主にしても、私は小説を書いている。                       吉村昭 「塩焼き」と「お舟様」を軸に、一人の少年の目を通して、 とある村の顛末を描く小説。 面白いですかと聞かれて面白いとは言い難く、では昨今流行っている嫌ミスの類かと問われたとてそうとも言えず、だが、読後感は良くはない。 ただ、彼らの生き様にどうにも囚われて仕方がないとでもいえばいいだろうか。 私にとって吉村昭は、気を許すと精神的な彼岸に掻っ攫われてしまう作家だ

      • 読書とは救済である。

        うまれてくるだて こんどは ことにわりやのごとばかりで くるしまなあよにうまれてくる 宮沢賢治 詩集「永訣の朝」 知っていたけど知らなかった「朗読」の世界。 この本めくって1秒、私真剣なこの詩の朗読にガシッと掴まれた心臓が、 ダイソンも真っ青な驚きの吸引力で吸い込まれていったような気がした。 南無三!なにこれ、なんだこれ! 朗読ってこんなすごいの!? そのまま息もせずにプロローグを読んで、すぐさま朗読とはなんぞや?を調べる。行きつい

        • 身体を哲学する。

          我々は身体によって世界に臨んでおり、 身体でもって世界を知覚する以上、 我々に現れるがままの世界の経験を、 再び目覚めさせなくてはなるまい。 しかし、こうして身体ならびに世界との触れ合いを取り戻して 再び発見するもの、 それもまた我々自身なのである。                 メルロポンティ(フランスの哲学者) 西洋哲学は、そもそも無知=0から始まり、知を積み上げていって、 色々考えてみんなでもっともっと賢くなっていこう!が前提の学問。 知を重

        絶望しかけている人がいたら、可能性を持ってこい。

          世界中の女性が断絶しない為に。

          顔を洗って歯を磨いて、髪を整えて化粧をする。 最近太ったなと自分の体を眺めて、ダイエットしようと 誰にも聞こえない声で、小さな決意を呟く。 パーマが取れかけだから、今度の休みは美容院を予約しよう。 ネイルも塗り直して、デトックス用に入浴剤でも買おうか。 私、頭の先から足のつま先まで、そんなに「女」ではないけれど、 これぐらいのことは考えて生きている。 それが普通だと思っていた。 そんなもんだよね? 後頭部一発、思い切り殴られた気がした。 問題はもっとずっと、奥の方だし根源的

          世界中の女性が断絶しない為に。

          必死に生きてこそその生涯は光を放つ。

          動物は自らを殺さない。 生きることに執着する。それは私も、きっと祖母も。 花島の馬も。それは個人の意思を超えたところにある、 不変の事実なのだろう。 (本文より抜粋) 我々人間たちはその昔、山には、海には、 この、自分たちを取り巻く自然や、そこいらで生きる動植物たち、 凡ゆる物事には「及ばぬ」ことがあることを知っていた。 どんなに抗っても、力を尽くしてもダメなことがあることを、 ただ「生きている」だけで知っていた。 しかしそれは限界や諦めではなく、「身

          必死に生きてこそその生涯は光を放つ。

          深淵を覗く時、深淵もまた此方を覗いている。

          うつし世は夢、夜の夢こそまこと 江戸川乱歩 時折、社会を震撼させる凄惨な事件が起こる。             犯罪史上最悪と名高い複数の少年らによる、女子高生コンクリート詰め殺人事件。 横溝正史 著 「八つ墓村」のモデルになった有名な津山事件 葉真中顕 著の「ロストケア」を彷彿とさせる、 相模原障害者施設殺傷事件など、犯行の動機を知っても、 到底理解できずにぎょっとするばかりだ。 しかし、犯罪心理学や教育心理学、発達心理学など、一連の心理学関連の書物を読

          深淵を覗く時、深淵もまた此方を覗いている。

          誰かじゃなくて、私から。

          大きな声の人がいて、その言葉がとてつもなく強いものだと さもその未来しか正解がないと思わされてしまいます。 けれども、世界はそんなに単純ではありません。 僕が、あなたが、1人ひとりが、無数の選択をした結果として この世の中がつくられるんです。 (本文より抜粋) 強いこと、大多数の賛成が得られることが、正しいと、 正義だとされる世界に於いて、弱いことや少数派は間違いだと、認められないことが本当に多いと思う。 例えばそれは、米を嫌いな日本人な

          誰かじゃなくて、私から。

          みんな違って、みんな大変。だけど、だから。

          私の母親は癌だ。 罹患して3年ほど経つが、多分もう治ることはないところまで来た。 抗がん剤の治療中だけど、コロナ禍のため入院すると見舞いに行けないから自宅にいる。そして最近抗がん剤もやめた。 家にいる母のわがままとヒステリーは徐々に増え、家族は確実に疲弊している。 でも、私自身も十数年前に双極性障害になって、自分のしんどさへの理解のない周りに、幾度となくイライラしたから、母の気持ちもわからなくはない。また、私の場合は気持ちを言語化できてはいたから、 聞かれれば自分の状態を割と

          みんな違って、みんな大変。だけど、だから。

          他の誰でもない、あなたの人生を。

          ユンジョンウン 好きに生きても大丈夫 SBクリエイティブ 生きるって何なんだろうなと思う。 ただ死に向かう長い旅路でしかないのに、 どんなに頑張っても、                        どんなに富を得ても、                        どんなにか素敵な人と一緒になっても、                   どんなに自分が満足しても、                      どうせ死んでしまうのに。 どうせ死ぬときには、すべてを手放していか

          他の誰でもない、あなたの人生を。

          あの日揺さぶられたのは、大地ばかりではない。

          モノを怖がらなさ過ぎたり、怖がり過ぎたりするのは易しいが、 正当に怖がることはなかなか難しい 寺田寅彦 ただ闇雲に恐怖する病ではなくなったものの、罹る年齢や種類によっては、 まだまだ半ば余命宣告と同じほどの重さを持ったがん告知。 そうして、それから治療を開始し天寿を全うするまでの時間は、 当事者にとってはもちろんだが、家族にとっても大事なものだ。 これまで頑張って来た、後悔はない、 やれることはやりきったんだという気持ちを持つための時間と、 今までは見えなかった、漠然とした

          あの日揺さぶられたのは、大地ばかりではない。

          神様なんか、居ない。神様は…。

          誰も自分を助けてくれない、一人で何とかしなくてはいけない。 奪え、さもなくば死ぬぞ。 という厳しい環境で生きてきたのら猫。 そこには手を差し伸べる神様はいなかった。 ある日、のら猫は1匹の年老いた犬に出会う。 のら猫を見ても知らんぷりをしている犬に、猫はしめしめと思い、 自分勝手にふるまうが…。というお話。 周囲に対するのら猫の不信感は、人の想いに気づけなかった、 自分の思春期の頃とよく似ていてほろ苦い気持ちになり、 年老いた犬ののら猫への想いは今の自分と重なった。 この本

          神様なんか、居ない。神様は…。

          interest+funny=funterest?な科学本

          半世紀以上前から、SF作家たちははるか遠い未来に思いを馳せ、 空想を巡らせては見たこともないような科学技術の出てくる物語を紡いできた。 私は好んでSFや宇宙、科学の本を読むのだが、それらはいかんせん難解で、 眉間にしわを寄せて調べ物をしながらが常だった。 しかし、本書はとにかく読了する数時間の間、控えめに言ってずっと笑っていたが、面白いだけではなく、例えば、 安価で効率的に宇宙に行くにはどうすればいいか?と いう疑問に対して、あの手この手の仮説を立て、 ・現状説明・実現し

          interest+funny=funterest?な科学本

          すべてのたたかう人へ。

          私には負けた海賊が身内にいる。 だから、「カニなんてへっちゃら号」だけで ママが本当は何と戦っているかが分かってしまって、続きを読むのに少し勇気が必要だった。 ママの話す武勇伝を信じて疑わない子の純粋な思い、 絶対に我が子を悲しませないように気丈に振る舞うママと、妻の気持ちを尊重して見守るパパの思い、 そして、私の負けてしまった海賊の思い出とで我慢が出来ず、途中で視界がぼやけた。 大人に伝えるのも勇気が必要で、聞いた方も冷静でいられない、何より本人が一番辛いこと。 でも伝

          すべてのたたかう人へ。

          読書は本の形をした人間との対話。

          彼らの姿が見えたなら。 目の前で言葉を交わせたなら。読書をしている時に、物語が本当に本から出てきた人から語られたら、 どんなにか素晴らしいのにな、と空想をすることがある。 読書は単に読むだけのものではなく、人との対話なんだよ、という名言があったように思う。 その対話の中で、作家から綴られる言葉のそこかしこにある思いを読み手は受けとり、 書物の側は読み手によって新たな思いを与えられる。 本書の中で、そういう空想や思いが、個性的だけど憎めないキャラクターとなって、活き活きと生き

          読書は本の形をした人間との対話。

          傍らにあって欲しい本。

          将来に漠然とした不安を抱える中学生が、ある本をきっかけに成長していく物語を通して、働くとは何か。を様々な角度から見つめていく本。 なぜ勉強するのか、学校は何のためにあるのかという子供の大問題や、人生100年時代を後悔なく、多様性についてコミュニケーション能力とは など、 これからの変化に対応しないといけない大人に刺さる見出しも並ぶ。 第3章には、好きなことを仕事にすることについて書かれていて、 好きなことを仕事にしている自分の背筋が改めて伸びた。 また、それだけにとどまら

          傍らにあって欲しい本。