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読書は本の形をした人間との対話。

彼らの姿が見えたなら。
目の前で言葉を交わせたなら。

読書をしている時に、物語が本当に本から出てきた人から語られたら、
どんなにか素晴らしいのにな、と空想をすることがある。

読書は単に読むだけのものではなく、人との対話なんだよ、という名言があったように思う。
その対話の中で、作家から綴られる言葉のそこかしこにある思いを読み手は受けとり、
書物の側は読み手によって新たな思いを与えられる。
本書の中で、そういう空想や思いが、個性的だけど憎めないキャラクターとなって、活き活きと生きていた。
私は読んでいる間中、心の中で主人公にずっと、代わってくれよと言っていたと思う。
もし本当に彼らのような形をしたものと、互いに関わりながらそういう思いのやり取りが行われる世界があるとしたら、今すぐタイムマシンにお願いして飛んで行きたい。

近年やたら即効性と実用性のある本ばかりもてはやされ、
一見して役に立たなさそうな「物語」はおざなりにされがちだが、
人にはやはり「物語」が必要だ。
物語ることの持つ力は、世界をも変える。

ラノベかなと思って読み始めたが、素晴らしいテーマが根底にあった物語。タイトルと表紙で決めつけてはいかんな、と少々反省した。ぜひシリーズ化をお願いしたい。

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