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#172 『私は虫であり、虫は私である』

本日は、絵本画家・生物画家の熊田千佳慕さんの「私は虫であり、虫は私である」についてのお話です。熊田さんは、昆虫や植物を生命感豊かに描く画家であり、徹底した自然観察に基づいたリアルな作品で、日本のプチ・ファーブルと呼ばれ、世界的に高い評価を得ている画家です。


今回のお話は、熊田さんが自身と虫をどのように捉えているかが語られております。「僕は虫の姿を借りて自分を描いているから、自分の目も心も命も、すべてがそこへ映って、生きているものが描ける」という感覚は、虫を向き合い続けた熊田さんにしか分からない感覚であると思いますが、自分を対象となるものと同じ目線や視点になることの大切さを感じることができました。

"僕は70歳の時、夢で「私は虫であり、虫は私である」という声を聞きました。僕は虫の姿を借りて自分を描いているから、自分の目も心も命も、すべてがそこへ映って、生きているものが描けるんだなって。
"僕は、人生で80代が一番輝いていたと思っているんです。新しい仕事が増えて、それまで溜めてきたものを、どんどん発散することができたし、周りに輪をつくってくれる人もできた。すると、自分の中の「自己」を強く感じるようになったんです。"
"虫や自然と接している時は、すごくピュアで、無心になれる。だから人生でも、小川を流れる枯れ葉のように、もうなすがまま。ぶつかりぶつかり大海へ出よう。これが自分の姿だ、と。"
"皆さん「生きる」というと、大変なことのように考えるけれど、僕は簡単なことだと思うんですよね。毎日一膳のご飯がいただける、これが「生きる」ことだと思うんです。これを積み重ねていけばいいだけで、何も難しいことはない。一種の悟りではないですけど、そういう気持ちになった。僕にとって絵は生きがいだし、自己そのものなんです。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/06/21『私は虫であり、虫は私である』
熊田千佳慕 生物画家
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※Image by Larisa Koshkina from Pixabay