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マネジメントは組織を機能させるエンジンである

2019年はキャリア10年間の中で、最も『マネジメント』(※)について考えることが多い1年間であった。理由は、

①マネジメントが機能しないと、組織が機能しない
②組織が機能しないと、個人の強みが発揮できない


ことを実体験を通じて痛感したからである。一部の人にネガティブな捉え方をしてもらいたくないため、あくまでその体験そのものではなく、体験を通じて個人的に感じたことを言語化する。

※定義として、マネジメントは組織を機能させること(主に、組織として動く中で個人の強みを発揮する環境づくり)までであり、その先にある行動や成果は、個人を中心としたリーダーシップの機能である、とする。


「機能しない」には必ず原因がある

仕事をしている人の多くは、このマネジメントに「悩んで」いる(主にマネジメントをする人間)、もしくは、マネジメントに対して「不信感」がある(主にマネジメントをされる人間)、と思っている。

飲み屋で愚痴っている(基本的に愚痴なのでネガティブな)内容の多くは、このマネジメントに凝縮されると思っている。ただし、愚痴っている内容や愚痴っている人間を否定したいわけではない。

僕がペイン(≒ストレス)に感じることは、機能していないことをわかっていながら"改善"というアクションを起こさないことである。(ここで言う"改善"はポジティブな意味合いの改善である。)

とあるドラマの台詞(※)にもある、「現象には必ず理由がある」という言葉を借りると、「機能しないには必ず理由がある」ことになる。この理由を考えて分析し、言語化し仮説を立て、行動し検証することなくして、改善する=機能することは永遠と訪れないことは、理科を習った小学生の段階で理解できることである。
※ドラマ「ガリレオ」での台詞


マネジメントが機能しないサイクル

自身を含めマネジメントできている人間、つまり組織を機能させ、個の強みを発揮した人間は残念ながら僕の周りには一人もいなかった。これは、僕の2019年の大きな"失敗"であり、キャリアに大きな"転機"を与えた出来事である。

このタイミングで"改善"に向けた行動をしないと、今後のキャリアにおいてまた同じ"失敗"をすると思った。だから、僕なりにその原因と仮説を言語化して次のアクションを明確にしたいと思った。

結論、マネジメントが機能しない組織には、あるサイクルがある。それは以下の図である。

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<マネジメントが機能しない組織>
思考:「プロセス」思考ではなく、「結果」思考のマネジメントである
行動:メンバーに対して「問い」ではなく「行為」を求める
理由:「論理」と「感情」の法則を理解・定義できていない
結果:「言葉と行動に一貫性と熱量」がない組織である(になる)

その上で、マネジメントの仕事はたった2つしかないことに気づいた。逆にいうと、この2つ以外のことをしていると、いつまでも機能しない。


「問う」マネジメント

一つ目は「問う」マネジメント。それを2つに分解すると、
①「プロセス」を問いているか?
②「なぜ(WHY)」と「どのように(HOW)」を問いているか?

になる。

やってはいけないことを先に言おう。
マネジメントは「やること(WHAT)」=「行為」に口出しをしてはいけない。やることは自分の部下・メンバーが考えて実行することだ。そこに口出しをした時点でマネジメント失格である。

マネジメントがやることは、部下・メンバーに「なぜその仕事をやるのか?」という問いを与え、「どのようにやるのか?」を考えさせる。「プロセスにアプローチする」ことである。それ以上でもそれ以下でもない。

何をやるか?=「答え」に口をだす人間は、そのまま結果=「答え」を求める。「それをやることで成果が出るのか?」と。結論を言おう。

プロセス=「問い」を無視したアプローチをしているマネジメントでは組織は機能しない、人が動かない。


その大きな理由は、人間にある「論理」と「感情」について理解が不足しているからである。人を動かす法則は有名なTED動画で解説されている。

要約をすると、人を動かす法則は【WHY→HOW→WHAT】である。
その上で、マネジメントはWHY→HOWを問うまで、である。そこから先、主に行動や成果は個人・リーダーシップに紐づく領域(※)である。
「個の強みは"パズル理論"で発揮できる」


振り返るマネジメント

2つ目は「振り返る」マネジメント。これも「問う」マネジメントと同じで、
①「プロセス」を問いているか?
②「なぜ(WHY)」と「どのように(HOW)」を問いているか?
に基本的にアプローチする。

異なる点は、「問う」マネジメントは「やること」に対してWHYとHOWの順番に問い、その問いはやること(WHAT)の「前」にあり、基本的には「論理」的にアプローチする。一方、「振り返る」マネジメントは「やったこと」に対してHOWとWHYの順番に問い、その問いは「やったこと」(WAHT)の「後」にあり、基本的には「感情」的にアプローチする。

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順番が違うのみで、「プロセス」に目をあてており、メンバーに「答え」ではなく、「問い」を立てている。そして、「論理」と「感情」の理解・定義がされている状態である。

人を振り返る法則は、【WHAT→HOW→WHY】で「事実」から「解釈」にアプローチする。問いは仮説段階であるため、部下・メンバーは基本的に不安であることが多い。その不安な状態を取り除き、部下・メンバーを行動させるのに感情をWHYから動かすのである。
一方、振り返りはその行動の先にある成果や結果段階であるため、事実にきちんと目を向けて冷静な状態からスタートし、徐々に部下・メンバーの感情をWHYで確かめていく。

マネジメントが基本的にやることはこれだけである。それをやることに徹すればマネジメントが機能がする組織になる、というのが僕なりの仮説である。

<マネジメントが機能する組織>
思考:「結果」思考ではなく、「プロセス」思考である
行動:メンバーに対して「行為」を求めるではなく「問う」
理由:「論理」と「感情」の法則を理解・定義している
結果:「言葉と行動に一貫性と熱量」のある組織である(になる)


相互理解ができて初めて機能する

マネジメントが機能している組織での思考・行動の結果は、「言葉と行動に一貫性と熱量」のある組織である。なぜなら、人を心を言葉で動かした上で行動しており、行動して感じたことを言葉にしているからである。

ただし、勘違いしてはいけないことが一つある。
それは、このサイクルはマネジメント「する」人間だけが理解しても機能しない。マネジメント「される」、つまり部下・メンバーも理解しなければならないのである。

マネジメントに答え・正解はどこにもない。マネジメントは問う・考えることが重要である。それを関わるメンバー全員で問いて考えなければならない。マネジメントを「する」マネジャーの"役割"にしてはいけない。

マネジメントは組織を機能させる「エンジン」である。その「エンジン」を搭載した組織をどう動かすかの「アクセル」は個人が持つ。どんな「アクセル」を搭載するか、どう踏むか、成果を残すかは個人の"役割"である。その個人の強みを発揮する組織に"機能"させるのがマネジメントである。

この機能と役割の違いを各々が理解できれば、組織が機能する【思考→行動→理由→結果】の理解はより深まる


「マネジメント」×「言語化」をする2020年

僕はこの体験を通じて「思考」し、プロセスを「言語化」して定義した。マネジメントのプロセスはすべて「思考」と「言語化」であると思っている。
マザーテレサの言葉の裏返しでよく使われる以下の文章、

「 思考を変えれば、言葉が変わる。」
「 言葉が変われば、行動が変わる。」
「 行動が変われば、習慣が変わる。」
「 習慣が変われば、性格が変わる。」
「 性格が変われば、運命が変わる。」

の始まりは「思考」と「言葉」である。

会社にはミッション・ビジョン・バリューがある。自分たちの存在意義・ありたい姿・提供する価値を言語化している。しかし、この言葉と行動に一貫性と熱量があると自信を持って言える会社はどれくらいあるだろうか。

Yes!!と即答できないとしたら、それは一貫性と熱量がないということであり、組織として機能していないということある。その原因はマネジメントにあると思っている。これが僕の経験と思考と言語化による"転機"である

この転機により、僕は2020年キャリアを大きく変えて、このマネジメントを言語化して問題や原因を解き明かしていく。その上で、きちんと機能するまでを言葉を使ってアプローチする。同じ経験をしている人や組織に対して、「思考」と「言語化」という武器を使って、"転機"を促していきたい。

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