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#347 『必ずやりとげる徹底心』

本日は、SBIホールディングス社長の北尾吉孝さんの「必ずやりとげる徹底心」についてのお話です。北尾さんは1974年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、野村證券入社します。ニューヨーク拠点で勤務後、ワッサースタイン・ペレラ社常務取締役や野村企業情報取締役などを経て、1995年にソフトバンク常務取締役に転身します。その後、1999年にソフトバンク・インベストメント(現在のSBIホールディングス)代表取締役社長に就任しました。

"出光さんは59歳の時、敗戦によってすべてを失われて、再出発されるわけです。20年以上かけて建造したタンカー「日章丸」が攻撃を受け、沈没してしまった。海外に持っていた拠点、財産もなくなってしまった。残ったのは借金だけ。にもかかわらず、敗戦から2日後の8月17日、全社員に対して「愚痴を止めよ」「世界無比の3000年の歴史を見直せ」「そしていまから建設にかかれ」と言われたんです。しかも、仕事など一つもない時に海外で働いていた800人が引き揚げてくる。そんな状況の中で、「一人も馘首(解雇)しない」と言われているんですね。"
"戦後、石油メジャー(世界の石油産業をほぼ独占した欧米の企業複合体)は日本の石油会社の経営権を取ろうとしていました。他の日本の石油会社がどんどんメジャーと提携していく中で、出光興産だけが唯一、提携せず信念を貫かれた。外資に牛ぎゅう耳じられた主体性のない会社になっては意味がないと考えられたのです。"
"メジャーがもう出光には石油を売らないという現実がある以上、どうすればいいか。メジャー以外から買えばいい。買うためにはタンカーが必要だ。ならば、タンカーを造ればいいという発想に次々と繋がるんです。この時、造られたのが日章丸二世です。"
"それでまずアメリカへ行き、メジャーではないところから買う。そこがメジャーに押さえられると、場所を変えて、メキシコ、ソ連から石油を手に入れる。そして最終的にはイランまで行かざるを得なくなるわけですよね。当時はイギリスがイラン国内での石油開発の利権を握り、巨額の富を得ていました。イランから直接石油を買い付けようとしたイタリアとスイスのタンカーはイギリスの軍艦に拿捕されています。拿捕されれば石油は全部没収されてしまいます。ただ、出光さんは拿捕されることはあっても撃沈されて人命まで失うことはないと、冷静な判断をされた。そして、祈るような気持ちで日章丸を送り出すわけですけど、天は彼に味方しました。このイランからの石油輸入を契機として、出光興産はその後大きく発展をしていきました。"
"出光さんの言葉に「青年の処世上最も大切なことは、やりかけた仕事は万ばん難なんを排はいして必ずやりとげるという徹底心である」とあります。やはりどんな些細なことでも、自分で決めたことは途中で投げ出さずに、根気よく、粘り強く続ける。いったん自分が決したことはできるまでやり抜いていく気概を持たなきゃいけませんね。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/12/13 『必ずやりとげる徹底心』
北尾吉孝 SBIホールディングス社長
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※Photo by Ksenia Kudelkina on Unsplash