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#39 『裸に生まれてきたに 何不足』

"いざという時は''なあに''という気持ちで度胸よくぶつかっていけば、必ず克服できますよ。"

本日は、元読売巨人軍の選手・監督の川上哲治さんの「壁を克服する方法」についてのお話です。「打撃の神様」と言われた川上さんは、選手時代は首位打者5回・本塁打王2回・打点王3回・最多安打6回のタイトルを獲得し、監督時代は巨人軍をV9に導いた名監督です。(プロスポーツで9年連続優勝するというのはなかなかできない偉業であると思います。)

私も学生時代野球をやっていた人間ですが、川上さんの選手時代はほとんど知りませんですし、王さんや長嶋さんが選手で川上さんが監督の時代も生で観ていない世代のため、記録以外の凄さを正直実感できないです。ただ、一つ言えることは、川上さんの思いは今回のお話で実感できました。

"私は3割打っても少しも安心しなかった。これでもまだ駄目だ、まだまだという気持ちで練習したんです。それでようやく自分の打つポイントで球を空中に止めた感じで打てるようになって、自分の打撃のコツというのが自覚でき、持続されて初めて気持ちが楽になりました。"

川上さん限らず、プロの世界で結果を残す人は、決して「現状満足」をしないです。どんな記録を出そうが、そこで満足することなく、更なる高みを目指しています。この領域に達する人は、誰かとの競争や比較の世界から自分との戦いだったり、自分の成長と常に向き合う世界にいるのだと思います。

"一度コツをつかんだらあとは大変なプラスですよ。人から借りたものじゃない。自分で体得したもんですからね。自分でつかんだものはどんな時にでも全部プラスになりますから。監督になってからでも、非常に大きな支えになりましたよ。"

そして、その戦いや成長の先にある感覚が、川上さんの言葉で表現すると、「コツ」になるのだと思います。「人から借りたものではなく、自分で会得したもの」という感覚はポイントだと思います。自分で経験している、自分で体感している。それが自分との戦いに勝つ、自分をさらに成長させるために、なにより重要な要素なのだと思います。

経験や体感を得るためには、壁にどれだけぶち当たれたか。そして、壁から逃げずに越えられるまでやり続けられたか。ぶつかるまでの勇気と行動、超えるまでの努力と継続

"若い時に苦労してバッティングの技術を身につけるために、スランプに次ぐスランプの苦しさに耐えてやってきたということが、大きな財産になっとるんだね。若いうちは大きな壁にぶつ当たったら、これで人生終わりみたいな気持ちになるもんですが、そんなことないですよ。必ず突破できる壁であり、そういう壁を何回も突破していけば、しらんうちに自分は鍛えられて大きくなっとるんですよ。"


『裸に生まれてきたに 何不足』

この言葉は、俳人小林一茶の句と言われています。要するに、「人間生まれた時は裸であったのだから、何を今さら不足があるというのか」ということであると思います。余計な欲求や高望みをしている、不平不満を言っている時間があるのであれば、目の前のことを精一杯やる、より高みに自分を成長させるために努力せよということでしょうか。

そういう姿勢と意識を持ち、行動を起こし、継続できる人が本物のプロであるのだと思います。川上さんが神様と言われるだけの選手であり、監督して伝説のV9を達成したことが今回ようやく理解できました。


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/02/08 『裸に生まれてきたに 何不足』
川上哲治 元巨人軍監督
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※Image by StockSnap from Pixabay