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#81 『手足のないことが善知識』

"母(中村久子)は厳しい、妥協しない人だったと申し上げました。そうしなければ、両手両足のない人間は自活できなかったからです。事故で両手をなくされた青年が、自分で食事ができるようにと、母のところへ食事の仕方を習いにきたことがありました。"
"「手を出してはいけません。どんなに時間がかかろうとも自分でやるんです。あんたが、一生ついてやってあげられますか。生半可な同情はダメです」"
"「沢山の善知識(師)の方々によって、教え導いて頂いたお陰さまで、ここまで連れてきて頂きましたが、ほんとうの善知識は、先生たちではなく、私の身体、この、''手足のないことが善知識''だったのです。なやみを、苦しみを、悲しみの宿業を通して、よろこびに、感謝にかえさせて頂くことが、先生たちを通してきかせて頂いた、''正法''でございました」"
"この''手足がないことが善知識''だったと得心できた時、母は、自分が手足がなくとも、独りやってきたという慢心がなくなり、心から祖母に対する感謝の念が湧いたといいます。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/03/22 『手足のないことが善知識』
中村富子
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※Photo by Simon Maage on Unsplash