時短していいところ、時短で捻出した時間をあてたいところ

現代人はとっても忙しい。
忙しい理由はたくさんあるんですが、それは役割分担の社会からオールラウンダーの社会になったからかなという気もします。

核家族社会になって、一人が背負う役割が増えた。とか。
女性の社会進出とともに、女性と男性の役割が”どちらにも”求められるようになった。とか。
技術が発達して、道具やテクノロジーを使うことで誰もがいろいろなことをできるようになった、とか。

原因を探せばキリがないです。でも、それと同じくらい「時短」という概念もできてきて、いろいろなものが自動化されたり便利な家電が出てきたり、おいしいお惣菜がコンビニで買えるようになったり、社会が変化してきています。

時短って、いいと思います。すごくいい。だって、何かを短縮したら、あてたいところに時間をあてられるから。なにに時間をあてるか、自分で選びたいじゃないですか。そのために、他のところを時短する。
「丁寧な暮らし」って、すべてのことを自分の手で丁寧にすることじゃないです。自分が丁寧にしたいところにきちんと時間と手間を充てる、そういうことです。

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いろいろなことを時短するの、わたしは大いに賛成なんですが。
食洗器、使えばいいし。ルンバ、使えばいいし。乾燥までがっつりできる洗濯機、じゃんじゃん回せばいいし。おいしいお惣菜、頼っちゃえばいいし。

でもね、絶対に時短できないと思う部分がある。

それは、「人との関係性を築く」という部分です。

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人との関係性を築くのって、つねに「日常」が一番大切なんです。
特別な日だけどどんと盛大になにかをしてあげるのではなくて、つねに「日常」が一番大切なんです。

あの人の言葉は信用できるとか、あの人の言葉は身が引き締まるとか。
そういう「あの人」であるためには、その日常が作る「土台」がとても大切。そこをないがしろにして時短テクニック的に人とよい関係を築こうだとか人を操ろうだとかしても、まったく意味がないです。

人間って、結構敏感なんですよね。
日々、その人が「自分を見てくれているか」「自分を気にかけてくれているか」って、すごく敏感にわかる。
結果を出した時だけ調子に乗って近づいてくる人とか、いつもは放っているくせに失敗した時だけ注意しにくる人とか、そういう人たちの言葉って全然心に響かないですよね。
だって、日常の、普段の自分を見てくれていないから。つまり、自分を見てくれているんではなくて、「結果」や「失敗」っていうものを見て言葉をかけてくるわけだから。

人間って、結果を見てほしいんじゃないから。自分に付随して起こった現象や自分に付属しているステータスを見てほしいんじゃないから。単純に「自分を見てほしい」生き物だから。
だから、常に自分を見てくれている人の言葉は、身に沁みる。

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「こういう場合には、こういう言葉をかけるといい」
「こういう場合には、こうしてあげるといい」

もちろんそういうテクニックを学ぶのは、無駄なことではないです。でもそれは時短テクニックではない。相手との距離を縮めるための魔法のアイテムではない。
テクニックだって、いろいろありますよね。なんか違うところでは真逆なこと言ってるの見たぞ、っていうのもありますよね。笑
そりゃそうです、目の前の相手が違えば有効なカードはもちろん違うわけですから。テクニックって、必殺技なんかじゃないです。いろんなカードをストックしているようなものです。

日々向き合って、日々気にかけて、日々「相手」そのものを見て、そのうえでようやく切るカードを選べる。そこでようやく効果があるものです。
「日々、相手を見る」。そこは一切、時短してはいけない。ショートカットしてはいけない。

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忙しい毎日だからこそ、時短できるところは時短する。
でも、ケチっちゃいけない時間っていうのも、確かに存在する。ないがしろにしちゃいけない対象っていうのも、確かに存在する。

その、愛すべき対象に、愛したい対象に、きちんと時間と手間と精神を注げるように、毎日を見直していく。

関係性と信頼は、一朝一夕になんとかなるものではない。そんなに簡単なものではないし、そんなに軽いものではない。
いざというときに、自分の言葉がまったく通じなかったとしたら。いざというときに、自分の言葉がまったく届かなかったとしたら。そんなに悲しいことはないですね。

「まあ大丈夫でしょ、ちょっとくらいほっといても」
そう思っているうちに、甘えているうちに、きっとその人は遠くに行っちゃう。その人の心は、固く閉ざされちゃう。

他人だけじゃない。実は自分自身に対しても、おんなじです。

忙しい日々のなかで、きちんと考えたい。
何に心を注いでいたいですか。

友井蒼子 (@aokotomoi) | Twitter