「自分を愛せない人が他人を愛せるはずない」って、こういうことなんじゃないかな

他人の心に手を突っ込んで、ぐいっ、って向きを変えることはできない。

書いてみれば、もう当たり前もいいところなんですが。笑
でも、なぜだか生ものの人間関係においては、その大前提がすっとんでしまったりする。

他人の心に手を突っ込めないどころか、そうしようとすればするほど、相手の心は固くなる。これも書いてみれば、当たり前。

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好きになったら、好きになったほうが「好きになってもらえるような自分」になる努力をする。
好きになられたほうが「好きになる」努力をするんじゃなくて。

これはすごくよくわかると思います。わかりやすい。そりゃそうだ、だって好きっていう感情は努力して持つものじゃないから。嫌いって感情も、努力して持つものじゃないから。
「あなたのこと、好きになりたいって思ってるよ」っていうセリフが全然希望なんかじゃないように。

わたしたちは、人間関係をよくしたいと思う。家族でも友達でも恋人でも。

そのためにできることは何かって言ったら、やっぱり、相手をなんとかすることじゃないんですよね。それはできない。だから、自分が変わることか、相手が差し出すものを受け取ること、この二つになってくるんだと思います。相手の心を変えられない以上、できることはこの二つ。

「わたし、関係性をよくするためにこんなに頑張ってるんだから、あなたも少しは頑張ってよ！」

みたいなセリフを言ったり聞いたりしたこと、あると思うんです。
結構よくある。わたしはこんなに頑張ってる、わたしは変わろうとしてる、だから相手だって変わるべき、頑張るべき。

そう思っちゃうよね。愛って双方向って感じがするもんね。
たしかに愛には双方向性がある。恋と違って。でもその双方向性っていうのは、相手の気持ちをこっちに向かせるとか、そういう、「見返り的なものではない」。

自分が頑張っていることの見返りに、相手の頑張りを求める。
それは、相手の心に手を突っ込んで強制的にこちらを向かせるのと、同じことです。それこそ相手は嫌になっちゃう。
自分が頑張る、それはそれ。それはね、正当な努力。でも結果として相手が変わるかどうかは、自分の思い通りにはいかない。
だからこそ、あともう一つできることがあるんです。それは「すでに相手が差し出しているものを受け取る」こと。

相手との間に愛があると感じているのなら、相手は必ず、なにかを自分に与えてくれているはずです。それが意図的か意図的じゃないかはどうあれ。
相手が自分にしてくれていること、相手の存在が自分に与えてくれているもの。それをきちんと受け取れているかどうか。

実は愛の双方向性って、それだと思うんです。
実は全部自分の中で起こっていること。

自分が与える・相手が与える、という双方向性ではなく。
自分が与えて、自分が受け取っている、という双方向性。

ぜんぶ、自分の中で起こっていること。

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「自分が頑張る」「努力して関係をよくする」というところにどうしても目を向けやすいから、忘れがちになる。受け取ることの大切さ。

自分の頑張りを相手が受け取ってくれた実感があるとき、こちらも愛を感じませんか。ちょっとうれしい気持ちになるし、もっと頑張ろうって思ったりしませんか。
頑張るほうが偉いとか、与えるほうが偉いとか、そういうふうに思われがちだけど、本当は「受け取る」とセットなんですよね。きちんといろんなことを受け取らないと、相手も差し出せない。

与えるほうに注力しすぎて、受け取るほうがおろそかになってしまうと、それだけでバランスは崩れてしまうんですよね。

気付いているのに、申し訳ないから受け取らない、なんて、言語道断です。笑
ありがちなんですけど。善意や愛を受け取れないっていうの。「申し訳ないから」「わたしはそんなもの受け取っていい人じゃない」みたいな。いわゆる自己肯定感が低い人によくある現象かなと思うんですが。
ちゃんと受け取ってほしい。だって、自分があげたプレゼント、「申し訳ないから」「わたしは受け取る資格がないから」って突き返されちゃったら、悲しいでしょ。

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「自分を愛せない人が他人を愛せるはずない」とかよく言われているけど、その言葉の正体ってこれなんじゃないかなと思うんです。

自分が愛を受け取る許可を自分に出せないならば、他人からの愛を感じて受け取ることはできない。気付くことすらできないかもしれない。他人からの愛に。
受け取るのも、愛なんです。相手の愛を受け取るのも、れっきとした、愛なんです。自分がボール投げるだけじゃ、キャッチボール、成立しないからね。

与えるっていうのは、愛の一つの側面。でも、側面でしかない。
いろんな形の愛を受容すること。受け入れること。受け止めること。受け取ること。それも愛の一つの側面。
どちらが欠けても、うまくバランスが取れないんだと思う。

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誰かとの関係がうまくいってないな、って感じるときは、目をこらして「受け取り損ねたもの」を探してほしいなって思います。
それで、片っ端から受け取って、受領印を押してほしいです。気付いたよ、って形にしてほしいです。「ありがとう」って。

愛する、と、愛される、は、ほとんど同じことなのかもしれないな、って最近は思います。
愛され上手は受け取り上手。受け取り上手はその表現で愛を返すのも上手。本当に。笑

友井蒼子 (@aokotomoi) | Twitter