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喫茶店から地元の魅力を発信。YONのコーヒーだけじゃない魅力とは

宮城県大崎市鳴子温泉郷。ここには温泉だけじゃない、沢山の魅力が詰まっている。その中のひとつ、喫茶と土産 YON。YONは鳴子の老舗お土産屋さん「おみやげの店なるみ」の四代目が、2023年4月にオープンした。喫茶店をベースに鳴子の魅力を発信する、鳴子に根ざした憩いのスペースとなっている。今回は、YONのオーナーの遊佐夫婦にYONの魅力について伺った。


コーヒーと共に、温泉だけじゃない魅力を発信

ーーーYONはどんなお店ですか?

喫茶店をベースに営業しながら、鳴子の雑貨も扱っています。加えて、鳴子のおすすめのごはん屋さんや商店さんを観光客の方に案内しています。というのも、鳴子に旅行に来る方って、旅館に泊まってそのまま鳴子峡や潟沼のような主要観光地をめぐる方がほとんど。そうすると旅館は繁盛しますが、周りのお店のお客さんの入りは変わりません。だったら、コーヒーを飲んだついでに、素敵なお店を紹介して、鳴子の魅力を発信しようと思ったんです。

ーーーなるほど。鳴子の魅力をもっと知ってほしいという思いがベースにあるんですね。

素敵なお店がたくさんあるのに、「温泉良かったね」だけで帰ってしまうのはもったいない。YONに立ち寄ってくれた方には、「あそこのレストランはオーナーが面白いし、食事も美味しいですよ」という風に、鳴子をプラスアルファで楽しんでもらえる提案をしたいんです。鳴子には観光客の皆さんが知らない魅力が沢山あるからこそ、おもしろさを伝え、体感してほしいですね。いずれYONに戻ってきて「あそこ、良かったよ」なんて声を聞くことができたら嬉しいです。私たちから鳴子について発信し、お客様からまた発信していただく。そういった鳴子の想いが循環する、という意味を込めて「Your Our Naruko」、略してYONと名付けました。四代目のYONが主な意味ではあるのですが(笑)

ーーーもともと地域の情報発信を目的にYONを作ろうと思っていたのですか?

いえ、最初は近所の方や、観光客の方から「近くにお茶飲む場所ないから作ってよ」と言われたことがきっかけでした。駅やバス停が近い割に、待機できる場所がなかったんです。だったら公共交通機関ユーザーに向けて、ゆっくりできるイートインスペースを作りたいな、と。原型はコーヒーサーバーと椅子がポンと置いてあるだけのスペースでした。皆さんがもっと居心地良いように……、と試行錯誤していたらいつの間にかYONが出来上がっていました。せっかくやるなら適当なマシンでコーヒーを淹れるのは嫌だったんですよね。だんだんハンドドリップで丁寧に、美味しいコーヒーを出したいと考えるように。そうやって人が集まる場所になるのであれば、鳴子を盛り上げる場所になれば良いな、と考えるようになったんです。

こだわりの詰まったコーヒーとお菓子

ーーーYONのコーヒーのこだわりを教えてください。

オリジナルブレンドは、私たちの好みの中間の味になるよう焙煎士さんにリクエストしました。僕(オーナー)の好みは酸味が強いもの、あやかちゃん(奥様)の好みは甘みの強いもの。お互い自分の好みは譲れず、ちょうど中間を取ることにしたんです。試作で僕の好み全開で作ったら、「酸っぱすぎて飲めたもんじゃないよ」ってあやかちゃんに言われてしまい(笑)

ですが、中間の味わいを選んだことで、結果的にすごく飲みやすいコーヒーができあがったんです。YONは旅行や長距離移動の途中で立ち寄る方が大多数。コーヒーって時間が経てば冷めるもの。酸味が強いコーヒーは冷めるとより酸味が強くなりますが、YONオリジナルブレンドは甘みとコクがあるので冷めても飲みやすいです。温度帯によってベストな香りや味が変化するコーヒーとなりました。時間の経過と共に楽しめる、まるで香水のようなコーヒーです。冬はホットで甘みを感じてもらい、夏はアイスで爽やかな味わいのコーヒーを目指しました。焙煎士さんの粋なはからいで、なるみのお饅頭にも合うテイストになっています。

ーーーお菓子は誰が作っているのでしょう。

僕(オーナー)が作っていますね。やっぱり看板商品はコーヒーなので、飲み合わせを一番に考えています。YONのコーヒーはサラッと飲めるものなので、お菓子も軽めな食感と味わいになるようにしています。コーヒーと一緒に食べるとぴったりです。

ーーーコーヒーもお菓子もYONのこだわりが詰まっていますね。インスタグラムに写る食器やお店のロゴもステキですよね。

デザイナーさんにロゴ作成を依頼したのですが、鳴子のことをすごく考えてくれて。丸みを帯びたデザインが、温泉地帯の温かみを表現しているんです。「O」の部分は、なるみのお団子やお饅頭をイメージしてくれたんですって。

食器も実はオーダーで作ってもらったものなんです。実際に工房にお伺いして、3時間ほど窯元さんとお話して。そうしたら、「あ、いいよ。作るよ。」って快く引き受けてくださいました。

YONのおすすめ
•YONブレンド
仙台のdarestore coffee roasteryのロースターさんに作ってもらったYONオリジナルブレンド。
アイスコーヒーも全て、YONブレンドで淹れています。

•上原マスカルポーネの焼きチーズケーキ
鳴子の上原(うわはら)地区で精製された、市場には出回ってない上原牛乳を使用。
折角なら上原牛乳を使ってチーズを仕込んでしまおうという、四代目の粋なサービスで誕生したチーズケーキ。
中浅煎りのコーヒーに合うように、あっさりとしたライトな味わいに。

もっと楽しい鳴子旅行に

ーーー今後YONをどう展開していきたいですか

これからは、展示会やワークショップを行い、喫茶プラスアルファの取り組みをしてみたいです。鳴子って湯治場の文化が根付いているんですが、実際に湯治場について観光客の方は詳しく知らないのではないかな、と思っていて。なので、湯治場って何してるの?っていうワークショップをやろうかな、と思っています。もっとイベント的に鳴子の魅力を伝えていけたら、楽しんでもらえるのではないかな。

ーーー未来にむかってどんどん変化していきそうな予感ですね

でも、将来的にもそんなにやっていることは変わらないと思っています。思いついたらやってみるタイプですが、来た人が楽しめる場所を作り続けるという信念は変わらないです。常にチャレンジすることで、鳴子の魅力を発信できるのではないかと思っています。旅行の密度が上がって、最終的には「鳴子にまた行きたい!」という気持ちになれる場所であり続けたいですね。

ーーー鳴子の魅力溢れるお店に足を運んでもらうことがYONの信念ですね。

そうですね。県外からYONのコーヒーのために出向いてくれる方も増えました。それこそ焙煎士さんや窯元さんからの紹介で来てくださる方もたくさんいます。そういうYONに携わる方々が、YONを紹介してくださる環境にありがたさを感じます。いただいたご縁を、今度は私たちが鳴子の魅力的なお店に繋いでいきたいと思います。YONは、これからの鳴子の未来につないでいけるような場所であり続けます。


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