(入門)インサイドセールスってなんですか?
この記事とは
最近聞くことが増えたインサイドセールスついてです。自身の業務理解を深めることを目的に公開情報を調べていたらそこそこの情報量になりましたので、同じく興味を持っている方など誰かのお役に立つものになればとアウトプットします。
インサイドセールスとは
インサイドセールスには大きく3つの役割が存在します。
①SDR(sales development representative)
マーケティングとセールスの間の役割で、マーケティングが獲得したリードを受け取り、お客様とコミュニケーションをとって最適なタイミングでセールスにパスを行う
②BDR(business development representative)
こちらからの電話やお手紙で商談機会の創出に動く。一般的にSDRがスタートアップ~中小規模の少数精鋭企業を対象にするのに対して、BDRでは大手企業をターゲットとすることが一般的
③オンラインセールス
訪問のオンライン化、ZOOMなどを活用してオンライン上で商談から成約まで営業活動を完結させるもの
またこれらの必要性は企業によって様々なため、メインターゲット企業の従業員数や商習慣に合わせて組織編成されます。企業によって当然組織構成は異なります。
①のSDRについてはSalesforceさんの記事に詳しい説明がありました。
インサイドセールスの役割は、見込み顧客の管理と育成です。
情報インフラが発達した現在では、顧客はみずからネットを回遊し、欲しい情報を得ようとします。こちら側からアプローチするまでもなく、顧客は多くの情報を手にしており、複数の候補の中からすでに選択肢を絞り込んでいるかもしれません。
しかし、自社サイトへのアクセスやフォームからの問い合わせなどをリストアップしておけば、顧客の興味や関心の度合いを測ることができますし、それに合わせたアプローチをかけることができます。
さらに一歩踏み込めば、顧客のニーズにより強くヒットするようなアプローチをかけることで、自社製品への興味や関心をさらに高めることも可能です。つまり、見込み顧客を「より有望な顧客」へと育てるナーチャリングを専業で行うのが、インサイドセールスの役割です。
(引用:インサイドセールスの活用で、営業部門が一気に効率化する!)
②のBDRについてはyappliの小林さんの記事、外資IT・ITベンチャーで磨き上げてきた、アポ獲得率23%・返信率40%のメール術に具体的なノウハウが、事例に交えて紹介されています。
『見込み客の3つの「Why?」を解消するとアポ獲得率が向上する』
Why You?(なぜ私に?)
Why Now?(なぜ今?)
Why Your Company?(なぜあなたの会社が?)
③のオンラインセールスについてはsmartHR正木さんの記事が生きた言葉で強く印象に残りました。
"私はこの4年間、オンラインセールスという職種にこだわってきました。なぜオンラインセールスにこだわっているかと言うと、お客様にとって1番いい提案手法だと思っているからです。というのも、訪問のための移動時間が必要ないオンラインセールスは、フィールドセールスよりも追客・お客様のフォローにあてる業務時間を1日2時間ほど長く確保できます(SmartHR社の場合)。そのため、お客様のフォローを安定して行えるだけでなく、万が一イレギュラーな依頼が来てもその日に対応できる、総合的に見てお客様の期待に応えられる環境を整えやすい、と実感しています。"
(引用:2020年はオンラインセールスの年になる)
フィールドセールスとの差別化
①高い業務生産性
距離や移動時間が無い分、より多くのお客様と接点を持つことができます。また、よりお客様の情報を調べたり提案を練ることも可能になります。
②効率的な業務習得
先輩の商談の録音を聴いてトレーニングしたり、自分の商談のアドバイスを受けることができます。またフィールドだと1日に同行できる件数は3-4件なのに対して、インサイドセールスなら頑張れば1日7,8件と倍のペースで学習サイクルを回せます。
これらの理由もありSalesforceさんの記事にもあるように、インサイドセールス組織は効率的な業務習得の観点から人材の教育機関としても重要な役割をになっています。
インサイドセールスは将来外勤営業に進むための教育機関でもあります。
( 引用:営業育成は“名門サッカーチーム”に習え!インサイドセールスが貢献する組織のあり方とは? )
テレアポとの違い
- フロー型かストック型か
テレアポではくじ引きのように大量の電話をこなすフロー業務であるのに対して、インサイドセールスでは信頼関係の構築、情報のストックを行います。必ずしもアポをすぐに無理に獲得するのではなく、お客様と受注に向けたプロセスの中で情報をストックしていきます。
- 実際辛い?→テレアポに持つイメージの辛さはないかも
1日20-40件の連絡数で、CRMに事前の顧客情報があるお客様に連絡することがメインになるので、ストック型の組織になっていれば一概に辛いものではないようです。
テレアポについては野村証券出身のYouTuber宋世羅さんのこちらの動画がよくイメージが持てるかもしれません。
"テレアポの利点は件数をこなせること。"
(引用:【現場】テレアポの極意【現実】 )
組織立ち上げ
インサイドセールスの組織立ち上げについてはアライドアーキテクツ藤田さんの【SaaS営業】全部書きました!インサイドセールスの導入・失敗・定着・成果の12か月間!こちらの記事が参考になりました。最重要KPI設定についてや、次に紹介するTHE MODELを自社の営業組織にどうフィットさせるかの試行錯誤が詳細に記されています。
背景
なぜインサイドセールスという職種がこの数年で台頭してきたのかについてです。THE MODELという概念の普及がひとつのターニングポイントになっています。
THE MODEL
マルケト福田さんの名著『THE MODEL』
THE MODELとは、営業プロセスをシステムで測定/管理することで「お客様の成功と共に売上拡大・成長する仕組み」です。より現代的な商習慣に合わせて、マーケティングからサービス利用後までの本質的なカスタマーサクセスを目指します。
※またこのTHE MODELはSalesforceの日本支社にてできた、日本の商習慣と地理に合わせたモデルである、という点も抑えておきたいポイントです。
日本企業が従来取り組んできた営業スタイルとは、アポ取り→初回訪問→複数回の商談→受注と、基本的にはひとりの営業マンが全てのファネルを担当して足をかせぐ営業です。ところがインターネット上の情報流通量増加に伴い、営業活動における企業の決裁プロセスにおいてのインターネット上で完結する部分が増えました。顧客は情報収集/比較検討を繰り返していて、営業が出会った時には半分以上の購買意思決定プロセスは完了しています。このような変化にともない、多くの企業がBtoBマーケティングに取り組み活発に投資を行いました。しかしそれによって、商談機会の獲得に至らないリードが増えて、結果的に受注あたりのコストが増加するという新たな課題が生まれました。そこでインサイドセールスという職種の必要性が出始めます。このような背景に合わせて、新たな営業組織の型として生まれたのがこのTHE MODELであると理解しています。
THE MODELが定義する営業プロセス
具体的な運用方法の概要については本家Salesforceさんより引用です。
"The Modelでは、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「外勤営業」「定着化支援」の4つの段階に区分します。そして、それぞれの段階の中で、「母数」「成功率」「ゴール」を数値化します。ここでポイントとなるのは、あるプロセスのゴールが次のプロセスの母数になるということです。ですから、各部門が十分な母数を確保するためには、すべての部門で確実にゴールをクリアし、次の段階にパスしていくことが必要です。"
( 引用:営業効率を最大化する「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践)
THE MODELにおけるインサイドセールス
インサイドセールスのファネルでのアクションについてです。
"ここで、インサイドセールスについて少し補足しておきましょう。
マーケティングで得られた見込み客が、自社製品にどれほどの興味を持っているか。そこには、当然ながら温度差があります。時間と手間をかけて外勤営業が訪問するなら、より興味の高い層、つまりホットリードを対象にしたほうが、効率はいいはずです。また、たとえ「今すぐは必要ない」という相手であっても、ベネフィットを理解してもらえれば、「それなら前向きに検討したい」と考えるかもしれませんし、3か月後、6か月後には状況が変わるかもしれません。インサイドセールスは客先に出向くことなく、見込み客に対しておもに電話でアプローチし、商談化できるレベルに育成する役割を担います。そして、十分に「育った」見込み客を外勤営業にパスすることで、受注率ひいては売上の向上に貢献するのです。従来は、顧客育成や案件発掘の役割まで外勤営業が兼ねている企業が多くありました。ですが、次に紹介する「数値の可視化」を行う上では、この役割はプロセスとして分けて考えたほうが効率化できます。そうすることで、売上増大のためにどの数値を上げるべきか、そのためにどんな施策が有効なのか、より見えやすくなるからです。労働人口が減少し、生産性向上が必要な日本にとって、インサイドセールスは非常に有効な手法の1つであり、インサイドセールスを設置する企業が急増しています。"
(引用:営業効率を最大化する「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践)
インサイドセールスのプロフェッショナリズム
現在インサイドセールスとして活躍している方々のお話を見聞きしていると、下記3点が特に活躍のポイントになるのかなと思いました。
①1日の稼働時間のフル活用するための鉄則を設ける
- 前日の業務終了時には、翌日のコール対象リストが条件別に整備されて明確になっていること
- コール前に対象リードの情報を頭に入れておくこと
- 会話できた場合も最大時間を決めておく。~(中略)~会話のクオリフィケーションに必要な項目を常に頭に入れて、タイムマネジメントされた会話を行うこと
(引用:THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス)
②誰よりも製品と事例に詳しい
"笹岡:まずはヤプリの事例を読み漁ること。表には出ていない非公開の情報については、FSの先輩陣に聞いて回りました。クライアントがどのような課題に対して、どのようなものを求めて、結果ヤプリを選んでくださったのかを情報収集して、自分の言葉で話せるような独自の事例集を作りました。こうしてお客様との電話のなかで具体例を出せるようになったことで、飛躍的に商談獲得の機会も増えていきました。"
(引用:「電話は苦手だった」19ヶ月連続商談獲得数No.1 インサイドセールスの素顔に迫る #ヤプリなひとびと)
③何ができる/できないを正しく伝えることができる
"誠意のある営業担当者だと感じるポイント 「どのような営業担当者が、買い手にとって誠意のある営業担当者だと思うか」という問いに対し、多かった回答は「できないことを明確に伝えてくれる」で40.4%、「社内でも気づいていない課題を発見し、解決策を提案してくれる」で38.4%だった。次いで、「自社のアピールより顧客の課題ヒアリングを重視している」との回答が35.9%にのぼった。"
(引用:【2021年版】インサイドセールスに関するデータ集)
転職希望者としての観点
企業導入率
HubSpotさんのデータによると、2019年には11.6%、2020年には36.4% (導入企業のうち、直近1年以内に導入した企業は46.9%)と伸びている。
企業ニーズの増加にともない、求人も増加傾向にあると言えそうです。
人材の市場価値
"実は、SaaSの営業に求められるスキルは、従来の「売り切り型ビジネス」の営業とは大きく異なるので、SaaSの営業を極めると市場価値が爆上がりすると思います。"
(引用:SaaS企業の「営業」に求められるスキルと素質)
こちらの記事はSaaS企業で働く営業職の方全般を対象にお話されていますが、インサイドセールス職にもしっかり当てはまりそうです。
※余談ですがSmartHRの宮田さんのブログは名記事だらけで、他の記事もぜひ読むことをおすすめします!
求職者として優良な企業組織を見極める時のポイント
①IT投資が行われているか
- CRM(顧客管理システム)、MAツール(マーケティングオートメーションツール)が導入されている
- マーケティング組織がしっかりしていてリードの受け渡しやナーチャリンクが行われている
②データドリブンな組織かどうか
- どのような指標で数字をみているのか
- どのように組織マネジメントを行なっているのか
- 日々追いかける指標をどう考えているか
このお話は 【新時代の営業】第一人者が語るインサイドセールスの魅力って?_中級編【茂野明彦】こちらの動画でBizReach茂野さんのお話を元にしています。それぞれ企業のリサーチや面接にて確認すると良さそうです。
最後に
私がインサイドセールスに興味を持った理由は、現在の商習慣と求職者のそれぞれのニーズを満たす職種であり、このコロナ禍のご時世にもマッチしているため今後さらに拡大が予想される職種だと確信したからです。
また非常にシステマチックな職種なためリモートワークとも相性が良く、これまでリモートワークが非推奨だった会社でも管理しやすく導入検討されやすいようのかなと感じます。対して人材側も、習得効率も比較的高く例えIT業界未経験の人でも受け入れやすい職種という点でも、拡大が見込めると思います。
参照コンテンツ
たくさん勉強させていただきました!圧倒的に感謝です。
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