見出し画像

睡眠の質を上げる5つの栄養素と3つの生活習慣【前編】

この記事を読み始めた皆さんは、程度の差こそあれ不眠症に悩んでいるのだと思います。

ですが、ご安心ください。
不眠症には原因があり、適切な対策を打てば必ず状況は好転します。

この記事では、おもに栄養面からのアプローチを解説します。
「栄養で睡眠の質が改善するのか」と思うかもしれませんが、栄養と睡眠は大いに関係あります。

栄養が作り出すある物質が睡眠の質を確実に上げるからです。
その物質とはメラトニン。

メラトニンは、脳の松果体という部分から分泌されるホルモンです。
体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて自然な眠りを誘う作用があり、睡眠ホルモンとも呼ばれます。

メラトニンを栄養の力で大量に作り出せば、睡眠の質が劇的に改善と言いたいところですが・・・
劇的に改善するには、栄養以外に悪しき生活習慣を改めることも重要です。

5つの栄養素と3つの生活習慣です。 
この記事では、生活習慣にも踏み込むことで、メラトニンを大量に製造したうえで、分泌したいタイミングで分泌することを目指します。

睡眠の質を上げる栄養素①タンパク質

メラトニンには、元となる材料があります。 
トリプトファンというアミノ酸です。

アミノ酸は、タンパク質が分解された最小単位です。
アミノ酸には体内合成できる非必須アミノ酸と、体内合成できず食べ物から摂らなければいけない必須アミノ酸の2種類があります。

トリプトファンは後者の必須アミノ酸ですので、食べ物から摂る必要があります。 

トリプトファンが多く含まれる食べ物です。

1ページ

真ん中の数字は100g当たりの含有量ですが、実際に摂取する量としては右側の数字が近いので、の含有量で話を進めます。

上半分の4つは主食です。
白米ご飯でも約50mg含まれますが、麺類はそれよりも多く100〜150mg含みます。
下半分4つは大豆食品。大豆、豆乳、納豆は概ね100mg前後です。

2ページ

トリプトファンがもっとも多い食べ物は、上の2つ、カツオとマグロ赤身です。100g食べると300mgもゲットできます。

下の方の肉類、とくにレバーは、カツオやマグロとほぼ同じ含有量です。
レバー以外にも十分な量が含まれます。

そして一番下の玉子。
玉子一つで100mg前後ということは、私のように毎日2個は食べる人は200mg以上摂っていることになります。
これも大きいです。

どうでしょうか。
日常的な食べ物ばかりですので食事から摂るのが基本ですが、どうしても不足気味の人はサプリを検討してみてください。

睡眠の質を上げる栄養素②ビタミンB群

正確には、ビタミンB群の内、
ビタミンB6、ナイアシン、葉酸
の3つです。

メラトニンの材料はトリプトファンですが、トリプトファンは化学反応によって3段階の変換を経てメラトニンになります。

その前半を示した図がこちらです。 

トリプトファンはまず、5-HTPという物質に変換されます。

その化学反応を起こす酵素の補酵素として葉酸とナイアシン、および鉄(後述)が必要です。

さらに、5-HTPが次の物質に変換される時に、ビタミンB6が必要です。

葉酸、ナイアシン、ビタミンB6。
いずれも食品から摂れますし、食事から摂ることが大切ですが、結論を言うと、食事からのビタミンB群ではやや足りません。

そこで含まれる食べ物は飛ばして、サプリの話をします。
と言っても、葉酸、ナイアシン、ビタミンB6、それぞれの単独サプリを飲むのは予算的にも継続するのも大変です。

そこでビタミンB群8種類がたっぷり入ったサプリ(ビタミンBコンプレックス)を選ぶのが現実的です。

が、その前に、それを飲まなくても、マルチビタミンに含まれるビタミンB群で足りる場合もあります。

私が飲んでいるマルチビタミン、Life Extension ツーパーデイには、
ビタミンB6が75mg、
ナイアシンが50mg、
葉酸が680mg
含まれます。
これは単独サプリの含有量に匹敵する量です。

しかも、ビタミンB6と葉酸は活性型と呼ばれる体内効率に優れたものです。
まずは、含有量が多いマルチビタミンからです。

ビタミンは望ましい摂取量の個人差が大きいので、それで十分な場合もあれば、それでも足りない場合もあります。
それでも足りない場合は、ビタミンB群サプリで上乗せする必要があります。 

なおビタミンB6については、このあと1回、さらに【後編】でもう1回登場します。
そのくらい非常に重要だということを、今述べておきます。

睡眠の質を上げる栄養素③鉄

不眠症は男性よりも女性の方が多いことで知られています。
理由として、ホルモンバランスの変化などが挙げられます。

が、もう一つ、閉経前の女性に鉄不足の人が多いことも関係しているのではないかと私は考えます。

鉄とメラトニンの生成に関しては、先ほどの図で示しました。
ナイアシン、葉酸と同じく、トリプトファンから5-HTPに変換される場面で補酵素(正確には捕因子)として働きます。

鉄を多く含む食べ物です。

吸収率が高いヘム鉄は肉類、中でもレバーの含有量は突出しています。
それ以外では魚です。

吸収率が低い非ヘム鉄は、玉子、貝類、豆類、緑黄色野菜、海藻類です。
非ヘム鉄の吸収率は2〜5%と極めて低いですが、ビタミンCを同時にたっぷり摂ることである程度アップします。

これらの食品を普通に食べていれば、月経のある人、痔や消化管出血など、出血要因がある人以外は鉄が不足することはないはずです。

が、出血要因がある人は、食べても鉄不足が解消しないことも多々あります。
その場合はサプリで補充してください。

鉄の最大の役割は、全身に酸素を届けることです。
メラトニンの生成に留まらず、全身に症状が出ます。

鉄不足、鉄欠乏は絶対に避けたい所です。

睡眠の質を上げる栄養素④マグネシウム

最重要ミネラルのマグネシウムは、メラトニンの生成にも関わります。 
関わる箇所はというと、先ほどの図の続きがこちらです。

5-HTPから変換されるのはセロトニンです。 

セロトニンは脳の興奮を抑えて、心身をリラックスさせる効果があります。
「幸せホルモン」とも呼ばれます。

このセロトニンが化学反応によってメラトニンに変換されますが、その際の酵素の捕因子としてマグネシウムが必要です。
メラトニンが生成される最終段階での出番です。 

セロトニンにもリラックス効果があり、睡眠にも多少プラスには働くかもしれません。
が、不眠症の解消には、少しでもメラトニンに変換したいものです。

マグネシウム不足はこの工程を滞らせます。
そのため、マグネシウムをしっかり摂取する必要があります。

マグネシウムは600以上の働きを持つ最重要ミネラルです。
鉄同様に、メラトニンとは関わりなく絶対に不足してはいけない栄養素です。

さて、マグネシウムを活性化させる栄養素があります。

それが先ほど登場したビタミンB6です。
ビタミンB6が不足していると、摂取したマグネシウムを最大限に生かすことができません。

さらに、ビタミンB6が不足すると、睡眠への重大な悪影響が出るかもしれないことを、5つ目の栄養素(後編)で説明します。

ここまでの[まとめ]

必須アミノ酸トリプトファンが、葉酸、鉄、ナイアシンを補酵素として5-HTPに変換されます。5-HTPは、ビタミンB6

を補酵素としてセロトニンに変換されます。さらにセロトニンは、マグネシウムを捕因子としてメラトニンに変換されます。

この時、ビタミンB6がマグネシウムの活性化に働きます。

この記事は【後編】に続きます。

この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?