見出し画像

「ビタミンEが病気を止める、細胞を守る」と言っても大げさではありません。

ビタミンEがどのような病気を予防するのか、どうして細胞の質を守るのか、ということを解説し、あらためてビタミンEの大切さを再認識していただきたいと考えています。 合わせて、ビタミンEを含む食品、ビタミンEの推奨摂取量についてもお伝えします。

酸化油から体を守る

最近アップした酸化油に関する記事で、現代食に溢れている酸化した油、有害な油を摂取し続けることで、体がどれだけのダメージを受けるかということを記しました。

その対策としては、酸化した油を摂らない、体に入れないことです。
とは言っても、まったく口にしないというのは非現実的ですし、非常に味気ない食生活になってしまうかもしれません。

そのため、一定量は摂取してしまうことを前提として、それによる体へのダメージを最小にするために必要なのがビタミンEです。

ビタミンEは油に溶ける脂溶性のビタミンであり、油に対して酸化防止剤として働くからです。

ちなみに「すでに酸化した油を摂った場合、ビタミンEを入れても手遅れなのではないか」という疑問も湧くかもしれませんが、手遅れではありません。

酸化した油のことを過酸化脂質と言いますが、過酸化脂質は体内に入ったあと周囲の脂質を連鎖的に巻き込んで酸化させていく、という悪事を働くからです。

その連鎖反応をブロックするのもビタミンEです。

では、具体的にビタミンEの酸化防止力が体のどこで働くのか、
①細胞レベル
②臓器レベル
③血管内
の3つに分けて話を進めていきます。

細胞膜の酸化防止剤

まずは細胞レベルです。
一つ一つの細胞を取り囲む細胞膜が脂質を材料としています。

上の図のように、細胞膜は脂質が向かい合う2重構造をしています。

ここが活性酸素に攻撃されて酸化したり、過酸化脂質が入り込んで周囲の脂質も酸化していくのを防ぐのがビタミンEです。

細胞膜の酸化防止がどれだけ重要であるかは、細胞膜の役割を知らなければ分かりません。
細胞膜は、単に細胞を覆う包み紙ではありません。それ以外に3つの大切な働きを持っています。

[細胞膜の働き]

①細胞の恒常性を保つ

恒常性とは内部環境を一定に保ち続けることです。
細胞外の環境が変化した場合、細胞内の環境が急激に変わってしまっては生命の維持が難しくなります。

少し分かりにくいですが、もしも氷点下の大寒波の時に、家やマンションの壁が断熱効果を持たなかったら、家の中でも生きていくのは大変ですよね。
そういうイメージで捉えてください。

②物質の出入りを担う

物質とは、例えば栄養素です。
アミノ酸やブドウ糖、ナトリウムやカリウムなどです。

そして、酸素や二酸化炭素、水も細胞膜を通過して出入りします。
これらの出入りが順調に行かないと、細胞は栄養不足になります。

③細胞同士の情報交換

これは、神経伝達物質という物質を介して、隣り合う細胞と情報交換を行うことを意味します。

細胞も数多く集まってはじめて組織的な働きが可能です。
組織や器官が十分に機能するかどうかは、細胞同士の情報交換がスムーズかどうかに掛かっています。

細胞膜が酸化すると、その酸化の程度に応じて機能が低下してしまいます。

脂質の臓器、脳と副腎皮質

では次に、臓器レベルでビタミンEの働きを見ていきます。

脂質が多い臓器を見ていくと、何と言っても脳です。
脳は、水分除くと約60%が脂質です。残りの40%がタンパク質です。

その60%を占める脂質が酸化してしまうと、脳が正常に機能しなくなります。
それが進行すると、アルツハイマー型認知症のリスクが高くなることが分かっています。

もう一つ、脂質がカギを握る臓器は副腎皮質です。
副腎は、腎臓の上にちょこんと乗っかっている、一つが4〜5gくらいの内分泌器官です。

副腎は下のように真っ二つに切ると、外側に副腎皮質、内側が副腎髄質という部分に分かれます。

脂質を材料とするのは、外側の副腎皮質です。
副腎皮質からは、ストレスに対抗するコルチゾール、血圧の調整をするアルドステロン、性ホルモンの元となるDHEAといった人が生きるために必要なホルモンが分泌されます。

怖いのは酸化コレステロール

では最後に、血管内におけるビタミンEの酸化防止の働きを説明します。

血液中のLDLコレステロールが酸化すると、酸化コレステロールに変化します。

LDLコレステロールのことを“悪玉”と言ったりしますが、LDLコレステロール自体は、細胞膜の材料であり、副腎皮質から分泌されるホルモンや胆汁酸の材料でもあり、体にとって絶対に必要なものです。

ただ、LDLコレステロールが酸化コレステロールになってしまうと、さまざまな疾患を引き起こすので“悪玉”と言われるワケです。

酸化コレステロールが血管に付着し、それが広がると、いくつかの過程を経て動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化は高血圧をはじめ、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞や狭心症のリスクを上げます。

ですから、コレステロールを目の敵にして控えるよりも、コレステロールを酸化させないことの方が重要です。

そこで、ビタミンEをたっぷり摂る必要が出てくるのです。

ビタミンEの推奨摂取量は?

ビタミンEを含む食品には、ヘーゼルナッツ、アーモンド、カボチャ、モロヘイヤ、たらこ、植物油、煎茶、豆乳、うなぎ、赤ピーマンがあります。

厚生労働省が公表しているビタミンEの1日当たり目安量は6〜7、5mgです。
この量であれば、今の食品からの摂取で足りるはずです。

しかし、他の栄養素同様に、厚生労働省の目安量は最低限のなかの最低限でしかありません。
細胞膜の酸化、脳や副腎皮質の酸化を防ぎ、コレステロールを酸化させないためには、大幅に摂取量を増やす必要があります。

私が推奨するビタミンEの摂取量は、200〜300mg/日 です。

結論を言うと、その量を日々の食事から摂ることは不可能です。
なので、サプリメントを利用することを薦めます。

ビタミンEサプリメントに関しては、【ビタミンEサプリメントの選び方・3つのポイント】という記事をお読みください。


ビタミンCとコエンザイムQ10

ビタミンEと合わせて摂っていただきたい栄養素が2つあります。
ビタミンCとコエンザイムQ10です。

細胞膜の酸化を防ぐのはビタミンEだと話しましたが、細胞膜の中の部分(細胞質)の酸化を防ぐのは主にビタミンCだからです。
ですから、ビタミンEもビタミンCも必要です。 

もう一つ、細胞の中にミトコンドリアという、エネルギーを生み出す小器官があります。
このミトコンドリアの酸化を防ぐのが、コエンザイムQ10です。

ビタミンEに加えてビタミンC、コエンザイムQ10を一緒に摂取することで、細胞全体を活性酸素から守ることが可能になります。

ビタミンCの記事もありますので、ぜひお読みになってください。

まとめ

ビタミンEの酸化防止作用を

①細胞レベルで見ると、脂質を材料とする細胞膜の酸化防止です。

細胞膜は細胞を覆っているだけではなく、「細胞内の恒常性を保つ」「栄養素、酸素や二酸化炭素、水の出入りを担う」「神経伝達物質を介して、隣り合う細胞と情報交換を行う」という役割を持っています。

②臓器レベルで見ると、脳や副腎皮質の酸化防止に働きます。

脳の酸化が進行すると、アルツハイマー型認知症のリスクが高くなります。
副腎皮質は、コルチゾールをはじめ人が生きるために必要なホルモンを分泌する臓器です。

③血管内では、血液中のLDLコレステロールが酸化するのをビタミンEが防ぎます。

酸化コレステロールが血管内に溜まると、動脈硬化を引き起こし、高血圧をはじめ、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞や狭心症のリスクを上げます。

ビタミンEにこれらの仕事を十分にしてもらうためには、残念ながら食事からの摂取では全く足りません。
したがって、ビタミンEサプリメントの助けを借りることをお薦めします。

この記事の内容については動画もアップしています。合わせてご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?