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笑い飛ばすのも、やさしさかもしれん

いま、香川から大阪に帰るバスの中。
このところの大阪では、日本のどこでもそうだけど、爆発的にコロナの感染者が増えている。だからまあそんなところに帰りとうもないが、帰る。

だって、ヨガ行きたいしプールも行きたい。オフィスに行って会社のみんなにも会いたい。香川めちゃくちゃ好きだけど、時間の流れがとにかくゆっくりで「あ~これもやりたいのに」がなんかどうでもよくなって、だらん、ってしてる。仕事して、それ以外、だらんってしてる。それでいいんかもしれんし、むしろそっちのほうが楽だし、だけど、大阪でせかせかする自分もまあ悪くないから。

・・・・・

この帰省のあいだに、じいちゃんが出した一通の手紙が戻ってきてて、それを何気なくツイートしたらバズった。

じいちゃん。

母さんの父さん。

じいちゃんとばあちゃんは、私のことを共働きの両親に代わって大切に育ててくれた。去年の2月にばあちゃんが死んでからは、じいちゃんはひっろい家に一人で住んでいる。私たち家族の隣の家。

ばあちゃんが死んでしまってから3か月くらいは、すごく落ち込んでて、おしゃべりな人なのに全然喋らなくなった。でも今は、けっこう元気で、89歳だけど、チャリンコに乗って近く(といっても20分くらいのところにある)の病院に行ったり、誰も使わない市営バスに乗って図書館に行ったりしている。農作業だってするし、ご近所さんの悪口だって言う。口も達者だ。

でも、耳が遠くて、大声じゃないと話が通じないときがあったり、オンライン会議の途中に画面に入ってきたりするから、私はたまに怒鳴ってしまう。


「前にも言ったじゃん!何回言えば分かるん?」「なんでこんなに大声で喋らないといけないの!」


そういうときに、めちゃくちゃ後悔する。じいちゃんに悪気はゼロだから。ごめん。

じいちゃんの嫌いなところはほかにもいくつかある。きっと私がばあちゃんにならないと分からないんだと思う。腰が曲がってしまっていたり、よく飲み物をこぼしてしまったり、同じことを何度も言ったり、大切なものを失くしてしまったりするんだろう。


共感なんて絶対にできない。けれど、分かろうとしたい。そういうやさしさを持ちたい。「仕方ないよね、じいちゃんだもん!」って笑って吹き飛ばしてやりたい。


そして、ある日、

郵便受けに戻ってきたじいちゃんの手紙。郵便番号は5桁だし、乃木希典の二銭切手だし。なんとなくTwitterにアップした。


そしたらツイートがバズった。


他人から見れば、じいちゃんの奇行は、うっとうしくてめんどくさいものではなく、おもしろくて笑える楽しいものなんだろうな、と思った。これからも、笑い飛ばしてやろう。



それがやさしさかもしれん。さて、今夜もヨガ行こう。

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