轆轤で奏でるミュージック
あなたの指はカートリッジだった。
体温が伝わった柔らかな土がまわり始める。
潤いを与えながら、
あなたの手が回り始めたターンテーブルへ落ちる。
なり始めた音楽は自在な音に聞こえた。
どんな音にもなれるような音が聞こえた。
何かを、誰かを想う手がそれを鳴らしていた。
すぼめたり、広げたり、膨らませたり、
波を打たせたり、リズムをつけたり、ひねったり。
器のかたち、模様が決まる。
抱きしめて受け止めてくれる、心の形。
抱きしめて彩ってくれる、心の模様。
たとえ歪んだように聴こえたとしても、
それはまるでエレキギターの歪みのように、
魅力的に鳴らすことだってできる。
やさしい指先で鳴らす音楽から、
そしてできあがる波形が
想像力を刺激する。
季節は、時間は、天気は、匂いは。
すべては調和だ。
心と想像との調和で“創造物”が産まれ、
創造物と心の調和でまた新たな“想像”が産まれる。
調和を産んだあなたの指はカートリッジだった。
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