新生ベガルタ仙台の船出は怪我人続出の荒波~2020戦力分析~

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 一時代を築いた渡邉晋監督からJ2で実績を残した木山隆之監督にバトンタッチ。主力の退団を最小限に抑え、魅力的な選手が加入した。
 新たなサイクルに突入する”東北の雄”ベガルタ仙台の一挙手一投足に注目していきたい。


戦力分析

ベガルタ仙台


GKは若手・中堅・ベテランが揃う理想の陣容

 昨シーズンGKシュミット・ダニエルが抜けた穴をしっかり埋めたGKヤクブ・スウォビィクが正守護神を務めるだろう。ポーランド代表経験がある実力者は、手足の長さを生かしたセービングでチームを救う。
 バックアッパーにはベテランのGK関憲太郎やムードメーカーGK川浪吾郎が控えていて、予期せぬアクシデントの際は冷静に対応する。
 また、ルーキーGK小畑裕馬は育成組織出身で仙台の次期守護神を担う存在だ。反射神経と足元の技術が秀でている現代型GKで、公式戦デビューが待ち遠しい。
 

主将シマオ・マテをはじめとする強さを備えたCB

 今シーズンから主将に任命されたDFシマオ・マテが軸。スペイン1部でプレーした経験を持ち、昨シーズン加入すると対人守備の強さと冷静な判断力で最終ラインに君臨した。相手エースをシャットアウトする力強いプレーで勝利を引き寄せる。
 現時点でのシマ・オマテの相棒はDF平岡康裕が務めると考えられる。空中戦の強さと体を張ったディフェンスでチームを引っ張るベテラン。若い選手が学ぶべきところが多い模範的な選手だ。
 DF常田克人は187㎝の高さと左利きのフィードが魅力的。トレーニングから安定したプレーをすることで序列を覆すことができるポテンシャルを秘めている。
 DF金正也はJリーグでの実績が十分で、貴重なバックアッパーだ。

 

大きすぎる永戸勝也の穴を埋めるには

 昨シーズン10アシストを記録し、アシスト王に輝いたDF永戸勝也は鹿島アントラーズに移籍した。タイミングの良い攻撃参加からの精度の高い左足でのクロスは仙台の攻撃の軸だったため、退団の穴を埋めることが最重要事項だ。
 永戸の代役としてブラジルから攻撃的なDFパラを獲得。永戸と同じ特徴を持った選手であるため、戦術には組み込みやすいはず。唯一の左のスペシャリストだからこそ、ハズレの移籍にはしたくない。
 仮にパラが失敗に終わった場合、守備を固めるという意味でセンターバックを本職としているDF照山颯太常田を左サイドバックに回すことが現在考えられる手段になる。
 パラが当たれば良いが、日本でのプレーは初めて。未知数な部分は否めないため、やや不安が残るポジションとなった。


良い競争が見込める右サイドバック

 不安が残る左サイドバックに対して、右サイドバックは計算が立つ。
 昨シーズン主力として試合に出続けたDF蜂須賀孝二は正確なクロスと堅実な守備でチームを支える。今シーズンも引き続きスタメン候補の筆頭格だ。
 MF飯尾竜太朗は豊富なスタミナでチームのために走れる選手。昨シーズンは怪我にも悩まされ、リーグ戦での出場はなかった。リーグ戦デビューに燃える気合いが入った1年になりそうだ。
 DF浜崎拓磨は攻撃が持ち味で、JFLからJ2を経て、J1まで上り詰めた苦労人。セットプレーのキッカーにもなれるキック精度は非常に高い。念願のJ1に挑む2020シーズンはチームが重視する守備を鍛えて、出場機会を獲得したい。


ボランチの競争を激化させる吉野恭平の加入

 ボール奪取や確実なプレーが光る黒子に徹することができるMF椎橋慧也、両足から放たれるパスで攻撃を組み立てるMF松下佳貴、洗練された読みで相手のパスをカットし、危険なエリアをカバーするMF富田晋伍、怪我で1試合の出場に留まったMF中原彰吾がしのぎを削るボランチのポジション。
 すでに昨シーズン激しいポジション争いが巻き起こっていたが、DF吉野恭平の加入が競争をさらに激化させる。宮城県出身で、地元に対する愛情は強い。ロングフィードでの展開力だけでなく、センターバックでもプレー可能な守備力を併せ持つ。
 監督が変わったため、昨シーズンの序列の影響は比較的受けにくいポジションなのではないだろうか。調子の良さや木山監督の戦術への適応度がスタメン争いの行方を左右する。


目玉補強クエンカの負傷は想定外だが…

 仙台サポーターだけでなくJリーグファンを驚かせたMFイサック・クエンカの加入。期待を一身に背負ったサイドのスペシャリストは右膝半月板を負傷、シーズン前半の復帰は絶望的となった。巧みなドリブルとパスで仙台の攻撃を引っ張る存在として考えられていただけに、攻撃の再構築が必要になってくる。
 クエンカの離脱に伴ってチャンスが増えそうなのは、MF佐々木匠MF田中渉。佐々木は度重なる期限付き移籍で様々な経験を積み、正確な止める・蹴ると創造的なアイディアでスタメンに名乗りを上げるか。田中は左足でのパスや相手を剥がすドリブルが魅力。積極的なプレーでアピールしていきたい。
 クエンカの負傷はチームにとって大きな痛手ではあるものの、チームのために頑張れるベテランMF関口訓充は貴重な存在だ。さらに、馬力があり、パワフルなプレーで昨シーズンブレイクを果たしたMF道渕諒平にはチームを引っ張ってほしい。
 献身性が求められる4-4-2のサイドハーフ。スタメンを掴むのはテクニックに優れた若手か、ある程度計算できる選手か。木山監督のチョイスに注目が集まる。


怪我人続出の最前線

 U-19欧州選手権得点王の経歴を持つポルトガル人FWアレクサンドル・ゲデスは退団したFWハモン・ロペスに代わるストライカー候補として加入した。しかし、シーズン開幕を前に全治8週間の怪我を負ってしまう。
 さらに追い打ちをかけるように、昨シーズン公式戦10ゴールを決めたターゲットマンFW長沢駿も全治8週間の負傷。最前線でクロスに合わせる強さと高さを備えた両選手の離脱がチームに与える影響は大きいはず。
 訪れたチャンスを射止めたいのは韋駄天FWジャーメイン良。昨シーズンリーグ戦21試合に出場したが、得点はたったの1つ。負傷による長期離脱もあったため、悔しさが残るシーズンになった。昨シーズンの雪辱を果たすには多くの得点が必要だ。
 新加入のFW赤崎秀平は裏への抜け出しや巧みなシュートテクニックで得点に期待がかかる。背番号11を背負い、初の二桁得点を目指す。
 サイドハーフで言及した佐々木を2トップの一角として起用するのも面白い。フォワードの相棒が裏に抜けることで生まれた狭いスペースで、スルーパスやシュートなどの役割を与えるというのも十分に考えられる。サイドハーフより佐々木の長所が生きる起用法なのではないだろうか。



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