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2022年徳島ヴォルティスから読み解く新体制

2022年 徳島ヴォルティス総括

 2022シーズンに徳島ヴォルティスは1年でのJ1復帰を果たせなかった。
大幅な主力の入れ替えや、編成面での不足など言い訳をしだすとキリがないが1番の要因は年間で48得点のみというゴール数と、それに伴う”勝ち点3”の少なさだろう。

 しかし立ち位置などで相手に主導権を握らせずに被攻撃回数を減らし、リーグトップタイの年間僅か35失点のリスク管理を徹底したフットボールは、目が肥えた玄人徳島サポ達を唸らせたのも事実である。

 ダニ・ポヤトスは数的均衡でのビルドアップや、被カウンターを未然に防ぐ為のリソースの割き方を見るにかなり堅実な監督であったが、リスク管理をしつつ勝利をもぎ取る為に必要な個のクオリティを誰が担保するのかまでは見えなかった。
また、これは徳島の強化部がクオリティを担保できる様な前線の選手を揃えられなかった編成面でのミスや、監督と強化部の意向との乖離だとも受け取れる。
予算に限りもある地方2部のこのチームにはポヤトスが理想とするフットボールを体現する為のピースが揃わなかった。

Chance Building Point
チームデータ

徳島ヴォルティス 2022 シーズンサマリー | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB  

 データを見ても理解できる通り、被攻撃回数はリーグ2位なのに対し攻撃回数は21位と下から2番目の数字となっている。
これらから導かれるものは何か———
そう、ドロー沼である。

ここまでつらつらと書いてきたが
22’徳島ヴォルティスは一言で表すと
「負けないけど勝てないチーム」であった。



ラバイン氏の招聘と変革への兆し


ダニ・ポヤトス監督がガンバ大阪へと個人昇格を果たすと、一時期徳島サポーター達は不安に駆られた。
そこに新たな一報が届く。

ヴォルティス次期監督、ラバイン氏最有力候補 レアル・ソシエダードでチーフアナリスト|スポーツ|徳島ニュース|徳島新聞デジタル


レアル・ソシエダ、トップチームの分析官ラバイン新監督の公式発表後に同チームとの業務連携も発表。
この報に徳島サポ達は夜通し阿波踊りを踊ったと言われている。

就任後には待ってましたとばかりにヴォルティススタジアムによって新監督のインタビュー無料記事が掲載された。この辺りのコンテンツ充実度は徳島ヴォルティスはかなり優秀だと感じる。それと共に改めていちサポとしてとても感謝をしている。

【インタビュー】ベニャート ラバイン監督、就任決定!
https://www3.targma.jp/vortis/2022/12/09/post48362


ラバイン監督「前提として、前任者たちがやってきたフットボールも、徳島ヴォルティスのクラブ哲学に基づいたものだったと思います。例えば『ゲームをコントロールすること』、『主導権を握ること』、『アグレッシブに戦ってファン・サポーターを魅了する魅力的なフットボールを目指すこと』など。
そこに私は『スペースへのさらなるアタック』、『縦への速さも少し』加えようと考えています。それらは、何かを変えるという意味ではなく、付け加えていくことによって進化をさせたいという風に感じています。

まだ詳細な手法は見えないが、このラバイン氏の発言から察するに2023徳島ヴォルティスは前年よりも攻撃面にリソースを割くだろう。
何故なら先程も述べた様に年間で48得点しか出来ていないからだ。個人の質で攻撃面を担保できないなら、多少のリスクをとってでもリカルド時代の様に流動的なアタッキングフットボールを志向するのでは無いのかと推測する。

これを推測できる理由はもう一つある。
それは昨年の杉本太郎獲得に続く渡大生のカムバックだ。共にリカルド時代を熟知している選手である。更に2018-19シーズンにも在籍したシシーニョ氏のアシスタントコーチ就任も見逃せないトピックとなっている。
強化部は2017年以降のリカルドフットボールに近いもの、或いはそれらをアップグレードした様なフットボールを再現しようと試みているのでは無いか——

  2020年にリカルド監督の下でJ2優勝を経験して以来、それに近い、または更に進化した「シン・ヴォルティス」が鳴門の地で見られる時はそう遠くはないのかも知れない。


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