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俺のCD棚 第7回

今回は、Suchmos 【THE ANYMAL】

Suchmosは神奈川県茅ケ崎市発のロックバンド。最近の80~90年代リバイバルを牽引してきた代表格。メンバーが影響を受けたアーティストとして、NIRVANAやjamiroquaiなどを挙げており、ジャンルに囚われずにかなり幅広く音楽を聴いてきた事が伺える。このCDはそんな多様性に富んだバンドの通算3枚目にあたるアルバム。

※因みに表題の「ANYMAL」のスペルだが、わざわざ「I」を「Y」に変更していて、その意図は、様々なこと(ANY)に葛藤する現代人を表した造語だと後にメディアで言及している。

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楽曲についてだが、それまでの80~90年代の音楽性からシフトして、60~70年代のロック・ブルースまでも取り込んだ12曲は、全て新曲。まるでコンセプトアルバムのような、かといって一つのテーマに統一された感じは薄く、曲毎の振り幅は広いという、かなり複雑な構成となっている。

全体を通して聴いた感想としては、ノスタルジックであり、スペーシーであり、ロマンティック(分かりにくいですよね)。懐かしくて、新しい、チルな時間に聴きたいアルバム(耳馴染みがよいので作業用としても〇)。とりあえず、今までのSuchmosの楽曲とは全く別物と言って差し障り無いと思う。

ここまで書いた通り、簡単にはジャンル分けしづらい楽曲・構成となっているのだが、あえて例えるならば、Arctic Monkeys の6枚目のアルバム【TRANQUILITY BASE HOTEL & CASINO】に近い気がする。(映画のサントラのような雰囲気があり、音を詰め込み過ぎず、逆に余白すらも楽しめるようなヴィンテージな雰囲気も纏っている部分が個人的には似た印象を受けた)

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この2枚に共通する、自分たちがいいと思うものを新旧・流行とは関係無く、時代性を縦横無尽に行き来して追及・再構築していく姿勢は、個人的にはDAFT PUNK の【RANDOM ACCESS MEMORIES】で提示された音楽性そのものであると感じていて、それが日本のバンドから出たという事自体が感慨深い。※この部分について詳しくはDAFT PUNKの紹介の際に記そうと思う。

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一曲挙げるならば、【In The Zoo】。前述の雰囲気が一番分かりやすく投影されていると思う。あと、曲の時間が8分と結構長いのも特徴で、じっくりと聴きこむことができるのもいいところ。因みに、この曲はレコード盤として発売されていて、そちらのジャケット写真も秀逸である(しかも、メンバー自身で写真撮影、ドローイングを手掛けたらしい)。多才。

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次に見た目。紙ジャケとなっていて、黄色~白色のグラデーションがシンプルで美しい。中を開くと、少し前(おそらくデビュー当時)のメンバーが少しふざけて映っている。服装に統一感が無いのが彼ららしくて良い。そして右側には漢字で「幸盛」(多分、サチモスと読む)。発売時期が2019年3月だったため、ひょっとしたら新元号的なアプローチかも(それは無いか…。)

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裏面には、表面と統一されたデザインの脇にきっちりとF.C.L.S.の文字が。 ※自身のレーベル名で「First Choice , Last stance 」の略。こういったセンスが抜群にいいのも、このバンドを気に入っている理由のひとつ。

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あと、歌詞カードも結構拘っていて、なんとそれぞれのテーマに合わせた写真を表面に載せ、裏面に歌詞と演奏した楽器をクレジットしている。聴きながら歌詞を見る、という今となってはあまりやらなくなった習慣を改めてしたくなってしまう程。

総評として、これを書いている現時点ではこのアルバムが一番好きであり、恐らく一年で一番聴いたと思う。

以上、第7回目でした。次回は、今でこそポップなサウンドのイメージですが、実はボーカルyonceがバンドサウンドに目覚めたきっかけになったとされるバンド、Maroon 5 のライブアルバムを紹介します。それではまた。






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