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【相談を振り返る #1】「IT業界のPMや営業になるためにはどういう準備をしておいた方よいですか?」

ある日、私が講師をさせていただいている専門学校の生徒から呼び止められ、以下の相談を受けました。

自分はITエンジニアになりたくて、この学校に通い始めました。プログラムの授業や他テクノロジーの授業もやってやれなくはないのですが、「経営」や「戦略」などを考える授業の方が面白く、IT業界でもプロジェクトマネージャー(PM)や営業のような仕事にしたいと思うようになりました。今からどのような学習や資格などを取得しておけばいいでしょうか?

学生とは”講師(先生)、業界の先輩として”このテーマについて対話をしたので、キャリアコンサルタントとしてはそちらも意識し振り返りを共有してみたいと思います。

IT業界の先輩としての助言

今回、私はITエンジニアとして、そしてこの業界の先輩としてこの学生には助言をすることにしました。

これは、いわゆる「キャリアコンサルティング」とはちょっと違う姿勢で対応したことになるかもしれませんが、私の立場とこの学生との関係性から1つの形としてアリではないかと考えています。

というのも、この学生(Aさん)は、半期にわたり私の授業を受けており、序盤には私自身のキャリアの話や、IT業界の話、ITエンジニアのエンジニア種類やキャリアパスなどの話もしているため、そんな業界にいる”私”からの意見を求めていると感じたからです。

私自身はずっと”技術者”という属性であるため、”PM”や”営業”属性を付けて仕事をしたことはないわけですがどいうスキルが必要でどんな人がなっているか、周囲の人間も多く見てきている経験から若干のコンピテンシーなども踏まえて私の見解を伝えました。

”PM”そのものは学生は学習しずらい

おおよそAさんはインターネットなどを通じて調べられるところは十分に調査をされていました。(その上で相談を持ち掛けてきてくれたことにはまず関心しました。)例えば、情報処理技術者試験の上位の”PM”であるとか、びっくりしたのは”中小企業診断士”についても調べられていた事です。

これらの資格試験は既に社会人として実務をしている人間でもなかなかに難しいため、一般にIT業としての実務経験を積む場面が作りづらい学生にとっては更にハードルが上がるものとなっているでしょう。

そして、Aさんもそれには気づかれ同じ印象を抱いていました。

多様な経験をした先の”PM”

実際、”プロジェクトマネジメント”を社会人1年目すぐにマネージャーとして任される事はごく稀な事と私は認識しています。ある程度経験を経た上でPMとなっている人がほとんどです。(ある程度がどの程度かというのはありますが・・・)

よって、PMそのもの経験や学習については社会人となって実務をするようになってからでも遅くはないと伝えました。更に、やはりIT業界で成果をあげるPMはエンジニア(開発)や営業他、それ以外の役割についても精通している事も多いため、技術や非技術に関しても好き嫌いせずに何でもトライしてみる姿勢で経験を積んでいき、その先でのPMを目指すとよりよいでしょう伝えました。

今できる事として、”課題解決”意識をもつ

と、ここまでは話の流れから先に社会人になってからの取り組む姿勢の話をしてきたので、私は「社会に出る前に準備しておきたい」という思いをくみ、知識以外に「今できること」で大事にしたい事についても助言をしました。

それは、今の日常生活やバイトをされているのであればその社会経験の中での”課題解決”を意識しながら過ごしてみるのはどうか、ということです。

ただ、言われたからやる、教えてもらった事だけやる、というだけではなくなぜそれをしなければいけないのか、もっと工夫してよいものを提供することはできないか、どうしたら周囲の人、お客さんにたくさん来てもらえるか、喜んでもらえるか、良いものを作れるか、などを自分なりに考えてみて、もしチャンスがあれば提案して、やってみる、ということです。

社会人になれば実務を経験する場面はいくらでも与えられますが、学生の内は自ら経験できる場を作らなければいけなかったり、そういった場面に身を置く事を意識する必要があるでしょう。最近はインターンシップなども盛んにおこなわれているので、そんなチャンスも積極的に活かすことをお勧めしました。

”自己理解”の準備

Aさんは自己理解も進めていて、自身の強みについても語ってくれました。

ご自身の生まれ育った環境により、英語・中国語が堪能(少なくとも周りの学生より)だということでした。なんと、トリリンガル。これはグローバルでもとても強い武器になりますし、今から磨きをかけて就職時もアピールポイントとしていけるとよいでしょうと伝えました。

また、就職後のマルチリンガルのメリットとしては、他の人では出会いずらい経験を味わえる可能性がある、ということです。

例えば、優先的にグローバル関連業務に携われるチャンスが上がるほか、自分がメインでなかったとしても海外出張に同行でき、さらに多様な経験を積む事ができたり、勤め先の状況によってはエグゼクティブの会合の席にも出席し、経営者の考えや戦略などもその場で聞く機会を多く経験できたりするかもしれません。そのため、早めにアピールして損はないポイントかなと思い、そう伝えました。

おわりに

はじめはこれまでのAさんの印象から無邪気な質問かと思いきや(こういうバイアスはよくないとその場でメタ認知しつつ)、しっかりとビジョンをもって学業にとりくんでいる姿勢には関心をしました。

この相談をきっかに、私は技術知識だけでなく彼らが社会に出る前に伝えられる事は可能な限り伝えていきたいと思いました。



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