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生命の星の条件を探る

文春文庫 阿部豊 『生命の星の条件を探る』

「地球以外に生命体が存在する惑星はあるのか?」つまり「宇宙人はいるのか?」
だれもが一度は思う疑問を、宇宙物理学や地質学・地理学など、様々な分野の研究をもとに解明していく、ものすごくスケールの大きな話。
なぜ生命には水が必要なのか(多ければ多いほど良い、というわけでもない)から始まり、地球のプレートが動くことが生命にとってどんな意味があるのか、地球が誕生したときは大気の中には含まれていなかった酸素がどう生まれ、それが生命にどんな影響を与えたか、などなど。
木星は地球の質量の300倍もある。その強い引力のおかげで、彗星の軌道が変わって弾き飛ばしてしまう。木星がなければ地球にたくさんの彗星が落下して生命は誕生しなかったり滅んだりしていたはず。
ちなみに恐竜が絶滅したのは直径10キロメートル程度の小さい彗星が地球に衝突したためと言われている。
今では当たり前に思われている「氷河期」も、170年ほど前に初めて提唱された。

著者は「いくつかのキーとなる条件が整えば、地球とまったく同じではないが生命の存在に適した環境が生じ、それが十分に長く保たれていればその環境に適応した生命の進化が起こる」と考えている。

たくさんの「もしも…」という可能性を考えて、緻密な分析を繰り返しながら大きな問題を解決しよう、というのが科学。
きちんと理解できていない部分も多いけど、知る/考えることの楽しさを教えてくれる本です。


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