見出し画像

【映画記録】映画館とは巨大な棺桶である

 映画とは、退屈な部分がカットされた人生である。

 と、サスペンス映画の巨匠、アルフレッド・ヒッチコックが言っていた。至言だ。映画館で上映されるのは、いつも誰かの走馬灯なのだ。
 高倉は映画が大好き。好きな映画三選は「フランケンジョーズ」「燃ゆる女の肖像」「RRR」、好きな映画館三選は「サロンシネマ1.2」「八丁座」「シネマート新宿」です。家でのんびり観る映画も好きだけれど、やっぱり映画館で走馬灯に没入する体験には何物も敵わない。
 12月劇場公開予定の映画はそれはそれは粒揃いで、いよいよ映画館への週通いが視野に入りつつある。衝動を鎮める為に、此処で一旦観たい映画を吐き出しておこうと思います。
 独断と偏見と駆け巡る衝動でもって紹介致します。映画館へ足を運ぶ参考にして頂ければ、こんなに嬉しいことはございません。


VORTEX (12/8公開)

 かの鬼才、ギャスパーノエ監督最新作ですよ……!!
 「アレックス」で吐き気を催すほどの鬼畜レイプ事件を撮り、「CLIMAX」でドラッグでラリって気が狂い散らかしていくクソ馬鹿パリピたちの地獄を撮り、「ルクスエテルナ」で創作に情熱を賭ける映像制作者たちの熱と狂気が最悪の形でトグロを巻く様を撮ったあのギャスパーノエ監督が、今回取り扱う題材はなんと「病」と「死」だそうです。最高。もう吐きそう。
 ポスターも見てくださいよ、こんなに可愛いお花で画面が満ちているというのに、あとは埋めるだけ、と言わんばかりの醜悪さがあります。これは是非映画館で浴びて心身喪失したい。

TALK TO ME (12/22公開)

 「霊、ヤバい、キモチいい」
 分かります分かります、非日常って中毒性があります。健康を害さず金もかけず手軽に気軽に摂取できる非日常として、心霊体験はいつでもそこに居る。
 90秒間憑依チャレンジ、但し絶対に90秒を超えてはならない。……こんなの、こんなの絶対超えるに決まってる。降霊術のルールは破られる為にある。コックリさんの最中に十円玉から手を離す子はいるし、ひとりかくれんぼで勝ちを宣言できない展開が必ず訪れる。「キモチいい」では済まない恐怖体験が絶対待ち受けている。
 概ね見当がついてしまう展開を描くのがあの、ホラー映画ナレッジばっかり溜まりすぎでは?と心配になる映画会社「A24」だ。「ミッドサマー」「X」「Pearl」といった、人を最悪の手段で惨殺する映画を次から次へと作る……、というのは高倉の偏見かもしれないが、そういう映画の実績が多いことは事実だ。そうじゃなかったら売り文句に「A24ホラー史上最大ヒット」なんて書かれることはない。
 霊との会話なんて試みてはならない。試みた命知らず人間の走馬灯は、是非に映画館で浴びたい。

サンクスギビング (12/29公開)

 ぷりんちゃんに教えてもらった近日公開映画。売り文句は「インスタでタグ付けされたら死ぬ」です。
 「インスタでタグ付けされたら死ぬ」ですよ。声に出して読みたい日本語オブザイヤーじゃないですか?高倉はこの文句がめちゃめちゃ気に入って「えーっいいなー!日常語彙に「タグ付け」が無いから高倉じゃこの文章に至れないな……。えっ本当に最高だな、この一文で始まる掌編書きたかったわ」とぶつくさ騒ぎ、電話口のぷりんちゃんに「そんなにか……?」と若干引かれました。若干の筈。若干だったよね?
 高倉、人間を食べる映画大好きです。復讐味の住民、きっと美味しいんだろうなぁ。

NOCEBO (12/29公開)

 幻覚が見え始めて日常生活に支障が出はじめたので民間療法に頼る、という、取り得る対処の中で最悪の手段を取る主人公の走馬灯。高倉なら絶対病院に行くので、この走馬灯は映画館でしか浴びることができない見込みだ。
 高倉はこの映画の予告を、インド映画「ヤマドンガ」の上映前予告で観た。観て、うっわぁ最悪映画だ……ぷりんちゃん好きそう……、と思っていたところ、案の定ぷりんちゃんから「NOCEBO観たいんだよー」っていうLINEが届きました。ですよね。絶対観に行こうね。年末はこれで決まりだね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?