【映画記録】サメ映画の定義
サメ映画が好きだ。サメが恐怖の対象として登場するタイプのパニックホラー映画、特にチープでちゃちでB級なやつが好き。ずん、ずんずん、ずんずんずんずん、という効果音と共に、水平面から飛び出た背びれが迫ってくる恐怖演出が鉄板ネタだ。水平面、と言ったのは、これが水面に限らないからだ。コンクリートだろうが砂浜だろうが家の中だろうが、水平な面さえあれば、あの背びれは現れる。サメ映画界隈は、いかに奇天烈な水平面からサメを登場させるか、という大喜利に永遠に興じている界隈だと言っても過言ではない。
裏を返せば、背びれをのぞかせる、人食いサメを登場させる、それでもビーチを閉鎖しない、といったある程度のテンプレートを守りさえすれば成立するのがサメ映画だ。ゴリゴリのCGも演技力に長けた俳優も凝りに凝った舞台装置も、あるに越したことは無いが必須ではない。極端なことを言えば、サメなんて何を雇わずとも、ぬいぐるみが一体あれば事足りる。
Amazon Prime Videoは毎月、少なくとも一本はサメ映画を見放題対象に追加してくれる。有難いことだ。高倉は毎月追加されるサメ映画を嬉々としてウォッチリストに追加して、隙あらば観よう観ようと思っている。
今日観た映画「ビッグフット vs メガロドン」も、そういう経緯でウォッチリストに入れていた。
B級映画常連要素の「ビッグフット」、そしてサメの上位互換「メガロドン」の対戦映画だって!? 絶対楽しいよね! と期待して観た。メガロドンが出てくるのだから、これはサメ映画の筈だ。サメ映画のテンプレートは一通り出てくるだろうと、思っていた。
まさかこれが、サメ映画の皮を被ったスターウォーズ模倣映画だとは思わなかった…………。
物語は壮大、壮大だが結局何がどうなっているのかがまったく伝わってこない。地球人の宇宙反乱同盟軍にいる女が子作りしたくて仕方がないことと、爬虫類の天下には強めの宗教が伴うということしか分からない。ビッグフットは宇宙船の中で延々と体力づくりに勤しんでいるし、メガロドンは初手から水槽の中で二足歩行している。サメの背びれが迫ってくるシーンなんて勿論ない。だってこいつ二足歩行してるんだもん。
これがネタバレにあたるのかどうか定かではないが、高倉のように「サメとビッグフットの対決!?観たい!!」と意気込んで時間を無駄にしてしまう悲劇を繰り返さないために明言しておきたい。この映画で、メガロドンとビッグフットは戦わない。本当に戦わない、威嚇すらしない。ちょっと面談をするだけだ。
サメ映画はテンプレートの上で暴れるものだと思っていたのだけれど、認識を改めなければならないかもしれない。サメ映画とは「サメが恐怖の対象として登場するタイプのパニックホラー映画」ではなく、サメさえ出てきたらなんでもかんでもサメ映画ということなのかも。サメ映画≠ホラー映画。中身がスターウォーズでもポケットモンスターでもアイドルマスターシンデレラガールズでも、サメが出てきたらサメ映画だ。
…………、いや…………そんなわけないだろ……………………、と唸りつつ、「ビッグフット vs メガロドン」はサメ映画リストから外しておく。
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