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夏祭りの屋台がない…なら自分で「わたあめ機」作りの実験がオススメ!

こんにちは、子どもたちの学習支援&と学びの動機づけを行っている、鳥羽見寺子屋を主宰しているタナカキヨトです。

今年は夏祭りが中止になり、当然、子どもたちが一番楽しみにしている屋台もなくなりました・・・そんな時だからこそ、大人としてできることを!ということで、昨日と先週、二週続けて「寺子屋夏祭り」と称して、家でも綿菓子が作れるように、わたあめマシンを作る、という実験を行いました。

これが大変好評でした。

・・・が、準備は結構大変でした。

なので今回は、「屋台がなくて悲しい!」というお子さんのために、皆さんが「家でわたあめを作ろう!」とスムーズにやれるよう、私の試行錯誤や失敗も交えながら、わたあめマシン作りのご紹介をします。

わたあめマシンとは?

わたあめマシンと言っても、業務用のわたあめ機ぐらいの規模ではなく、今回作ろうとしたのは、

予算が500円程度
制作時間は1時間程度(わたあめを作る時間は含まず)
・小学校1年生でも(手伝えば)作れる
・子どもが家に持って帰っても使える
・もちろん、ちゃんと食べられる物ができる

という代物です。

さほど大きいわたあめはできませんが、それでも「わたあめが自分で作れる」という体験は変えがたい物です

実は結構YouTubeでも「わたあめ機」を作る動画はあったりしまして、かなりの数を見ました。

基本的には、ハンドミキサーと空きカンをくっつけて、側面に穴を開け、そこにザラメを入れて、熱で溶かして作る、という代物なのは共通でした。

一番うまくいっていたのは、やはり「米村でんじろうサイエンスプロダクション」の動画ですね。私もこれを見て、「いける!」と思ったものです。

わたあめは、熱で溶けたザラメを遠心力で飛ばして、空気に触れた冷えた綿状の物を集めたお菓子です。

ですから、必要となるのは、

①モーター(ミキサー)
②熱源
③ザラメを入れて回転させる物

の3つです。

でも、でんじろうプロダクション(以下、でんプロとする)の動画通りにやろうとすると、色々問題が出てきたんですよね。

それを一つひとつクリアしていく必要がありました・・・

①モーター

本物のわたあめ機は、モーターが固定されています。
その方が安定するからですよね。

実際、でんじろう先生も、先ほどのYouTubeとは別で、中京テレビの「ハピエネ」という中部電力がスポンサーのちょい番組で、先生ご本人がモーターを固定した「わたあめマシン」を作っていました。

たしかに、モーターを固定させれば、回転が安定して綺麗にわたあめが作れるのは言うまでもないことですが、こんな「装置」では、先ほどあげた条件を満たすことは不可能です。つか、作れるか!!

・・・ですから、やはりここはでんじろうサイエンスプロダクション方式で、百均ミキサー(クリーマー/カプチーノミキサー)を使うことにしました。

私はSeriaでしか見つけられなかったのでSeriaのものにしましたが、ダイソーにも売ってました(しかもスタンド付き。ただし、セリアの方がグリップがついて握りやすい)。
ちなみにダイソーには、150円のハンドミキサーもありますが、これは回転が遅いうえ、加工が難しかったので、ムダな買い物になりました(商品名に書いてませんが、使い方を見るとドレッシング用です、要注意)。

なお、当然のことながら電池は別売りですので、単三電池2本が必要です。

②熱源

今度は熱源です。

でんプロの動画では、まず「アルコールランプ」を使っていましたが一般家庭にはそんなのがないので、ロウソクを使った方法も紹介していました。

ロウソクでやる場合、3本ぐらいないと火力が足らないそうで、YouTubeで失敗している人を見ると、ロウソク1本でやっている人がほとんどでした。

理論上、「ザラメが溶けて液体になる→遠心力で缶の端による→穴があったらそこから飛び出る」という流れですし、そもそも業務用のは100V電源で使うものなので、そりゃロウソク一本では足らないってことですね。

ということでとりあえずロウソクを使う方法とカセットコンロの両方で試してみることにしました。

③ザラメを入れて回転させる物

これがだいぶ苦戦しました。

最初は、でんプロ方式で、空き缶でやろうとして、やってみたんです。

でんプロでは、「ウコンの力」サイズの小さい缶(100mlサイズ)を使っていました(さすがにウコンの味がしたら嫌なので、L-137にしました)。

これを半分に切って、挟むと穴が開くというナゾの道具を使って缶の側面に穴をめちゃくちゃたくさん開けていたので、「こりゃ子どもでもできそうだ」と思ったのですが、この道具が見つからない。

さらに、動画みたいにアルミ缶を綺麗に真っ二つになんか切れないし、それを再度綺麗にはめ込むなんて夢のまた夢でした。

なので、真っ二つ方式はあきらめ、フタから直接入れる方式にして、地道に横穴を開けるようにしました。穴開けに使ったのは画びょうです。持ち手のあるダルマピンタイプなら力を入れやすいですし、穴の大きさがちょうどいいのでオススメです(先っちょだけさせばよいです)。

ミキサーと缶の接続はちょっとやっかいでした。

でんプロ方式だと、缶をぶった切っているので、缶の底までミキサーの先を通してから折り曲げて固定させていますが、ぶったぎらないとミキサーの先が届きません。

ですから、苦肉の策として、フタの中心と、ちょっと離れた場所に穴を空け、ミキサーの先端を切ったものを差し込み、ラジオペンチでコの字型に折り曲げて、もう一つの穴に差し込む形にしました。

*ちなみに、ミキサーの回転方向とフタを閉める方向が同じなため、フタが外れることはありませんのでご安心下さい

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中身がないと最初は回転の勢いで缶が少し暴れますが、しばらくすると安定して回ります(なのでボンド不要)。これならいける気もしてきました。

実際、何回かやってみましたが、たしかにわたあめは作れました。

成功です。

問題は山積みだった・・・

ご家庭でやる分なら、ここまででも特に問題がないかもしれません。

ただ、この、「缶の側面に穴を空ける」というのは、一つのネックでした。

というのも、寺子屋の実験に参加するのは、低学年~中学年の子がほとんどですから、「缶の側面に何カ所も穴を空ける」のは、思ったより力がいるし、時間の関係上、ちょっと不安が残ります。

ただこれは、ご自宅で、お子さんと協力しながら作る、というなら問題ないと思いますので、ダメな方法ではありません。
穴は大きすぎず、出来るだけたくさん空けるのがポイントです。

ただ、もう一つ、空きカンを使うのに問題がありました。

色々やり方を調べていると、「空きカンの中はコーティング剤が塗ってある」ということが判明。実際、火であぶると、ヘンな匂いがします。溶けているんですね。

基本的には害がないようですが、「熱で溶けたコーティング剤がまじるので、最初のわたあめは食べなきゃ後は大丈夫」というやり方を推奨する人もいましたが、人様の子どもにそれは言えません

また、「あらかじめ缶を火であぶって解かして出す」というやり方を推奨する人がいましたので、火であぶってみたのですが、コンロだと火が強すぎて、コーティング剤が中で焦げついてしまいました。
弱火でやらないといけないそうですが、これを、人数分やるのも、時間・労力的に微妙だったのです。

自宅で、アルミ缶の仕組みを説明するためにやるならよいのですが・・・。

最初からコーティングがしてない缶もモノタロウにも売っていますが、これ使うと予算オーバーでしたので、現実的ではありませんし、わざわざ「わたあめ」のために買うのもヘンな話です。

ちなみに、おそらくですが、でんプロが使っているのは、フタは市販の商品ぽいので、濃硫酸で中のコーティングをはがしている気もします。

・・・ということで、他の缶も色々調べてみましたが、結果的にどれもこれもコーティングがしてあるわけです。白い底のスチール缶は塗ってない、という情報もありましたが、実際には塗ってあったし、そもそも、スチール缶は子どもの力では横穴が開けられません。それじゃ実験になりません。

実際、セリアで、インテリア用の小さなミルク缶があり、中にコーティングがしてあるわけでもなかったのでいい感じでしたが、材質がブリキ(鉄)なので、成人男性なら画びょうでも穴を開けられますが、子どもにはとても難しいので、この方法は断念しました。
ちなみにこれでもわたあめはできましたが、ミキサーとの接続が、堅い針金を使う必要があるなど、制作も面倒でしたし、一体成形じゃないためか熱ムラができて、物が溶けきらず、回転が安定しなくなりましたのであまりオススメしません。

この問題の救世主が現れた

そんなこんなで、どうしたものかと思っていたら、救世主ともいえる「まさかのやり方」が、北海道新聞の特集記事で見つかったのです。

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北海道新聞 電子版「まなぶん」より)

それを書いたのは「かざまりんぺい先生」なる、「科学遊び大図鑑」などの著者で、いかにも北海道に住んでいそうな、自然派な香りのする先生。

百均のハンドミキサーを使うのは一緒だけど、ザラメを入れて回転させる部分は何と茶こし!!(しかも逆さま)

そしてそれをつなぐのはまさかの虫ゴム!

熱源もホットプレートのみでOK!

百均で揃う材料で、子どもの手作りでわたあめができる・・・

思わず、「りんぺい先生!!」と叫んでしまいました。

やっぱ、実験ってこうじゃなきゃ!

子どもたちが、「どこにでもあるもので作り、体験できる」という、この視点がやっぱり実験の醍醐味ではないでしょうか?

テレビで見知ったことよりも、実際の「体験」こそが、その子の思考に影響を及ぼすのはわかりきっているわけですからね。

というわけで、体験系の本を多数出されている、偉大なりんぺい先生のおかげで道が拓けたわけです。

よくよく調べてみると、これまたなぜか、共同通信社の共同ニュースのYouTubeに、動画で説明もされているではないですか!?

しかも、動画に生りんぺい先生が登場します(やっぱり北海道に住んでそうです笑)!!

しかし、再生回数は6千500回程度。

でんプロのは、12万にも及ぶというのに・・・しかし、実際に、子どもでも、簡単に、安全に、安価に、実験が出来るのは、りんぺい先生のやり方でした。

「りんぺい先生式」の結果は?

でんプロのも参考になるんですけど、わたあめを「キレイに成功させる」ことに力を入れすぎて、一般家庭で真似しづらい部分もあるんですよね。

特に、私みたいに、子どもたちに出来るだけ体験させたいと思う人間からすると、「体験可能な再現性」というものが大事になりますので、今回はりんぺい先生のやり方でやってみました。

結論から言いましょう。

(一部の問題を解消すれば)まったく問題なく、子どもたちでもできました。なんならとても楽しそうでした。もちろん、おいしく食べられました。
(衛生上、割りばしは使い捨てにしました)

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その理由を説明しましょう。

「一から作る」という過程があることもそうですが、実験としてみた場合、「空きカン」を使うやり方は、身近な物を使うので、実はスマートに見えて、大事なことが見えないのです。

この「わたあめ」の実験は、

・砂糖は熱で溶ける
・溶けた物は液体になる
・液体が遠心力で外に飛び出す
・飛び出た液体が冷えて固まり、綿になる

ということを学ぶ体験授業なのです。

りんぺい先生は、そのことをPDF上でご丁寧に解説してくれておりますが、「茶こし」を使うと、その、砂糖が溶ける様子がよくわかるんですね。かたや空きカンは、その課程が見えません(官僚のよう…)。

りんぺい先生のやり方だと、ボルトを使ったりして、子どもでも綿あめ機作りができます(大人の「仕上げ」はもちろん必要ですが)。

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しかも、りんぺい式は、あえてホットプレートを使って「まず溶かす」という作業を入れています。
これ、多人数でやる時はロウソクでやるより便利だなと思って寺子屋でも採用したのですが、子どもたちが「溶ける」のを観察しているんですよね

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この、「溶ける過程」を見た上で、これを回転させて「わたあめ」を作るわけです。ザラメの量だけで決まるのではなく、ザラメの溶ける量で、わたあめは小さくなったり大きくなったりすることが体感できるんです。

特にミキサーの回転は高速なので、わたあめは一瞬で出てきます。だから、遠心力を目視できません。でも、消えたザラメの量とわたあめの量の関係から、遠心力で出てきたことはハッキリとわかるわけです。

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大人からすると「当たり前」のことを、小さな子どもの内から、詳しい物理法則など知らずとも、体験で学んでおくことで、先取り学習はもちろん、「考える」土壌、「科学的素養」を作ることにも繋がるんですね。

「りんぺい先生式」の注意点

なお、さきほど、「一部を解消すれば」問題なくできたと言いましたが、この、「りんぺい先生式」でやる方もおられるかもしれないので、その「一部」って何かっていうのを説明しておきますね。

実はこの方法、砂糖が溶けるのは見やすいのですが、「耐久性」という面でいくと、やはり工業製品であるアルミ缶には敵わない、ということが言えます。

当然と言えば当然なんですが、茶こしの開口部をアルミはくでおさえ、折り返すだけで固定するわけですから、何かの拍子ではずれることがあります。
しかも回転中に笑。

特にあるのが、ザラメをたくさん入れて、溶けきっていない状態で回転させると、茶こしとアルミの間に固体のザラメが入ってしまい、突き出てしまうことですね。一般的なアルミホイルの場合、この耐久性が弱いので、厚手のアルミホイルの方がよいでしょうね。

私の場合は、アルミホイルが外れて、こりゃやべーと思ったので、ダイソーで、バーベキュー用のアルミ皿(直火OKなやつ)を買って、底だけ切って、アルミホイルの代わりに茶こしの底にしました。

それでも、豪快にバーンと底が抜けてしまったりすることもチラホラありましたので、その辺、しっかりとした枠内で作らないと危険です。
(下の写真は、抜けた底が2枚落ちている光景です笑)

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あと、りんぺい先生方式は、「あまりたくさん砂糖を入れられない」のも欠点と言えるかもしれません。液体になった時にこぼれてしまいますからね。

りんぺい先生の解説書によると、茶こしは直径90mmということでしたが、百均に売っていたのは80mmが最大でしたので、その辺、もっと大きい茶こしか、それに近いもの(底は穴が開いていない物)を使えば、もっと大きいものを作ることは可能かと思います。

「綿あめ作り」の注意点

また、これは「りんぺい先生式」「でんプロ式」など、どの方法でも同じですが、わたあめは、結構汚れます。

今回は色んなカラーザラメを使ったから余計汚れが目立ちますが、高速回転だから結構な勢いで飛び散りますので、ある程度の高さがあるガードで囲う必要がありますし、底部分も結構汚れます。

私が使ったのは、650mlのペットボトルのお茶24本入りの箱を六角形にして、内側をアルミホイルでおおったものです。

やはり食品ですので、ダンボールよりは、アルミホイルの方がよい、という判断ですが、結構下の方でやらないと周りに飛び散ります(飛び散って大変でした・・・お湯拭きで取りました)。

簡単なのは、百均に売ってる油はねガードを2個使い、床の部分はアルミホイルをしくことですね。使い終わったらポイももったいない気もしますが、白いザラメだと白い綿菓子が見えないため、セリアにある内側が黒い油はねガードなどを使うとわたあめが見やすくなって良いですよ。

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あと、「りんぺい式」は、ホットプレートであっためた物を、火元も何もない箱の中でわたあめを作るやり方です(それでも溶けていればうまくできますよ)。

寺子屋では確実性を重視して、ホットプレート+アルミを貼ったダンボール+ロウソク3本という形でやりましたが、ホットプレートなしで、ロウソクやでもやれないことはないです。

ただ、その際は、しっかりと、溶ける様子を確認してから、ミキサーを回転させるのがよいですね。あと、ロウソクは長すぎると飛び散りガードの上の方でやらなくてはいけなくなって、周囲に飛び散る可能性があるので、背の低いロウソクがよいでしょう。小さなロウソクでも3本テープで留めれば結構な火力です。

なお、ロウソクがなく、カセットコンロを使う場合は、弱火にすることはもちろんですが、カセットコンロも汚れますから、これまた百均のコンロガードなどを使うとよいでしょうね。

わたあめは、重力で下に落ちていきますので、思った以上に下にたまります。だから、業務用のわたあめ機は、底が湾曲しているんですね。
ですから、火元近くにわたあめが出来ることも多々ありますので、大人の方が必ずついてやって下さいね。

ミキサーの回転も速く、不測の事態が起きた時にパニックになってもいけないので、高学年未満のこの場合は、大人がミキサーを持ってあげた方が、綿あめ作りにも集中できると思います。


なお、でんじろう先生の番組で「ハイチュウわたあめ」をやっていたようですが、ハイチュウを完全に液体状にしないと、悲惨なことになります。

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そもそも、ハイチュウを液状にするのはなかなか難しいので、細かく切って、溶けやすいようにしておく方がよいでしょう。

これは缶でも同じです。むしろ、缶の方が中途半端に中に残って大変です。

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なお、ハイチュウわたあめの味は・・・まぁ、普通にハイチュウで食べた方がおいしいです。当たり前ですけど。テレビの演出だと思います。

実験は失敗も成功もあってこそのもの。

いずれにせよ、「あの夏は、屋台には行けなかったけど、わたあめ作ったな~」という想い出になってくれればいいなと思います。
(ついでに科学的素養も身につきますしね)

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