ロシアのウクライナ侵攻の理由を子どもにもわかるように説明した話
先日、寺子屋に来ている小4女子に、
「なんでロシアはウクライナにひどいことするの?」
という質問をされました。
勉強を教えている場所なので、細かい説明をしてもよかったのですが、どうも求められていることはそういうことではなくて、
「なんであんなに平気で人を殺すようなことするの?」
という疑問に答えてほしいということだった。
少なくとも日本の価値観というか子どもへの教育では、人の命は尊いもので、人を助けることがよいことだとされているわけだから、まったく真逆のことをしている「異常な行動」に見えるのは自然な感情である。
だから、「今が教育のチャンス!」として「ソ連っていうのがあって…」とか、「NATOが…」とか、はたまた「キエフ公国の時代があり…」とかいう話をしてもよいんですが、そういう理屈的なことではなく、感情的な面での理解をしたいんですね。
こういう時、
「プーチンが悪人だから」
と説明するのは簡単ですが、
「悪」というのは子どもに限らず人の思考停止を導き、新たな偏見を生むし、観測的・主観的な断言をしてしまうのはよくない。
プーチンにだって、プーチンなりの正義があるわけだし、それを理解しないと、本当の意味での「意図」は読み解けない。
だから、あくまでも
「ロシアがなんでそんなことするのか?」
という視点に立って、
なぜウクライナ危機が起きたのか?
ロシアがなぜウクライナに異常なまでの「執着」を見せるのか?
ということを、よく使われる「兄弟」を使わずに※「あること」にたとえて、難しい話を使わず、3分で理解できるよう説明してみました。
(かなり力業なので細かいことは気にしないでいただけると助かります)
小学生でもわかるロシアのウクライナ侵攻
「もともとね、ウクライナとロシアは一つだったんだ。まあ、結婚した夫婦だったと考えればいい」
「なるほど」
「そっから、ウクライナはロシアと離婚したくて家を出たんだけど、ロシアは絶対に離婚は認めるつもりはなく、離婚届にはんこを押さなくて、別居なら百歩譲るが離婚はゆるさない、くらいの気持ちだったんだ」
「気持ちがないならしょうがないのにね」
「(さすが女子の発想)・・・と思うじゃん? それで、ウクライナはすでに別れてる気持ちだけど、ロシアは、まだ『別居を認めてやってる』くらいの感覚だったんだ。『まだハンコ押してないけど?』みたいな。
それだけならまだ大きなわ問題は起きなかったんだけど、ウクライナは『他の人(NATO)と一緒になる』って言いだしたんだ」
「でも、好きになったんだからしょうがなくない?」
「たしかに、ウクライナからしたら、『あなたのそういう所が嫌いなのよ!だから別れたいのに!』って思ってるわけだからね」
「そりゃそうだー」
「だけど、ロシアの中ではまだ『別れてない』って思ってるから、むしろ『ウクライナの方が悪い!裏切った!』ってなって怒ってるんだ。今まで自分たちのグループだった人が、絶交するだけならまだしも、他のグループに入ったら怒ることない?」
「でもそれで暴力振るっちゃダメじゃない?」
「(正義より暴力反対、さすが女子)・・・そうだよ? でも、奥さんとか元恋人にストーカーしたりDVとして暴力振るう人がいるけどあれと一緒で、その人にとっては、それが正しいと思ってるし、なんなら愛だと思ってるんだよ」
「なるほど・・・でも、なんかかわいそうだね」
「かわいそうだね。でも、だから『やめて!』って言ってもやめないし、ウクライナも徹底的に戦うしかないんだよね」
「なるほど、わかった」
大人向けの補足
・・・とこんな感じで、もつれた夫婦関係の行き着いた先の家庭内DVでの殺人未遂事件に置き換えて説明したところ、そこまで暴力を振るう理由はわからなくても、ロシアの側にそういったような考えがある、ということで異常なまでの執着心と暴力性に納得いったようです。
もちろん、国家同士の争いはこんな単純なものではなく、攻めて滅ぼされをくり返す大陸国ならではの歴史があるものですし、ウクライナ危機の問題は根深く、とくにウクライナはドイツなどの西側からも、モンゴル帝国などの東側からも攻められ、歴史に翻弄された国家の一つです。
また、ソ連という存在も、ロシアとウクライナの関係をややこしくしています。
上記の例えでは結婚して「ソ連家」に入った感じですが、夫婦でたとえるなら「一夫多妻制」で、ロシアを中心に、ウクライナやベラルーシ、カザフスタンなどたくさんの妻(国)がいたと理解するとわかりやすいでしょう。
しかも田舎の旧家(キエフ公国)で、もともとはウクライナが直系の長女だったところに、ロシアが婿養子として入ってきて、そのワンマンで独善的なスタイルで仕事は結果を残し、旧家を復興させたもんだから、誰も強くは逆らえない。
でも、時代が「一夫多妻制」を許さなくなったので仕方なく夫婦を解消して夫婦別姓(独立)も認めたものの、自分の支配を解く気はなくて、なんなら、都会(ヨーロッパ)に出て行きたいなんて、許すはずもなく、むしろ、「俺がこの村を救い、お前らを食わせてやってんのに、なんでお前らはヨソに色目を使うんだ!」と、家族である旧ソ連国家(アフガニスタンやウクライナ)に軍事侵攻したり、自分の外敵にならないように遠い親戚シリアなどに軍事侵攻している、という理解はしておく方がよいでしょう(上記のたとえを引き継ぐなら、というお話)。
頭が熱くなった時、どうやったら止まるか?
寒い地方は体力勝負なことがあるからか、昔からロシアは、「ウォッカを飲み干せる」ような強い男が好まれる文化があると言います。
もちろん、バレエやスケートなどの華麗な文化も存在しますが、今のロシアの「人格」を支配している大部分はプーチンです。
柔道8段で、ハーレーに乗ったり裸で乗馬したりマッチョさをアピールしたカレンダーを出すなど、20年も強いリーダーシップでみんなを引っ張る「男の中の男」を体現するプーチンはまさに、「男らしいロシア」という人格の最も先鋭的な姿なのでしょう。
だからこのウクライナ侵攻も、単に、プーチンという個人の気持ちだけでなく、まして精神的におかしくなったとかでもなく、DV殺人は大概「男らしさ」に固執した、女心がわからない男がやりがちですが、まさにそれと同様、国家と完全に一体化した男(独裁者)の、ごくごく自然な行動という風に読み取ることができるわけです。
もちろん、それで悲惨な目に遭うのは、両国の一般市民です。
ロシアの軍人(プーチンの手足)もたまったもんじゃないでしょう。すでに過去最多で将軍クラスが死んでますし。
しかし、DVをくり返す人は心ではなく、「殴って気を静めたい」と「頭」で考えているので、殴り返されようが拳が骨折しようが相手をとっちめないと収まりません。むしろ、反撃してくる方が許せない気持ちが高くなります。熱くなってくるんですね。
昔、警備員のバイトをしていた時、警棒を使う訓練がありましたが、教官から、「頭に血が上っている人間は頭を殴られても攻撃を止めないので、必ず足を思いっきり叩きなさい」と言われたものです。物理的に動けなくするということですね。
今、生物化学兵器や核兵器まで視野に入れ、まさに頭に血が上りきっている状態のロシアの足下をゆさぶっているのが自由主義連合の経済制裁ですが、完全に動けなくようにするのは、頭脳をプーチンに支配された、足下のロシア国民の「強烈な一撃」しかありません。
「頭」で考えず、「心」で考えれば、こんな悲しいことは起こりません。
ですが、いつの時代も人は頭で考え、戦争を起こすのです。
洗脳漬けのロシア国民の「心」が呼び覚まされる日が来るのでしょうか??
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