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【NYx鳥】人生初のバーディングに参加!アメリカ北東部海岸 <後編>

こんにちは。初心者バーダーのとみーです。
NYでキャリアギャップ&子育て中にバードウォッチングにはまり、noteで発信を始めました(自己紹介はこちら)。

今週、地元NY州のNational Audubon Society(全米オーデュボン協会/日本でいう「日本野鳥の会」)の支部が主催するバーディング(野鳥観察会)に初参加してきました!


バーダーは初心者にやさしい

トレイルを歩き始めて20分ほど。
木々の枝を高速で飛び回る小鳥たちが、初心者の自分には見えない…。と、バーダーへの道のりの長さを感じていた時。

"Blue-gray Gnatcatcher!"「ブルー・グレイ・ナットキャッチャー!」
案内人のアンが、トレイル脇の大きな木の高い枝が重なり合っているところを指し、バーダーたちが双眼鏡を掲げます。

"Oh yeah!"「いるね!」とバーダーの反応。

どうせ見つけるまえに飛んでっちゃうだろうな、とあまり期待はせずに双眼鏡で探していたところ、

"Look, Tommy, at the tip of the branch that's sticking out. Follow my laser pointer."「トミー、見てごらん。飛び出した枝の一番先にとまってる。レーザーポインターのところから見て。」
案内人のアンが、緑のレーザーポインターを一本の木の幹の高いところに照射しました。

レーザーの当たった場所から出ている枝の一番先を見ると、ほんとだ!めっちゃ小さな鳥が枝の先にとまっている!

見失わないように急いで双眼鏡でたどると・・・見えた!

視界に写った小鳥は、小さなグレーのボディに、目の周りがメジロ風にぐるっと白かった、ような…。5秒もしないうちに、さっと奥の方へ飛び去ってしまいました。

あっという間のことだったので、ちゃんと記憶には残せなかったけれど、熟練のバーダーの指導で初めて見ることができた極小の鳥。
バーディングの手応えを感じました(他力本願か(笑))。

それにしても、初心者にやさしいなぁ。

©Rhododendrites Blue-gray Gnatcatcher (ブユムシクイ)
和名よ…。こんなかわいい小鳥の名前がそれか。といっても英名の"gnatcatcher"も”gnat"が小さな蚊のような「ブユ」にあたるそうなので大差ない(主食なんでしょうね)。北米の鳥。

"It’s also called the Little Mockingbird."「小さなモッキング・バードって呼んだりもするよ。」とアンが教えてくれました。

©Ryan Hagerty  Northern Mockingbird(マネシツグミ)鳥の鳴き声のほか、犬や虫の鳴き声、車のクラクションまでマネするそう。鳴き声の判別は初心者にはただでさえきついのに、真似するやついたらほんと紛らわしい…。こちらも北米の鳥。家の周りでも見かけます。

青い鳥

ミドリツバメが巣箱にとまっていた草地の端を海側に歩いていくと、また遠くに巣箱が見えます。

"Come, everyone! Hurry!" 「みんな、急いで!」とアン。

なんだろう、と私をはじめ後方を歩いていたバーダーが早足で追いつくと、

”Over there, on the branch. A Bluebird.” 「あの枝にブルーバードがいるよ。」

"Oh, a bluebird!"「なーんだ、ブルーバードか!」と熟練バーダーのアヴリルが笑います。

"I know you've seen many. Come on Tommy! To the front!"「そうね。アヴリルはもう十分見てるけど。ほら、トミー!急いで前に来て!」

前にいたバーダーの脇をすり抜け、アンの隣に陣取り、突き出している枝を双眼鏡でのぞきます。

すると、鮮やかなロイヤルブルーの頭をした、ツバメサイズのきれいな鳥がこちらを向いてちょこんととまっている!

これが、Eastern Bluebird(ルリツグミ)

鳥はさっと飛び立つと、巣箱の屋根に正面を向いてとまりました。
「はーい、写真とっていいですよー」と言わんばかり。

頭から背中のブルーが太陽の光を集めてキラキラ輝いているよう。胸の明るいブラウンとおなかの白がよくマッチしている。

図鑑やポスターで見るよりも、はるかにきれいで、目を奪われました。

なるほど。後で調べたら、ニューヨーク州の州鳥だそうです。納得。

これ以上うまくフォーカスできなかった…。カメラの限界なのか、自分の技術の問題なのかすらわからない(笑)。魅力を伝えるには写真の撮り方も大事ですね。勉強したいです。
©William H. MajorosEastern Bluebird(ルリツグミ)。北米の鳥。ヨーロッパから持ち込まれたイエスズメやホシムクドリに住処を奪われ一時期は数を減らしたものの、保全団体や市民の懸命の努力でまた数を増やしたそうです。巣箱もそのためなんですね。

オスプレイと海岸の鳥たち

ブルーバードが遠くの木立に消えると、海岸の湿地に続く小道を進みます。

”Everybody move aside!"「みんな、脇によけて!」とアンの声。

後ろから地元の人がランニングをして向かってきました。
360°鳥を探しながら、ランナーが立ち止まらなくていいようにトレイルにも気を配っていたアン。どこか日本人の気配りを彷彿させ、ほっこり。

ランナーが横を通ると、
”Keep it going~!"「頑張れ~!」
とアヴリルが陽気に声がけ。ランナーは後ろ姿で手を振ります。
こっちはなんだかアメリカっぽいシーンだな(笑)。

湿地と海岸に出ていく小道。

海岸の湿地を見渡せるところにくると、遠くの木のてっぺんに大きな鳥の巣があるのが見えます。

もしや、あれはOsprey(オスプレイ/ミサゴ)の巣、そして一羽止まっている!?

猛禽類(Birds of Prey:バーズ・オブ・プレイ)は、私も子どもも大好き。空高く飛んでいるところを見つけると、あれかな、これかな、といつもワイワイやっています(種類の特定が難しいんですよね…)。

春になるとNYにも渡ってくるというオスプレイを、今年は絶対に見てみたいと思っていたので、大興奮!

興奮が表情に出た私を見てか(小さくガッツポーズもしてたかも…)、横を歩いていたアヴリルが「アッハー!」と私の肩をたたいて笑います。

オスプレイはジーっと巣の上で静止。
こちらに背を向けて、時々首だけ動かし、周囲を見渡していました。

残念ながらアングルに恵まれず、あの突き刺すような黄色の眼光をしっかり見ることができなかったけれど、存在感だけでも十分引き込まれました。

上空を飛ぶ姿も何羽か見ることができました。
次はもっと近くでアクションを見てみたい!と欲が湧きます。

Osprey(ミサゴ)一緒にオスプレイの和名を調べた時の子どもたちのシラケっぷりがすごかった(笑)。日本も含む世界中に生息。オスもメスも大きさを除いて見た目は同じだから、一羽だけいると性別を見分けるのは難しいのよ、とアン。一般的にメスの方が大きいそう。
©RoySmith フック型のくちばしに黄色い虹彩。飛ぶときは下から見てM字型になるので見分けやすいそう。オスプレイも一時期はDDTなどの農薬の影響により激減したのが、70年代に使用が禁止されて以降、順調に増加しているそうです。

オスプレイのほか、湿地周辺で双眼鏡で観察できた鳥は、

シラサギとウミアイサ以外は、日本では見られない北米の鳥だそう。

Snowy Egret(ユキコサギ)(左)とGreat Egret(シラサギ)(右)日本にもいるシラサギ、首をまっすぐ伸ばすと異様に長いですね。…長すぎない?
魚を捕まえたシラサギ。オーデュボン(今回のバーディングを主催している団体)は、ファッションに使う羽を目当てに乱獲され、数を減らしたシラサギの保全活動をきっかけにマサチューセッツ州で発足したとアンが教えてくれた。調べたら1905年創立なので、120年近く前。すごい歴史!
ウミアイサのメス。ファンキーな髪型と赤いくちばしが個性的。この個体は下のくちばしが欠けているように見えました。捕まえた魚をうまくくちばしで押さえられずに苦戦していた。
Red-bellied Woodpecker(シマセゲラ)のオス。家のフィーダーでも見たことがあります!木を高速でたたくドラミングと風変りな鳴き声も聞くことができました。
©Walter Siegmund ハゴロモガラス(写真撮ったんですが下手すぎて…。拝借しました)。低い枯れ木のてっぺんにとまり、両肩を広げ求愛のジェスチャーをしていました。


このほか、アンや熟練バーダーは、はるか遠方にゴマ粒くらいに見える、Bald Eagle(白頭鷲)や、今年最初の渡りだというForster's Tern (アジサシという海鳥の仲間)を特定していきました。

双眼鏡でかろうじて輪郭を捉えても、色も特徴も何もわからん(笑)。
さすがに初心者でも、「ん?あれが鳥?」という反応。

歩き続けていると
”I see a bird. Possibly an Oriole?" 「鳥が見えるよ。オリオールの仲間だろうか?」
ご年配の男性が、遠くの木の枝の間をみて言いました。

アンが立ち止まって指さす方角を双眼鏡で見てから、優しく一言
” Leaf Bird." 「リーフ・バード(葉っぱ鳥)だよ。」

(葉っぱを鳥と見間違えることを、バーダーの間では「リーフ・バード」というんですね。)

"Oh really!? I'll look that bird up on the Internet."「え、ほんとに?その鳥、インターネットで調べないと。」
と半分恥ずかしそうにジョークにする男性に、アヴリルが「アッハー!私も鳥だと思ったよ!」と元気よくフォロー。

と、こんなお茶目な場面もありました。

今回バーディングした保護区は、草地に林、湿地に海岸とバラエティに富んだ場所でした。夏になって葉っぱが茂ると、鳥を見つけるのはもっと難しくなるんだろうな。

合計2時間半におよぶバーディングを終えて集合場所に戻ると、
アンがスマホを見ながら、今日観察した鳥のリストを読み上げます。

なんと、合計45種!!(そして188個体!)

すると、何人かのバーダーが自分のチェックリストと照らして違いをチェック。それぞれにeBirdというオンラインデータベースにアップロードするそうです。

みんな満足そうな表情で、1人、また1人と解散していきます。

私が自分の目で見ることができた鳥は、たぶん半分以下。
チェックリストも作っていないし(頭の片隅にもなかった(笑))、
写真もあまりきれいには取れませんでした。

それでも、親切な案内人やバーダーたちとの初バーディング、初めて見る鳥たちとの出会いは、本当に素晴らしかった。

私も、アンに「また来たい!」と御礼を告げ、帰路につきました。

小さい子どもを連れての参加はキビシそうな印象でしたが、オーデュボンのバーディング、また機会を見つけて参加したいです。

そして、日常の鳥との出会いについても、少しずつ書いていきたいです。

長文、読んでくださりありがとうございました!












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