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「ポンコツ前提キャリアプランニング」のすすめ

今回は20代~30代前半の方向けのキャリアプランを考える上でのひとつの考え方について書かせて頂きます。おそらく読んでみると当たり前だろうと思うことも多いと思いますが、仕事が忙しかったりして客観的な視点を持てなくなっているときなどこの思考に陥りがちです。ぜひご参考下さい。


1.「ポンコツ前提」でキャリアプランを考える

ポンコツ前提で考えるというのはどういうことかと言いますと、ちょっと乱暴な考え方ですが仮に自分がなんの才能ももっていない何をやっても人並み以下の人間だったとしたらどうキャリアを考えていくかという考え方です。具体的にはどういうときに使うかと言いますと一番適正なのは未経験の分野や業界へのキャリアチェンジを行う場合です。
例えば社会人になって何年か経過し今いる仕事がうまくいかず、全く違う分野でやり直したいと考えたとき、普通は次の会社で活躍できるイメージを持って転職活動を進められると思います。ただしそこに対して前向きに考えすぎると転職後に思った活躍ができず最悪またすぐに転職するということは珍しい話ではありません。なぜそういったことが起きるかというと、新しい会社では活躍できるという自分への過度な期待です。
今の会社で思ったように活躍できていないという認知的不協和から、環境を変えることで自分は活躍することができるというロジックに陥りがちなのです。客観的に見ればそれは環境のせいにしているとも言えるのですが、今その人が活躍できていないのがなんの要因によるものなのか正確な理由は誰にもわかりません。そのため次の会社では活躍できるという前提で転職してしまう方が多いです。
実際入社して活躍できるかどうかを入社前に予想することはかなり難しいです、ニュース等で素晴らしい経歴を持った方が社長として招聘されても結果が残せない例が散見されるほどです。そのためもし転職してもポンコツ社員だったらどうするかという観点で、キャリアを考えるということはリスクヘッジの観点で非常に重要です。

2.具体的にどういうことを考えればよいのか

具体的に考えるべきは大きくわけるとひとつはその会社で生き残っていくにはどういう道があるのか、もうひとつはもしもう一度転職することになってしまった場合に行くあてはあるのかというものです。
例えば仕事が上手くいかなかった社員に対しては追い出し的な対応をする会社なのか、それともしっかりとその人に向き合ってその人にあった仕事を見つけてくれるのか。または社内での部署異動について簡単に異動できるのかそれとも部署間の壁が厚くそういったこともあまりないのか。転職しなければならない場合はこれまでの経験が重要になりますが、短期で転職しなければならなくなった場合元の会社に戻れるのかや簡単に転職できるスキルや経験があるかといったことです。
転職活動においては内定獲得後の面談などでは非常に前向きな話をたくさん頂けると思います。特に人事担当は採用決定数がKPIであることが多いので、なんとか入社してもらおうと若干盛り気味に話す方も少なくありません。そこで自分は特別期待されていて特別扱いしてもらえると勘違いしてしまう方も多いのですが、実際はそうではありません人事は入社後はほとんど関わることはありませんし入社後の活躍については責任を持ちません。というか入社後の活躍に責任をもつ人は自分以外にいません。
なので新しい環境に胸を躍らせることもいいのですが、上記のようにうまくいかなかった場合に会社はどうしてくれるのか自分はどう動けるのかを事前に考えておくべきだと思います。


3.自分の可能性を信じることを一旦辞めてみる

またこれは転職以外のことでも言えることですが、あることができないということとあることができるということをイコールで考えてしまい勘違いしてしまう方がいます。分かりやすい例で言うと「自分はサラリーマンは向いていないからフリーランスになる」といったものです。この場合サラリーマンに向いていないということとフリーランスに向いているかどうかは全く関係ありません。むしろサラリーマンよりさらにフリーランスの方が向いていない可能性もあります。
人間には認知的不協和(すっぱい葡萄の話)の心理が働きますので自分への期待が高い人ほど上記のような考え方でキャリアをとらえてしまう可能性が高いです。一旦自分への期待を辞めてフラットにどんな選択肢があるのかを考えることが重要だと考えます。
何度か述べさせて頂いている通り新卒採用は可能性で採用を決め、中途採用はスキルで採用を決めます。そのため向いている向いていないという「可能性」の話は中途採用においてはあまり重要視されず、これまでの経験がどう活かせるのかが重要になってきます。自分の未知への可能性を考えて無謀な決断をしてしまう前にこれまでの自分の積み重ねの先にある道はないのか考えて頂きたいです。ここで勘違いしないでほしいのは重要なのは今の会社で活躍できているか否かだけではないということです。
例えば普通レベルの成績であっても業界トップクラスの業績の会社であったり、採用企業が必要とする業界知識をもっていたりといったことです。自分では今の会社でイケてない社員だと思っていても他の会社から見れば魅力的な人材である可能性は大いにあります。お給料面でも未経験の領域に行く方が下がってしまう可能性が高いのもあり長期的に考えるのであれば経験をリセットするよりもまずは特定の職種で自分の柱となるスキルを身に着けてからの方がつぶしもききます。

自分にはきっとなにか才能が眠っているのでは、今よりももっと自分が活躍できる場所があるのではというのは誰もが思うことだと思います。もちろんその可能性もなくはないのですが、基本的には「そうでない可能性の方が高い」ということを前提にして頂いた方が安全性も成長性も高くなります。

ポンコツ前提でとキャッチーな言葉を使ってしまいましたが、自分を卑下してほしいというわけではなく自分の可能性に目を向けることも重要ですが、それ以上にこれまで自分が経験してきたことをしっかりと評価して今後に生かして頂きたいという話になります。

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