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映画分析ノック ③『ビッグ』(1988)

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『ビッグ』構成表

○ゲーム画面
氷の魔女を溶かすゲームをしている。

○ジョシュ宅・子供部屋(朝)
そのゲームをプレイしている中学生のジョシュ。真剣である。
母や父が「ゴミ出して」などと呼ぶが、ゲームが途中で生返事。
何度も呼ぶ母の声に気を取られた隙に…ゲームオーバー。
「君の決断の遅れは致命的だ」と、ゲームの台詞。
ガックリくるジョシュ。

○ジョシュ宅の前の道(朝)
着替えたジョシュ、文句を言いながらゴミを捨てる。

○道(朝)
チャリで登校するジョシュ。

○公園
ジョシュ、親友・ビリーと野球をしている。

○駄菓子屋・前
ジョシュ、ビリーと店脇に座ってお喋りしている。
先生のオッパイが大きかった等、思春期のウブな会話。
そこへ、マドンナ的な女子(同級生の姉)がやってくる。
マドンナがジョシュに挨拶したことから、ビリーはマドンナがジョシュに気があると諭す。
ジョシュ、満更でもない。

○帰り道
ジョシュとビリー、チャリを押しながら、2人だけが分かる歌をフリ付きで歌う。
楽しそうに家に帰っていくジョシュとビリー。
2人の家は隣同士なのだ。

○ジョシュ宅・子供部屋(夜)
パジャマ姿のジョシュ、ベッドに寝そべりトランシーバーでビリーと会話。
(ビリーの部屋とカットバック)
マドンナが彼氏と別れたばっかりだから、ジョシュはチャンスだと諭す。
と、そこへ母が来て、寝なさいと言う。

○移動遊園地(夜)・ハンマーゲーム
日が替わって。
ジョシュ、家族(父・母・幼い妹)と移動遊園地に来ている。
ハンマーゲームをするが、スコアは伸びず(まだ力が弱いのだ)。
ジョシュのあと、屈強な男(オトナ)がハンマーを変わり、鐘を鳴らす。

○移動遊園地(夜)・ジェットコースター
一回転するジェットコースター。
ジョシュ、その列に並ぶマドンナの姿を発見する。
怖がる気持ちを隠し平気だと言って、1人で乗ってくると両親に言う。
ジョシュ、列を後ろから追い抜かし、マドンナの隣にしれっと立つ。
偶然を装い、マドンナと会話。
マドンナから「乗ったことある?」と聞かれ「うん」と答える。
そこへマドンナの彼氏らしき人物、登場。
ジョシュよりだいぶ背が高く、車も運転できるという(オトナだ…)。
列が進んで、ジョシュたちの乗る番に。
しかし、ジョシュだけ身長制限で引っかかてしまい、乗れない!
ジョシュ、悔しそうにジェットコースターを後にする。
(マドンナと彼氏は悠々と身長をクリアし、コースターに乗り込んでいる)
×   ×   ×
トボトボ歩くジョシュ、目の前に謎の箱型ゲームを見つけた。
訝しげに思いながらも、小銭をいれるジョシュ。
怪しげにゲームが指示を出す…「願い事をしなさい」。
ジョシュ、「僕を大きくして」と頼む。
ジョシュ、ゲームの指示に従い、赤いボタンを押す。
カードが出てくる。そこには「願いを叶える」とある。
のちにジョシュ、その箱型ゲームはコンセントが外れていたことに気付く。

○ジョシュ宅・子供部屋(夜)
嵐が吹き荒れ、雷が轟いている。
(これからの苦難の暗示っぽい)
幼い妹が泣いている。
ジョシュ、寝苦しそうに寝返りを打つ。
トランシーバーが落ちる。

○ジョシュ宅・子供部屋(朝)
翌朝。嵐は過ぎ去り、晴れている。
二段ベッドがギシギシ軋んでいる。
ジョシュのあくびの声も、なんだか低い。
母が呼ぶ声「遅刻するわよ!」。 
起きるジョシュ、足がでかい!
寝ぼけて洗面所に入る。

○ジョシュ宅・洗面所(朝)
洗面所の鏡に映る自分はオトナになっていた!!
パニックになるジョシュ。
(一方、子供部屋では、母が破れたパジャマを発見)
声も太い。
急いで子供部屋に戻るジョシュ。

○ジョシュ宅・子供部屋(朝)
昨日の服から、「願いを叶える」と書かれたカードを発見。
ジョシュ、事態を理解して、ヤバイ…となる。
服を着ようとするが、全然入らない!ドスンとこける。
(1階の台所にいる母「⁉︎」となって)
両親の寝室に駆け込むジョシュ、父のパーカーとスエットを借りて着る。
そのまま母に見られないように、家から逃げた!

○ジョシュ宅・外(朝)
ジョシュ、急いで(小さすぎる)チャリを漕ぐ。

○移動遊園地…のあった広場(朝)
もうそこには、移動遊園地はなくて。
ただの広い土地が広がっているだけ。
ジョシュ、唖然とする。

○ジョシュ宅・玄関(朝)
母、掃除をしている。
そこへ一旦戻ってくるジョシュ。
ジョシュ、母に事情を説明しようとするが、母は大パニック。
「息子に何したの⁉︎」と、ジョシュに包丁を突きつける。
慌てて逃げ出すジョシュ。

○中学校・体育館
体育でバスケの授業中。
その横の廊下を走ってくるジョシュ。
ビリー、体育のバスケが下手くそでシュートを決められず。
チームの生徒たちから総スカンを食らう。
おまけにボールの片付けまで命じられるビリー。

○中学校・体育館・倉庫
ジョシュ、倉庫に隠れて様子を伺っている。
と、ビリーがボールを片付けに入ってくる。
ジョシュ、ビリーに助けを求める。
ビリー、初めは大パニックになるが、ジョシュが2人だけが分かる歌を歌うと信用する。

○ビリー宅・前
ビリー、大きな荷物を持って家からコソコソと出てくる。
隣のジョシュの家には、警察やマスコミが来て「家出」「誘拐」と報じられていて。
その横を通り過ぎるビリー。

○どこかの茂み
着替えているジョシュ。
(ビリーの荷物はジョシュの着替えだった)
ビリー、ニューヨークへ行ってあの箱型ゲーム(ゾルター)を探せば戻れる、とジョシュに提案する。

○バス停
ベンチに並んで座るジョシュとビリー。
ビリー、ジョシュにお金(少量の札束)を渡す。
緊急事態だから、と父親の金をパクってきたのだ。

○高速を走るバス(夕暮れ)
ニューヨークシティへ。

○ニューヨークの街・点描(夜)
煌びやかな大都市。
ヤバイ人も沢山いる…。
場違いな様子のジョシュとビリー。
危なそうな安宿を見つけて入っていく。

○安宿・部屋
無愛想な受付を済ませ、部屋へ通される。
薄暗くて汚い部屋。
ビリーは帰宅する。
一人になったジョシュ、部屋の外から暴動の音。
怖くて寂しくて心細くて、ベッドで泣き出す。

○街・ゲーム屋など・点描
翌朝。ジョシュとビリー、箱型ゲーム(ゾルター)を探して色んなゲーム屋へ。
しかし、見つからない…。

○市役所
ジョシュとビリー、ダメもとで市役所へ赴く。
調査依頼を申請すると、職員が「6週間かかる」と言う。
ジョシュ「・・・」となって。

○街の階段
座って途方に暮れるジョシュ。
ビリー、ジョシュに就職しろと言う。

○街のカフェ
ジョシュとビリー、どんな仕事に就くべきか話し合っている。
ジョシュ、パフェの食べ方が汚くて子供っぽい。
でも周りからは良い年のオトナだと思われてる分、怪訝な目で見られる。
ジョシュ、コンピューターの仕事に興味があり、オモチャ会社の職を発見する。

○マクミラン玩具・受付
ジョシュとビリー、面接の前に履歴書を書いている。
職歴や社会保障番号など、適当に埋めるしかなくて。
そのうち面接に呼ばれるジョシュ。
ビリーは息子だと思われ、帰される。

○マクミラン玩具社・面接室
面接官、不備のある書類を訝しげに見ている。
緊張気味のジョシュ、適当に言った大学が面接官の弟の大学と同じでラッキー。
そこへコンピューター部署の女性社員・ズーザンがすごい剣幕で入ってくる。
(※のちにジョシュと恋に落ちる女性である)
使えない社員を異動させてほしいと、人事課長である面接官に直談判しに来たのだ。
そこで代わりが必要になる…あっさり採用されるジョシュ。

○マクミラン玩具社・外観〜デスク(朝)
日替わり。初出社日。
出社するジョシュ。
コンピューターは手慣れたもの。
だが、社員たちの意識は割と低い会社のようだ。

○マクミラン玩具社・廊下
社長、ポール、スーザンが歩いている。
調査資料よりも子どもに売れる感覚を求める社長で。
曲がり角で資料を抱えたジョシュとぶつかる。
イヤな社員・ポールがジョシュを叱る。
ジョシュ、面接室でちょろっと会ったスーザンの谷間を見る。
社長はコピーをとるために走っていたジョシュに好感を抱いたようだ。

○ジョシュ宅・居間
電話が鳴る。母がとる。
ジョシュ(オトナ)からの電話である。
(マクミラン玩具社のデスクから電話をかけるジョシュとのカットバック)
じきに帰ると伝えるジョシュに、母は「あの子を傷つけたら殺す」と脅す。
ジョシュ、慄きつつも母の愛を感じる。
母にジョシュがここにいると安心させるため、ジョシュしか知らないはずの子守唄を歌う。
涙する母。じんとくるジョシュ。

○安宿・部屋(夜)
いまだ危ない安宿に泊まっているジョシュ。

○マクミラン玩具社・デスク
ジョシュに給料の小切手が手渡しされる。
その額に驚愕するジョシュ(他の大人社員たちは少ないと言っているが)。

○銀行
ジョシュ、ビリーを連れて小切手を換金する。

○安宿・部屋(夜)
ジョシュとビリー、ピザやらスプレーやら好き放題に買って遊んでいる。

○デパート・オモチャ売り場
ジョシュとビリー、売り場ではしゃぎ回って遊んでいる。
と、マクミラン玩具社の社長に遭遇する。
熱心に子供の気持ちになって遊ぶジョシュに好印象。
さらにジョシュは子供心に色んな商品に関するレビューと改善点を話していく。
床が電子ピアノになっているフロアで、社長と無邪気にコラボ演奏。
徐々に観衆が集まってきて拍手喝采。

○マクミラン玩具社・廊下
ジョシュ、会社でラジコンを走らせている。
ポールとスーザン、ジョシュがいきなり商品開発担当・副社長に昇進したと口々に話している。
絶対何か裏がある…と目をつけられるジョシュ。

○マクミラン玩具社・ジョシュのオフィス
副社長専用の個室オフィスができる。
そこでビリーと遊んでいるジョシュ。
ジョシュ、ビリーが気になったオモチャの原価を答える等、ちょっと大人感覚になってきた。

○イヤな社員の部屋(朝)
ポールとスーザンが朝食をとっている。
2人は付き合っているようだ。
競合会社を調べたが、ジョシュという人間は知らないと話す。
そんなスーザンが飲んでいる牛乳のパック裏には、行方不明のジョシュ(子供)の顔写真が。

○マクミラン玩具社・会議室
重役たちが新商品についての会議をしている。
プレゼンしているのはポール。
その中で一人・企画されたビルのオモチャで遊んでいるジョシュ。
分析結果など何も聞いちゃいない。
ジョシュ、唐突に「ビルより昆虫になる方が面白い」と提案。
口々にジョシュのアイディアを称賛する社員たち。
面白くないポール。

○マクミラン玩具社・外
ポール、スーザンにジョシュの悪口を言っている。
スーザン、そんなポールにちょっと呆れている。

○新居・中
超広い高級なマンションの一室。
ジョシュとビリー、内見している。即決で借りる。

○新居・外
レンタル家具業者がやってくる。
その業者の頭に水風船を落とすイタズラなジョシュとビリー。

○楽しそうなジョシュとビリー・点描
ジョシュNで、母と父に書いた手紙を読む。
「楽しくやってるから心配しないで」という内容。
背景で…
新居を楽しそうに走り回るジョシュとビリー。
副社長室で遊びまわるジョシュとビリー。
スタジアムの最前列で野球観戦するジョシュとビリー。

○パーティ会場(夜)
マクミラン玩具社のパーティである。
ジョシュ、白いスーツで登場。社員たちの注目を浴びる。
ポール、酒によって愚痴ばっかり。
そんなポールに辟易するスーザン。
純粋なジョシュに少し惹かれて、ジョシュを外に誘い出す。
(ポール、嫉妬の目でジョシュとスーザンを見ている)

○走るタクシー(夜)
スーザンの会社への愚痴を、まるで聞いていないジョシュ。
車内のボタンをいじりまくって、イタズラ三昧。
そんなジョシュの姿に、今の悩みがどうでもよくなるスーザン。
より惹かれていく。
スーザン、ジョシュの新居を見たいと誘う。

○新居・中(夜)
スーザン、the子供部屋な内装に戸惑う。
一緒にトランポリンで遊ぶ。
×   ×   ×
スーザン、二段ベットの下段に寝そべり、ジョシュを誘っている様子。
ジョシュ、二段ベットの上段に飛び乗り、そのまま寝る。
何も起きなかったことにガッカリくるスーザン、またちょっと惹かれている。

○走るポールの車・車内(朝)
ポール、嫉妬している。
スーザン、昨日ジョシュがしたようなイタズラをする。
ポールは「イタズラはよせ」と叱る。
思わず笑ってしまうスーザン。

○マクミラン玩具社・ジョシュのオフィス
遊んでいるジョシュ。
そこへポールが来て、ジョシュを外に連れ出す。

○広場・スカッシュ場
ポール、自分の得意なスカッシュでジョシュに勝負を挑む。
線を出た出ないで大喧嘩になる。
ポール、ジョシュを殴る。
怪我をするジョシュ。

○マクミラン玩具社・どこかの部屋
スーザン、ジョシュを介抱する。
ジョシュの頬にキスするスーザン、近付く2人の距離。

○マクミラン玩具社・ポールのオフィス
スーザン、ポールに別れを言い渡す。
スーザン「ジョシュは大人だ」と言う。

○ピザ屋
ジョシュとビリー、ピザを楽しんでいる。
と、ジョシュの誕生日サプライズケーキが運ばれてくる。

○街中
ピザ屋を出るジョシュとビリー。
ジョシュ、この後は人に会う予定があるから遊べない、とビリーに伝える。

○遊園地(夜)
ジョシュ、スーザンと遊んでいる。
(人に会う予定とはスーザンとのことだった)
楽しそうに遊ぶジョシュとスーザンの背後には、あのゾルターが。

○クラブ(夜)
ジョシュとスーザン、ジャズの演奏に合わせてダンスする。
スーザン、ジョシュに他の男とは違う魅力を感じていると伝える。
ジョシュ、スーザンに本当のことを打ち明けようとするが、やめてキスをする。

○スーザン宅・寝室(夜)
ジョシュとスーザン、抱き合って服を脱ぎ合う。
初めて胸を触るジョシュ。
そのままベッドへ。

○マクミラン玩具社・廊下(朝)
日替わり。
ごきげんなジョシュが出社する。
秘書にコーヒーを頼んでびっくりされる(オトナ1)

○スーザンの実家・食卓(夜)
ジョシュ、スーザンの家族たちと食事している。
大人の会話にもついて行くジョシュ(オトナ2)
子供の宿題を手伝うジョシュに、スーザンはますます惚れる。

○ビリー宅・前
帰宅するビリー。
郵便ポストに市役所からの郵便物が入っているのを発見!

○マクミラン玩具社・廊下
重要な任務を任された様子のジョシュ。
自信なさげにしているのを、スーザンが励ます。
(ビリー、マクミラン玩具社に電話するが、なかなかジョシュに取り次いでもらえない)

○スーザン宅・居間
ジョシュ、スーザンに新商品の企画を聞いてもらっている。
そのアイディアに感心するスーザン。
抱き合うジョシュとスーザン。
ここでスーザン、今の中途半端な2人の関係に答えを出したいようだ。
笑ってごまかすジョシュ。

○マクミラン玩具社・ジョシュのオフィス
ジョシュ、重要な電話をしている。
そこへ無理やり入ってくるビリー。
ビリー、ジョシュに市役所から届いた調査報告書を差し出す。
が、ジョシュは忙しいと邪険にする。
ビリー、親友の俺より仕事が大事なのか?と怒って出て行ってしまう。

○スーザン宅・居間(夜)
家でも熱心に仕事をしているジョシュ。
隣では、スーザンがベッドで寝ている。
ジョシュ、ふと自分のカバンからCD-ROMを取り出して、PCに入れる。
冒頭で遊んでいた魔女を凍らせるゲームだ。

○大きくなる前を懐かしむジョシュ・点描
落ち葉で遊ぶ子供達。
学校で記念写真を撮る子供達。
駄菓子屋で遊ぶ子供達。
公園で野球をする子供達。
それらを慈しむような眼差しで見つめるジョシュ。

○スーザン宅・居間
ジョシュ、改まってスーザンに「実は子供だ」という秘密を打ち明ける。
が、スーザンは信じずに怒ってしまう。

○ビリー宅・子供部屋(夜)
ビリー、ジョシュとの思い出の物を捨てている。
が、トランシーバーが目に入り、思わず話しかける。
と、窓の外でジョシュの母もトランシーバーを握っていた。
窓を開け、母とビリーはジョシュについて話す。
必ず帰ってくるから、と。

○マクミラン玩具社・廊下
ビリー、入ってくる。
エレベーター越しですれ違うビリーとスーザン。
スーザン、昨日のジョシュの話を受けてか、少し気になって…。

○マクミラン玩具社・ジョシュのオフィス
ビリー、入ってきて、ジョシュに資料を見せる。
シーポイント公園にゾルターがあるらしい。
そこへ内線が入る「もうすぐ会議です」と。
葛藤するジョシュ。
・・・内線に「すぐ行く」と返事をする。
ガッカリしてオフィスを後にするビリー。

○マクミラン玩具社・会議室
ジョシュ、新商品の企画をプレゼンしている。
が、心ここにあらず。
・・・と、おもむろに会議室を出て行くジョシュ。
それを見たスーザン、何かを感じて追いかけてゆく。

○マクミラン玩具社・外
オフィスを出たジョシュ、タクシーに乗り込みシーポイント公園へ。
それを見たビリー、喜ぶ。
そこへスーザンが来て、ビリーにジョシュの行方を尋ねる。

○シーポイント公園
タクシーがとまり、ジョシュが降りてくる。
ジョシュ、公園内を探し回り、ゾルターを見つけた。
やっとの思いで起動させ、願い事を念じたその時、スーザンが来る。
ゾルターから出てくる「願いを叶える」カード。
それを見て、ジョシュの秘密が本当だったと知るスーザン。
絶望するスーザンだったが、ジョシュは「子供に戻ることをためらった唯一の理由は君(スーザン)だ」と諭す。
抱きしめ合う2人。
ジョシュはスーザンも一緒にゾルターで小さくなろうと提案するが、スーザンは断る。
車で送るスーザン「10年後に会えるかも」と言う。

○車がジョシュ宅の前に止まる
運転しているスーザン、ジョシュの家を知る。
別れ際にキスをする…が、唇ではなくオデコにしたスーザン。
13歳だと言うことを分かったからなのだ。
車を降りるジョシュ。その背中を見送るスーザン。
と、ジョシュの体が小さくなった(スーツがぶかぶかになった)。
13歳のジョシュがスーザンに手を振る。
家に帰るジョシュ、母が泣いて迎える。
微笑むスーザン、車で去ってゆく。

○いつもの道(夕)
13歳に戻ったジョシュとビリー、いつものようにじゃれあいながら帰る。
その背中にエンドクレジット。


映画『ビッグ』分析

▽主人公は誰で、どこから登場しているか

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主人公は、13歳の少年・ジョシュ。
冒頭シーンで子供のジョシュが自宅の部屋でPCゲームをしているところから始まる。
→開始10分後、大人30歳くらいになってしまったジョシュが登場。
ここから「大人のジョシュ」がメインキャラクターに。


▽二番目の人物は誰で、どこで登場しているか

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マクミラン玩具・社員のスーザン。
開始27分(約1/4経過)地点で登場。
最初はジョシュが面接している部屋に割り込んでくる社員として、サラッと。
次にジョシュと社長が曲がり角でぶつかるシーンで、またサラッと。
ジョシュの活躍に嫉妬するポールの愚痴を聞いている彼女だったが、
そんなポールに嫌気が差し、ジョシュをパーティーの外に誘い出したところから、主要人物として動き出す。
ヒロイン的な存在。


▽主人公の物語が本格的に始まるのはどこか。それはどんな物語か

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移動遊園地で「大きくなりたい」と願うジョシュ。

朝目覚めると、ジョシュの体が大人になってしまっていた!という一連のシーン。
大人になってしまったジョシュが、大人の世界を経験し、子供に戻るまでの物語。


▽物語が大きく転換しているのはどこか

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ビリーが郵便ポストから市役所の調査書類を発見するシーン。
👉自分を大人の体にしてしまった箱型ゲームの所在が分かったことで、
ジョシュは「大人として生きる」か「子供に戻る」かの選択を迫られることとなり、葛藤する。


▽クライマックスはどこか

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ジョシュのオフィスに来たビリーがゾルターの在り処を教えるシーン。
会議の連絡が入り、「仕事」か「親友」か=「大人」か「子供」か、を迫られる。
そこでは「仕事」を選ぶジョシュだったが、次の会議室でのプレゼンの途中で、やっぱり大切な物に気付く。
(💡一回裏切っといて、やっぱり!という翻しのテクニック)
急いで公園へ行き、彼女に別れを告げて、ゾルターに子供に戻して欲しいと願う。
※これら一連のシーンがクライマックスとなる。


▽主人公が困ること、苦しむことはどこでどんなふうに起こっているか

・マドンナが振り向いてくれない
→自分はまだ子供なのだ…と痛感する
(大人になりたいと願うキッカケに)

・本当に大きくなってしまう
→母には信用されず、家にいられなくなってしまう
→母を悲しませてしまう
→大人として社会で生活してゆかなければならない
→家に帰れなくて、寂しくて心細い

・出世することでポールの妬みを買う
→ポールから嫌な絡み方をされる

・大人の経験(仕事と恋愛)が楽しくなってしまう
→最初は嫌だったはずの「大人」の世界が、次第に楽しくなってしまう
→ゾルターの在り処が見つかった時、子供に戻りたくない!と思ってしまう


▽逆にホッとするようなことや主人公が喜ぶことはどこで起こっているか

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・母には信用されなかったが、親友・ビリーは信用してくれた
→ビリーが「大人の世界の旅」をする上で相棒的な存在を担ってくれる。

・就職した玩具メーカーで出世してゆく
→中身が子供であることが功を奏すのだった

・スーザンとの恋
→汚い大人たちの社会を散々見てきたスーザンにとって、遊び心溢れており忖度をすることもないジョシュが魅力的に映る。

・ゾルターの所在がしっかり見つかる
→これはその時のジョシュにとっては非常に複雑なことで。

・無事に元の体に戻り、家に帰ることができる
→出迎える母の声に、感動する


▽起承転結に分けるならどこまでが起でどこまでが承か

起:冒頭ゲームで遊ぶジョシュ〜移動遊園地でゾルターに大きくなりたいと願う
承:身体が大きくなってしまった朝〜恋人となるスーザンの実家で夕食
転:ビリーの元に調査報告書が届く〜会議室に再びビリーが来て、ゾルターのある公園を告げる
結:会議を抜け出しゾルターの公園へ〜無事に子供へと戻って、母の待つ家に帰る


▽三幕だとするとどこが分かれ目か

①「子供→大人へ」:冒頭ゲームで遊ぶジョシュ〜移動遊園地でゾルターに大きくなりたいと願う
②「大人たちの世界」:身体が大きくなってしまった朝〜恋人となるスーザンの実家で夕食
③「子供か大人か」:ビリーの元に調査報告書が届く〜無事に子供へと戻って、母の待つ家に帰る


▽このストーリーを3行で言うとどうなるか

大人の体になったジョシュが、元に戻る方法を探し求めてニューヨークへ赴き、食いつなぐ目的で働くためにオモチャ会社に就職したところ、子供ならではの発想で出世し仕事の楽しさに目覚める。さらに大人の女性と恋も経験するのだが、一方で親友や家族を子供の現実に残して来てしまっていることと葛藤し、最後には子供に戻る決意をする。


▽このストーリーを15項目くらいの箇条書きにするとどうなるか

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・ジョシュと親友のビリーが年上マドンナの噂で盛り上がる
・マドンナと移動遊園で会うが、子供がゆえに良いところを見せられず落胆
・ゾルターを発見し「大きくなりたい」と願うと、翌朝カラダが大きくなっていた!
・母親に信用されず家を出るハメになり、ビリーとニューヨークへゾルターの手がかりを探す旅へ
・ゾルターの手がかりは6週間後であることが分かり、職探しをすることに
・マクミラン玩具社の面接を受け、採用される
・仕事は大変だが、オモチャ売り場で社長に遭遇し、気に入られたことで副社長へ昇格
・昇進を妬んだポールに目をつけられるが、スーザンはジョシュの純粋さが気になり始める
・副社長に昇格したことで、高級アパートに広い部屋を借り、両親へ楽しんでいる旨を手紙にしたためる
・会社のパーティーをスーザンと抜け出し、2人は良い雰囲気に
・嫉妬したポールにスカッシュを挑まれ喧嘩する。それをきっかけにスーザンはポールを別れ、ジョシュの恋人となる
・スーザンと親密になり、仕事も徐々に楽しくなってくる(大人の世界を満喫し始める)
・ビリーの元調査報告書を持ってくるが、仕事の途中だと邪険にしてしまう。ビリー怒って出てゆく。
・子供の頃を思い出し、スーザンに本当のことを打ち明けるが、信じてもらえない
・ジョシュ、子供と大人の世界の狭間で葛藤し、子供に戻ることを決意
・ゾルターのある公園に行き、彼女に別れを告げて、子供に戻る


面白いと感じたポイント

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□セリフ
ジョシュに邪険に扱われたビリー(中1)が放ったセリフ
「お前より3ヶ月年上だぞ」

ジョシュに君も一緒に戻ろう(小さくなろう)と誘われたスーザンのセリフ
「私はその年を生きたわ。一生に一度で十分。分かるでしょ?」
「10年後に会えるかも」

□キャラクター
・まだまだウブな13歳の主人公・ジョシュ(大人としての振り幅)
・ジョシュの頼りになる親友・ビリー
・我が子を愛する強さがある、ジョシュの母
・年上のマドンナ的存在の女の子
・ジョシュの才能を見出す玩具会社の社長
・社長の腰巾着でジョシュの出世を妬む同僚・ポール
・汚い大人に辟易し、純粋なジョシュに惹かれるクール女子・スーザン
・全然仕事しない隣のデスクのポンコツ社員
・堅物な秘書のオバサン

□ストーリー
・家が隣同士でトランシーバーで話している、という設定
・「大人の世界では当たり前のことだが、子どもだと分からないこと」を小ネタとして散りばめている。
・子供だからこそ「困る」こと/子供だからこそ「優れる」こと、の2つがバランス良く展開している。
・母が信じず、大人ジョシュのことを誘拐犯だと「勘違い」する展開。報道陣も来たりして一斉捜索になる。
・大人たちはジョシュが13歳の子供であることを知らず、発想力豊かな大人と「勘違い」する展開。
☝️やはり設定に則って、しっかり「勘違い」の面白さが用意されている!

□構成
期限つきの「困ったこと」に巻き込まれた主人公の葛藤
👉最初はそれによって次々と困っていく
👉乗り越えてゆくうちに「困ったこと」だったはずが「楽しいこと」になってしまう
👉やがて期限が来た時に「楽しいこと」が捨てられない…という葛藤に繋がる。

最初は煩わしい存在が、かけがえのない存在になってゆき、離れられなくなる。
という点で「マルモのおきて」と同じ構成である。
(芦田愛菜と鈴木福を預かることになった阿部サダヲ、始めは煩わしかったはずの2人が愛おしくなり、別れが辛くなる)

□小道具
・牛乳パックに行方不明のジョシュ(子供)の写真。
→素性の知れない副社長・ジョシュという人間に対して話しているシーンでひっそり出す答え。

・親友同士の秘密の合言葉
ジョシュが大人になってしまったことをビリーが信用するキッカケ。
冒頭あたりでジョシュとビリーが2人だけのノリの歌を歌うことで、伏線(必然性)を張っているのだ。

・トランシーバー
喧嘩したジョシュとビリーだったが、ビリーが部屋でトランシーバーを見つけたことで関係が繋ぎとめられる。
そのトランシーバーでジョシュの部屋にいるジョシュの母に気付くビリー。

・入らない子供服/ぶかぶかのスーツ
ジョシュが子供→大人になった時は、その体の大きくなった感を「子供服が入らず破けてしまう」ことで表現。
ジョシュが大人→子供になった時は、その体の小さくなった感を「着ていたスーツがぶかぶかになる」ことで表現。

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