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映画分析ノック⑤『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990)

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『ゴースト/ニューヨークの幻』構成表

○廃アパート・中  【起】《①》
サムとモリーとカールが廃アパートを改築している。
恋人同士のサムとモリーが、ここで一緒に住むようだ。
サム、昔の硬貨を見つけ、モリーにお守りと渡す。

○ビジネス街(朝)
日替わり。
サムとカールが仕事に向かっている。
同じ銀行に勤めているようだ。

○エレベーター・中(朝)
オフィスのエレベーターに乗り込むサムとカール。
カール、咳き込むマネで同乗者を困らせるイタズラ。
笑うサム。2人は仲良いのだ。

○オフィス・中(朝)
サムとカール、出社する。
サム、急な案件でカールに自分の口座から取引相手に送金するように頼む。
カール、サムから口座情報を教えてもらい、引き受ける。信頼が厚い。

○アパート・リビング
モリーがマリア像をベランダから部屋に運び入れようとしている。
身を乗り出すモリーの代わりに、サムがそれを運び入れる。
そこへカールが合流。すっかり住める空間になっている。
モリー、カールに陶芸の作品を見せる。モリーは陶芸家なのだ。

○アパート・寝室(夜)
ベッドに座っているサムとモリー。
サムの様子がおかしい。この幸せがなくなってしまうのが怖いと言う。
誤って付けてしまったTVでは、飛行機墜落事故のニュース。
サム、命の儚さを想う。
モリー、自分たちには起こりえないことだと言う。

○アパート・リビング(深夜)
モリー、眠れずにリビングで1人、轆轤を回している。
レコードは『Unchained Melody』を自動でかける。
そこへサム起きてきて、一緒に陶芸を手伝う。土まみれの指を重ね合うシーン。
2人、そのまま愛し合う。

○オフィス・中
日替わり。
デスクで何やら忙しそうにPCを叩くサム。
数字を小さなメモ帳にメモっている。
そこへカールが「顧客コードがおかしい」と尋ねてくる。
サム、大金が動きすぎているのを不審に思い、自分が変更したと話す。
カールは残りを引き受けると言うが、サムは自分が片付けるから大丈夫だと断る。
カール、去り際にサムとモリーの今晩の予定を聞く。
サム、舞台『マクベス』を見にいくと話す。

○ブロードウェイ・外 〜路上(夜)
サムとモリー、舞台『マクベス』を見終わった帰り道。
モリーからサムにプロポーズする。
いつもサムは「愛してる」ではなく「同じく」と言う。
サムの歯切れの悪い返事に、モリー不貞腐れる。
そこへ不審な男・ウィリーが忍び寄る。
逃げようとするサムとモリーだったが、サムがウィリーに銃口を突きつけられる。
揉み合いの末、サムは胸を打たれてしまう。
逃走したウィリーを全速力で追うサムだったが、それは幽霊の体で、自分自身は路上に血塗れで倒れていることに気付く。
サムは死んだのだ。モリー、泣きながら助けを呼んでいる。
サム、倒れている自分を触ろうとするが、すり抜ける手。誰もサム(霊)は見えない。
絶句するサムに、天から光が差し込む。が、そのうち消える。(モリーを残しては逝けないのだ)
救急車が到着する。 

○走る救急車(夜)  【承】《②》

○病院・手術室(夜)
医者に連れられ、呆然としているモリー。
サム、自分の遺体の横に座って、深刻な表情。
そこへ現れる、サムのことが見える爺さん(霊)。
サムに物を通り抜けるのは簡単だ、と説く。
サム、正面から向かってくる医者の身体を通り抜けてしまう。
戸惑うサム。

○墓地
日替わり。
サムの墓跡の前に人々が集まり、葬式を行っている。
そこにサムの霊もいる。

○アパート・リビング(夜)
モリー、轆轤を回しているが、心ここにあらず。
いないはずのサムに話しかける独り言。
それを聞いているサムの霊。
飼い猫にはサムの姿が見えて、驚いて逃げ去る。

○アパート・リビング(朝)
モリーとカール、サムの遺品を整理している。
靴の空き箱に必要な物を残しているモリー、サムのアドレス帳もそこにいれる。
カール、その空き箱を間違えて捨てる方へ持っていこうとする。
モリー、それを止めて空き箱を受け取る。
カール、モリーを散歩に連れ出す。
アパートに残されたサムはモリーが心配。
ドアを通過して外に出ようとすると、サムを殺した不審な男・ウィリーが部屋に入ってきた。
サムは復讐しようとするが、当然触れない。
2階の部屋を物色しているウィリー。
と、そこへモリーが帰ってきた。
警戒するウィリーは銃を持っている、何も知らないモリーは2階へ。
モリーを救わねばとサム、とっさに猫を睨みつけ、威嚇した猫で傷つけてウィリーを追い出す。

○街 〜 ウィリーのアパート・点描
サム、逃げ去ったウィリーを追いかける。
×   ×   ×
サム、ウィリーを追いかけ地下鉄に入っていく。
電車に乗るサム。
と、電車に乗っている地縛霊に気付かれて、襲われる。
地縛霊、自分で電車の窓ガラスを割った!
×   ×   ×
貧しい街で降りる。
「ウィリーロペス」と記載のある住所に到着。
ウィリー、電話で誰かに「女が戻ったからダメだった。必ず(何かを)手に入れる」と話す。
サム、モリーに危機が迫っていることを感じる。

○ウィリーのアパート・外
途方に暮れるサム。
向かいに「霊媒師・霊感占い」の看板を見つけて、入る。

○霊媒師の店・中
待合室で待っている人々。
1人の客が中に呼ばれる。
ついていくサム。
×   ×   ×
カウンセリングを受ける客。
霊媒師はオダ・メイと言う。
インチキくさい占いに、呆れるサム。
どうやらオダメイに霊は見えていないようである。
…が、サムのツッコミがオダメイに聞こえているっぽくて…。
取り乱すオダメイ。サム「聞こえているのか⁉︎」と。
オダメイ、発狂して走り回る。客、逃げる。

○オダメイの家・居間
アシスタント女2人に看病されているオダメイ。
自分は霊感がないはずなのに、なぜ…と。
そこへ再びサムが話しかける。
モリーという女性に「サムを殺した男がアパートに侵入する!」と伝えるために、電話をしてくれと頼む。
断るオダメイだったが、一生つきまとうと言われ…。

○アパート・リビング(オダメイとモリーのカットバック)
モリーが料理をしている。
そこへ鳴る電話。モリーが出る。
サムの名前を出すオダメイだったが、モリーは電話を切ってしまう。
サム、アパートまで行ってくれと頼む。
断るオダメイ。

○オダメイの家・寝室(夜)
サム、陽気な歌を大声で歌い続ける。
オダメイ、寝れない!!!
発狂しながら、アパートへ行くことを了承するオダメイ。

○街〜アパートの前(朝)
翌朝。1人で街を歩くオダメイ。
誰もいないのにブツブツと誰かと話しているようだ。
それはサム。でも誰にも見えていない。
オダメイ、モリーのいるアパートにつく。
ブザーを押して、モリーに名乗るが、またしても切られた。

○アパート・リビング(朝)
モリー、インターフォン前で動けずにいる。
と、外からオダメイの声が聞こえる。
(中と外のカットバック)
オダメイ、サムとモリーしか知らないようなことを話して聞かせる。
いよいよ諦めて帰ろうとした時、モリーが出てくる。

○カフェ・中
モリー、オダメイと話している。
オダメイは声だけが聞こえるらしい。
それでも信じられないモリーは帰ろうとする。
サムはオダメイに「愛してる」=「同じく」という言葉を言えと。
立ち止まるモリー。

○アパート・リビング
モリーとオダメイが話している。
オダメイとサム、口喧嘩。
その様子をみて本当にサムがいるんだと実感するモリー。
サム、オダメイを通じてモリーに「危険が迫っている」と伝える。
ウィリーの名前と住所を伝える。
警察へ行って「サムはハメられて殺された」と伝えるべきだと話す。
黒幕がいるのかは…と匂わせる。
住所を聞いて「うちの近所だ…」となったオダメイ、これ以上関わると身に危険が及ぶと、帰る。

○アパート・リビング(夜)
モリー、オダメイに話されたことをカールに相談している。
犯人がいること、その名前や住所なども。
それを聞いたカール、馬鹿げていると一蹴。
モリーは警察に行くと話す。(サム、安堵)
カールは、自分が確かめてみるから、一旦落ち着きなと話す。

○ウィリーのアパート・外(夜)   【転】
カールの車が止まる。
カール、警戒しながらウィリーの住所に入っていく。
サムも一緒についてきて、カールに「用心しろよ」と言う。

○ウィリーのアパート・部屋(夜)
カールが来て、ウィリーがドアを開ける。
ウィリーの一言目「カール、どうした?」
カールはウィリーに、どこかの女がお前のことを知っているんだが、何か話たか!と問い詰める。
呆然とするサム。そう、カールとウィリーはグルだったのだ!
カール、400万円下ろすコードを入手しないとヤクザに始末されると話す。
(その400万はサムがコードを変えたことで下せなくなったのである)
カール、モリーのアパートの鍵をウィリーから受け取って去っていく。

○ウィリーのアパート・外(夜)
サム、裏切り者のカールを殴ろうとするが、透けてしまって殴れず。
車で走り去るカール。

○警察署・中
モリー、警察官に事情を話している。
が、相手にしてもらえない。
なんとか「ウィリー・ロペス」という名前を調べてもらうことに。

○アパート・中
カール、モリーのアパートに侵入し、戸棚を漁っている。
靴の空き箱に入ったサムの手帳の1ページをちぎって持ち去る。

○警察署・中
警察官が調べて来たのは「オダメイ」の前科歴だった。
ロペスの名前はない、と言われる。
オダメイが過去に犯罪を繰り返していたことを知ったモリー、信用が薄れていく。
警察官、彼女が秘密を知っていたのは、詐欺の巧妙な手口だと諫める。
絶望して立ち去るモリー。

○オフィス・中
カール、手帳に書かれたコードをPCに打ち込む。
と、複数の口座にアクセス出来た。安堵するカール。
電話で取引相手の指示を仰ぐ。
取引相手、カールに「リタ・ミラー」名義の口座に全額振り込んで、また連絡するように指示。
そのやりとりを恨めしそうに見ているサム。
リタ・ミラーの口座に400万円を移すカール。

○アパート・リビング(夜)
モリー、呆然と天井を見ている。
そんなモリーを心配するサム。
と、そこへカールが来る。
サムは「人殺しだから開けるな!」と言うが、当然聞こえるはずもなく…。
400万に無事アクセス出来たカールは上機嫌。
モリー、カールに「警察に行った」と話す。
唾を飲むカール。期待の表情を浮かべるサム。
しかし、モリーは「あの霊媒師は最低だった」とオダメイへの信用を失ったことを報告。
内心安堵するカール、モリーを慰めるふりをして抱こうとする。
キスするモリーとカール。
怒ったサムが2人に襲いかかる…と写真立てにサムの手が触れた!
我に返るモリー、カールを帰す。
驚くサム、他の物で試すが、また透けてしまって触れない。

○地下鉄・点描
サム、地下鉄の駅構内や電車の中を乗り替えたりして、地縛霊の姿を探す。
ついに発見!
サム、物に触れる地縛霊にその方法を教えてくれと頼み込む。

○地下鉄・駅のホーム
サム、地縛霊から物に触るコツを教わっている。
憤りを念じることで触れるようになると教わったサムは、やっとの思いでモノに触れるようになる。
(習得していく過程・点描)
その地縛霊、何者かに線路に突き落とされた怒りで満ちていた。
地縛霊が去った後、サムはモノに触って手応えを確かめる。
その時、ふと銀行の看板を目にする。
サム、何かを思いついた表情で、走っていく。

○霊媒師の店・中      《③》
オダメイに会いに行ったサム。
オダメイは本当に霊が見えるようになっていた。
勝手にオダメイの中に入った霊、出てきた時には身体が動かず。
発狂しているオダメイ、霊も客も皆追い返す。
と、そこへやってきたのは、カールから情報を聞きつけたウィリー・ロペスだった!
サム「逃げろ!」と。銃撃から間一髪で逃げたオダメイ。
サム、オダメイに「奴らはまた殺しに来る!奴らを永遠に追放する方法がある!」と提案。
話に乗るオダメイ。

○銀行・外
日替わり。
上品な格好をして銀行に入っていくオダメイ。
そこに付き添っているサム。
偽の運転免許証で大丈夫と話す。

○銀行・中
リタ・ミラーを名乗り、新口座のサインを登録しにきたと話す。
なんとか口座のサインを登録したオダメイ。
オダメイ、行員のオバサンに「すぐ金を下ろしたいので処理を急いで」とお願い。
怪訝な顔をするオバサン。

○オフィス・中
カールが仕事している。
取引相手との約束の時間(PM3:55)が迫っており、緊張の表情のカール。

○銀行・中
リタ・ミラーとしてサインを登録したオダメイ。
サムの指示に従い、今度は400万を小切手で口座から引き出す手続きへ。
ポンコツ行員を相手に、偽の免許証を提示するオダメイ。

○オフィス・中
カール、約束の時間(PM3:55)の5分前となり、指定の銀行へ電話する。

○銀行・中
ポンコツ行員を上手く騙せたようだ。
が、手続きを待っている間に、モリーが銀行にやってくる(死亡したサムの口座の手続き)。
モリーはオダメイを不審に思っているため、ここでモリーに気付かれるわけにはいかない。
サム、書類をぶちまけるなどして、なんとかオダメイを逃した。
モリー、オダメイを一瞬見て、ポンコツ行員に確かめる。
リタ・ミラーさんで口座を解約していかれたと言われ、「(やっぱり詐欺師だ…)」となる。

○オフィス・中
カール、PCにリタ・ミラーの口座のコードを打ち込むが「口座解約済」になる。
なぜか分からず、焦るカール。額には大量の汗。

○銀行・外
400万の小切手を手に入れたオダメイ、有頂天。
しかし、サムに「そんな金を持っていたら殺される」と忠告される。
小切手は教会に募金しろと言われ、募金活動をしていたシスターに渋々手渡す。
発狂するオダメイ、小切手の額を見て気を失うシスター。

○オフィス・中(夜)
誰もいなくなったオフィス。
カール、1人PCで口座コードを打っているが、やっぱり口座解約済になっていて…。
焦るカールを眺めているサム。
誰もいないはずのオフィスで、カールが消したはずのPCが再起動。
キーボードに「人殺し」と打ち込まれる。
カール、さらに焦り「誰の仕業だ!?!?」と。
するとキーボードに「SAMSAMSAMSAMSAM…」と打ち込まれる。
慄くカール、PCを投げ壊す。

○アパート・リビング(夜)   【結】
モリーのアパートに顔色の悪いカールが訪ねてくる。
カール、モリーに「霊媒師について教えてくれ」と聞かれる。
モリー、やっぱり彼女はインチキ詐欺師だったと話す。
今日、銀行でリタ・ミラー名義で口座解約をしたらしいと伝える。
絶句するカール。
サム、カールを殴る。殴る。殴る。
カール「銀行でトラブルがあって」と説明し、モリーのアパートを去る。
サムはオダメイの命が危ない!と察知し、追いかける。

○オダメイの家・居間〜外(夜)
くつろいでTVを見ているオダメイとアシスタント2人。
そこへサムが来て、命を狙われてる!と伝える。
と、窓の外で車が止まる。カールとウィリーが降りてくる。
急いで部屋から逃げ出すオダメイとアシスタント2人。
近所の部屋に助けを求める・点描
(追ってくるカールらとカットバックで緊迫感)

寸前のところで隣の別の部屋に逃げ込んだオダメイたち。
オダメイの部屋を開けるカールとウィリー。誰もいない。
と、扉が急に閉まり、ウィリーだけが部屋に閉じ込められる。
その後もサムが起こす怪奇現象に、追い詰められていくウィリー。
ついに怖くなって部屋から一目散に逃げ出す。
…が外に出たところをトラックと車に挟まれる形で即死。
それを見て逃げ去るカール。
じきにウィリーの霊は、地獄の番人たちに連れていかれる。

○走るタクシー(夜)
オダメイとサムが乗っている。
オダメイ、ドライバーに飛ばすように伝える。
サムが勝手にアクセルを踏む。
カッ飛ばすタクシー。

○アパート・中(夜)
オダメイが訪ねてくるが、モリーは信用していない。
命の危機が迫っていると話すが、一向にドアを開けようとしないモリー。
昔の硬貨をドアの下から這わせて、サムがいることを証明する。
モリー、涙でドアを開ける(信用した)。
×   ×   ×
警察に電話したモリー。
サムに会いたいと話す。サムもモリーに触れたいと言っている。
オダメイ、自分の体をサムに貸す。
サム、オダメイの体に憑依し、モリーと抱き合う。
サムとモリーの愛おしい時間が流れる。

…が、部屋の外にカールがやってきて、ドアをノックする。
サムはオダメイの体から抜けるが、憑依したあとはしばらく動けない!
非常階段に逃げるモリーとオダメイ。
追ってくるカール。
オダメイがカールに捕まって、小切手をよこせと銃を突きつけられる。
サム、回復してカールを殴り、オダメイを救う。
カール、今度はモリーを人質にとる。
サム、カールの銃を飛ばし、カールを追い詰める。
カール、逃げた先でガラス窓が降ってきて、胸を刺されて即死。
カールの霊も、地獄の番人に連れていかれる。

サム、隅で怯えるモリーとオダメイに「無事か」と声をかける。
モリー、サムの声が聞こえるようになって。姿も見えるようになって。
天から眩い光が降り注ぐ。サムを迎えにきたようだ。
お別れのキスをするサムとモリー。
今度はサムから「愛してるよ」と。モリー「同じく」と返す。
光に包まれていくサム。見送るモリー。
やがてサムは消えてゆく。

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映画『ゴースト/ニューヨークの幻』分析

▽主人公は誰で、どこから登場しているか
主人公は銀行員・サム。
冒頭、廃アパートを改築しているシーンで登場。

▽二番目の人物は誰で、どこで登場しているか
二番目の人物は、陶芸家でサムの恋人・モリー。
冒頭、廃アパートを改築しているシーンで登場。
(サムとモリーとカールで改築:主要人物が一気に冒頭で登場する)

▽主人公の物語が本格的に始まるのはどこか。それはどんな物語か
サムが不審な男・ウィリーに銃で殺されるシーン。
このシーンから、サムは霊となって「モリーを危険から守る存在」となる。

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これは【霊になったサムが、恋人モリーを危険から守り、自分を殺したカールとウィリーに復讐を果たす物語】である。

▽物語が大きく転換しているのはどこか
親友・カールが味方ではなく、実はウィリーのグルだった!と発覚したシーン(ちょうど中盤)。
・サムが殺された理由
・ウィリーがモリーのアパートを追う理由
・カールがヤクザに渡す金をマネーロンダリングで洗浄していたこと
・成功しなければ、カールたちが殺されてしまうこと
が一気に分かる。
親友の裏切りを知ったサムが「復讐」を目的に加えるシーンである。

▽クライマックスはどこか
銀行の「口座解約済」がオダメイの仕業だと知ったカール達が、オダメイの家にいくシーン。
・迫りくるカール達と、逃げるオダメイたちのカットバック
・サムがウィリーを閉じ込めて復讐→ウィリーが車に轢かれて死亡
・オダメイ、サムとともにモリーのアパートへ
・モリーが信じて、サムと愛おしい時間
・ふたたび迫りくるカールと、逃げるモリーとオダメイ
・サムがピンチを助けて、カールは窓に挟まって死亡
・サムとモリーの最後の時間
武力行使に出るカールと、逃げるモリー・オダメイ。
ピンチから救いながら復讐してゆくサム。怒涛の緊迫シーン。


▽主人公が困ること、苦しむことはどこでどんなふうに起こっているか
・不審な男に突然殺される
・幽霊になってしまった自分は、モリーを守ることが出来ない(枷)
・霊媒師に頼むが、なかなか協力してくれない(枷)
・協力してくれたものの、今度はモリーも警察もカールも信じてくれない(枷)
・親友カールが実はグルだった
・そんな悪人カールに、モリーはほだされそうになる
・協力者・オダメイが下品で余計なことする
・モリーとオダメイの命が狙われる

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▽逆にホッとするようなことや主人公が喜ぶことはどこで起こっているか
・霊になったとしてもモリーをそばで見守ることができる(逆につらい)
・誰にも見えない霊であるが故に、悪党に気付かれずに追跡できる
・霊媒師オダメイに自分の声が聞こえる
・物に触れるようになる
・犯人を物理的に追い詰めることが出来るように
・モリーが霊の存在を信用してくれる
・オダメイの身体を使って、モリーに触れることが出来る
・モリーに姿が見えるように、声が聞こえるようになり、お別れが言える

▽起承転結に分けるならどこまでが起でどこまでが承か
起:廃アパートの改築〜サムが殺される
承:幽霊となって落ち込むサム〜モリーの代わりに不審な男を追うカール
転:カールがグルだと発覚〜オダメイの元へ走るカール
結:オダメイとカール達の追尾劇〜サムとモリーのお別れ

▽三幕だとするとどこが分かれ目か
①:廃アパートの改築〜サムが殺される
②:幽霊となって落ち込むサム〜物に触れるスキルを習得して何かを思いつくサム
③:サム、オダメイに口座解約するよう指示〜サムとモリーのお別れ

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▽このストーリーを3行で言うとどうなるか
銀行員サムは、恋人モリーからプロポーズを受けたその夜に、不審な男によって殺されてしまう。
霊となったサムは、モリーをつけ回す殺人犯と、そのグルである親友カールの陰謀を突き止める。
サムは、霊媒師オダメイの力を借りながらカールらに復讐を果たし、モリーを危機から救って、お別れの言葉を言う。

▽このストーリーを15項目くらいの箇条書きにするとどうなるか
・廃アパートを改築して新居に住う、恋人同士のサムとモリー
・モリーからプロポーズされた夜、サムが不審な男ウィリーに殺される
・霊となったサムは、モリー不在の間に家に侵入したウィリーを追跡
・霊媒師オダメイを通じて、モリーに危険を知らせる
・モリーに相談を受けたカールがウィリーの住所へいき、2人はグルだと発覚
・サム、銀行で取引相手と電話をしているカールを見て、その手口を把握
・カールとモリーがキスするのを阻止しようとしたサム、一瞬写真立てに触れる
・地下鉄の霊に教えを乞い、物に触れるスキルを習得するサム
・サム、ふたたびオダメイを訪ねて、偽免許証を用いて銀行の口座解約に協力してもらう
・口座が解約されたカールは、それがオダメイの仕業だと知り、ウィリーと共にオダメイの家へ
・逃げるオダメイと追うカール達、サムの復讐もあってウィリーが死ぬ
・逃げたオダメイはモリーに真実を伝え、サムはオダメイの身体を借りてモリーを抱きしめる
・アパートにやってきたカールと、逃げるモリーとオダメイ
・サム、モリーとオダメイをカールから守り、カールは窓に挟まれて死亡
・サムの姿が見えるようになったモリーにサムは最期のお別れを言う

面白いと感じたポイント

□セリフ
展示会を不安がるモリーを励ますサムの会話
モリ「NYタイムズも取材に来るの…」
サム「NYタイムズの批評家なんか、美術学校を落第した若造だよ」
モリ「読者の数は800万よ」
サム「読むのはスポーツ欄さ」
モリ「(でも…)」
サム「君の作品は素晴らしいよ。他人の意見よりまず僕の意見だ」

愛してると言ってほしいモリーは愛してるとサムに言うが、サムはいっつも「同じく」と返す(モリーは不満)。
モリ「愛してる」
サム「同じく」
👉最期のお別れでサムがやっと「愛してる」と言ったのに対して、モリーはいつもサムが言っていたように「同じく」と返す
サム「愛してる」
モリ「同じく」

□キャラクター
《主要人物》
銀行員・サム
陶芸家・モリー(サムの恋人)
銀行員・カール(サムの同僚)
霊媒師・オダメイ(インチキ女)
殺人犯・ウィリー(カールとグル)

ーサブキャラー
オダメイのアシスタント2人(デブで間抜けそう)
ポンコツ行員(酒と女にだらしない)
心優しきシスター(金額を見て失神)

インチキ霊媒師・オダメイのキャラクターが愛おしい
・金に目が無い
・下品で大雑把で余計なことを言う
・強気な性格
・前科歴がある

オダメイは、短気なサムとは相性が悪く…。
2人にしか聞こえない喧嘩が多発。
→人からはオダメイが独り言でぶつぶつとキレてるように見えていて、そこが面白い

オダメイがトラブルメイカーで、
人を助けるんだけど、新たなトラブルの種を蒔く人物
→話がどんどんと展開していく

□構成/ストーリー
・「枷」を加えると面白くなる
霊になってしまったサムは、モリーを守ろうにも守る術がない
☝️霊になったサムは、誰からも見えないし、何にも触れられない、という「枷」があるから面白い
→インチキ霊媒師・オダメイを介してモリーに接触する
…が、モリーに信じてもらえない!
…しかもオダメイには前科歴があって…。
☝️枷が新たな枷を呼ぶ、次々と困らせている

・「カード」を切るタイミング
カールが黒幕であったことを中盤まで観客に伏せている。
モリーに相談されて、その住所を初めて知って、モリーのためにそこに行く
…と見せかけて、実は不審な男・ウィリーと顔馴染みだった!
☝️最初から全てを出すのではなく、伏せておく要素も考える。

・因果が繋がってゆく
サムがマネーロンダリングに気付いたことで、殺された
→コードが描いてある手帳がアパートにあるからウィリーが侵入する
→ウィリーを追って住所を見つけ、危険を知らせるために近所の霊媒師の店へ
→オダメイを通じてモリーに話し、モリーを通じてカールに話が渡り、カールがウィリーの元へ行ったことでグルが発覚
→鍵を貰ったカールは手帳を入手し、口座のマネーロンダリングに成功するが、それを見ていたサム
→ふたたびオダメイのところへ行き、口座の金が渡らないように銀行で凍結
→が、そこにいたモリーによってオダメイの仕業と発覚し、オダメイがピンチに
→逃げた先でモリーもピンチに
つまり、「400万の口座コード」を巡って、①コード手帳を取り返す/②コードを別口座に送金する
という2つのステップの間に障害が発生する
☝️その過程で誰かが目撃者になったり、話したりすることで、誰かが知るところになる展開が繋がっていく

・伏線が後半に回収されていく
カールが遺品の仕分けで手帳を発見するが、モリーに仕舞われてしまう。
→ただカールが仕分け間違えたようなシーンだが、のちにカールはわざと持っていこうとしたと分かる)

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インチキ霊媒師・オダメイが本当に幽霊が見えるようになってしまったシーン。
オダメイの身体を借りた霊が、抜けた時に動けなくなってしまう(ルール説明)
→のちにオダメイの身体を借りてモリーに触れたサムが、カールが迫りくるピンチの時に動けなくなってしまう

□シーン
・警察官が持ってきた調査書は「ウィリーロペス」ではなく「オダメイ」の物だったシーン。
ウィリーロペスかと思わせて、オダメイの調査書というところで、主人公たちをどんどん惑わせていく
☝️フェイントがかかると面白い!

・物に触れるようになったサムが、キーボードに「SAMSAMSAMSAM…」と打ち込むシーン。
視覚的に面白い!恐怖感も倍増
何かに触れられる、ということを「殴る」「物を投げる」などの物理攻撃だけにせず、「キーボードを打ってメッセージを送る」というアイディアに転換しているから面白い

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□小道具
・古い硬貨
→クライマックスに、サムが硬貨をドアの下から上に這わせたことによって、モリーがサムの存在を信じるキッカケに。

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