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【雑記】水俣病資料館

水俣病資料館に行った。

水俣には一度は行きたいと思っていたので、思い切って足を延ばしてみたら、資料館を見つけた。
資料館は海沿いの小高い丘にあって、資料館を出るとすぐに海岸で、目の前には天草の島々が見える。
近所に住んでいたら、絶好の散歩コースになると思ったほど。

不知火海

水俣病については、子供のころから授業でもやったと思う。
「メチル水銀」という響きが子供心に恐ろしく、公害の悲惨さが骨身にしみた。軽くトラウマになっているくらい。
大学のときにも、教養かなにかの課題で水俣病について調べようと思い、大学の図書館で水俣病に関する書籍を借りたことがある。
それほどまでに私の心にひっそりと暗い影を残した公害だった。

この水俣病だが、大学当時は「メチル水銀が有害」という認識しかなかった。今回水俣病資料館に行って初めて、水銀が触媒だったことが判った。

例えばアセチレンから塩化ビニルを作る際に、塩化第二水銀を触媒として使用する。

HC≡CH + HgCl2 + HCl → CHHgCl=CHCl + HCl → CH2=CHCl + HgCl2

ところがこの触媒が失活し、CHHgCl=CHClの中間物が残ったままになることがある。
そして、この中間物のメチル水銀が、魚介類の食物連鎖によって生物濃縮し、沿岸の魚を食べた住民が「メチル水銀中毒症」になった。

大学時代に調べたのは、水俣病が発生するまでの様子(猫の狂死)とか、付近住民の筆舌に尽くしがたい苦労とか、裁判の様子とかだったので、化学的にメチル水銀が作成されるメカニズムを知ったのは今回が初めて。
記憶は定かではないが、適当に資料を写してレポートを書き、提出してそれで終わりにしたのだろうと思う。
せっかく水俣病について調べたのだから、なぜ大学時代にこのことまで調べなかったのかと、若い頃の自分に今更ながら呆れた。

さて、その書籍、借りたまま返すのを忘れていたら、大学から実家に督促状が届き、両親にこっぴどく叱られた。
あの書籍、まだ大学図書館にあるのだろうか。




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