見出し画像

【中学受験ネタ】なぜ中学受験をするのか?(1)

理由は簡単である。
「内申書」という、得体のしれないものに左右されたくないからである。

息子が小学校に入学したとき、ある大手塾の説明会に出席した。
聞くところによれば、地元の県では高校受験の際に、内申点がかなりの比率を占めるらしい。
いくらいい点数を取っても、内申点が悪ければ不合格になる場合もあるとのこと。
(当然塾側の中学受験をさせるための脅しも入っているとは思うが)

それから高校受験について詳しく調べてみたが、最初愕然となり、次に憤然となり、最後には暗然となった。
授業中にボーっとしていたり、ノートを取らなかったり、提出物を出さなかったりしたら、それも減点の対象になるらしい。

塾の先生が「聞いていなくてもいいから、うんうんと聞いたふりをしなさい」と指導していることを聞いて、私たち家族のあいだで、高校受験という選択肢はなくなった。
内申点などは関係のない中学受験にシフトしようと思った。
息子にも聞いてみたら、即答で「中学受験する」と言った。
よって我が家は中学受験することになった。

「二月の勝者」で黒木先生が「高校受験? 大っ嫌いです」と言い、こう続ける。
「だって同じ学力の子が並んでたら、より『先生に好かれる生徒』のほうが有利なんですよ。かたや中学受験。本番のテストで点数をクリアすれば合格できる。明快で気持ちいいですね。私は中学受験が大好きです」
まさにその通りだと思う。

たとえば授業中よそ見をしていたと先生が判断した場合でも、生徒は一所懸命考えている場合がある。その場合さえ「この子聞いてないな」と減点の対象にされたらたまったものではない。
ちなみに私が部下に説明するときに、うんうんと一所懸命聞いているように見える部下はふりだけで聞いておらず、面倒くさそうによそ見している部下のほうがよく聞いているということは多くあった。
要するに、見ているだけでは聞いてるかどうかの判断は難しいのだ。

それをAIが判断するならいざ知らず、感情を持った人間が採点するなら、かなりの誤差があるのは当たり前である。
いくら子供が頑張っても、最終的には生殺与奪の権を先生が握っているというのは、どうも釈然としない。

(続く)



小説が面白いと思ったら、スキしてもらえれば嬉しいです。 講談社から「虫とりのうた」、「赤い蟷螂」、「幼虫旅館」が出版されているので、もしよろしければ! (怖い話です)